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第五章

第105話5-6四大悪魔

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 『ふんっ!』

 
 白虎と名乗った悪魔は黒に赤い線が入った剣を姉さんのなぎなたソードと交差させつばぜり合いになる。


 がきぃいいいんっ!


 『ほほうぅ、流石我ら魔王軍の指名手配になるわけだな! なかなかだ!』

 「うっさいわね! とっとと門を破って魔王城へ行かなきゃならないんだから邪魔しないで!」


 きんっ!

 ばっ!

 
 白虎と姉さんはそう言って一旦離れる。
 そして双方共に油断なく構え直す。


 『お前を好手として認めてやる。俺は四大悪魔が一人、白虎。名を名乗れ!』

 「私はフェンリル!」


 姉さんはそう言ってからすぐ様飛び掛かる。


 「はぁっ! ガレント流剣技一の型、牙突!!」


 ざっ!
 
 どんっ!

 びゅっ!!


 姉さんは飛び込みながら牙突を放つ。
 僕の牙突より数段鋭くそして爆発的な突進力も加味されその一撃は正しく岩をも穿つ一撃! 

 
 『ははっ! だが通じんぞ!』


 白虎は姉さんのそ一撃を簡単に横に避け黒い剣を振り降ろす。
 しかし姉さんは既に次の動きをしていてそのままガレント流剣技四の型、旋風を繰り出していた。


 「ガレント流剣技四の型、旋風!!」


 突き出した剣をそのまま回転に切り替えて振り下ろされる剣にぶつける。


 がぎぃいいいぃぃんっ!


 火花を散らしながら姉さんの剣と白虎の剣が打ち合う。
 そして姉さんは回転する勢いを殺さずそのまま相手の剣を弾いたら距離を取る。


 「はっ! あの状態から俺の一撃を跳ね返すか!? 好いぞぉ! これなら楽しめそうだ!!」


 「フェンリル!」

 「大丈夫!?」

 シェルさんとセキさんもこちらに気付き門の連中を牽制しながら姉さんに近づこうとするけど姉さんは大声でそれを制止する。


 「シェル、セキ来ないで! こちらは大丈夫、それより早い所門を開かせて!」


 見れば門の前には悪魔たち魔王軍が集まっていた。

 「人間の衛兵たちは下がったか、でも魔王軍はやる気ね?」

 「んじゃあ、サクッと片付けるか!!」

 シェルさんとセキさんは姉さんの所へ行くのをやめて魔王軍に対峙する。


 『良いのか? お前一人では俺は倒せんぞ?』

 「そんなことは無い、少し本気で行くわよ!!」


 姉さんはそう言って息を吸い込み目を見開くと瞳の色が金色に変わっていた!


 「『同調』した!? 姉さん一気に決めるつもりだ!」

 「ソウマ君、こっちもお願いですわ!!」


 見ればエマ―ジェリアさんの周りには悪魔たちが詰め寄っていた。
 アイミがエマ―ジェリアさんを守っているけど流石に数が多い 
 一体どこから出てきたのやら。
 僕はすぐにエマ―ジェリアさんの援護に入る。

 ちらっと姉さんを見ているとあの白虎と高速で切り結んでいる様だ。


 『ほう、なかなか! ならばこちらも少し本気を見せてやろう!! はぁっ!!』



 ざんっ!


 僕がレッサーデーモンを切り伏せていると向こうで白虎に異変が起こる。
 紫色の肌から一気に真っ白な毛が生えてきて体を一回り大きくして半獣のワ―タイガーの様になる。
 と、僕でもわかる程の威圧感が噴き出た!?


 「何こいつ!? 強い!?」

 『気付いたか!? では遠慮なく行くぞ!!』


 どんっ!

 言いながら白虎は姉さんに切り込む。
 そのスピードは今までの比じゃない。
 慌てて姉さんは【紅蓮業火】を発動させ炎の柱で身を包みその一撃を受けるが炎の柱ごと姉さんは吹き飛ばされる。



 「数が多いですわ! 何処からこんなに!? 【聖典後光】ホーリーライト!!」

 姉さんに気を回す前にエマ―ジェリアさんが声を上げる。
 そして大技を使ってレッサーデーモンたちに光の一撃を放つ。
 下級の悪魔はこれだけで奇麗に拭き飛ばされ消えてしまうけどアークデーモンクラスになると何かに憑依している実体が有るので完全には吹き飛ばせない。


 「うわっ!」

 アークデーモンのその一撃を僕は受けるけど、何とか受け止められた?
 もしかして僕って強くなっている?

 「ソウマ君! 【防御魔法】!」

 エマ―ジェリアさんから支援魔法が入った。
 僕は防御を考えずアークデーモンに切り掛かる。


 「はぁっ! ガレント流剣技二の型、二重の刃!!」


 ざざっ!!

 ずばっ!


 「出来た!」

 今まで剣速が上がらず二重の刃にならず打撃が弱かった僕の技が上手くできてアークデーモンを切り伏せる。
 「セブンソード」という伝説のこの剣による斬撃はものの見事にアークデーモンを真っ二つにした!


 「よしっ! 次っ!!」


 僕はそのまま次のアークデーモンに切り掛かる。


 
 「エマ、アイミこっちに下がって! 来なさい!」


 ヒュンっ!!


 僕が残ったアークデーモンに切り掛かったので合間の空いてしまったエマ―ジェリアさんはシェルさんに呼ばれ後ろに下がる。
 シェルさんはいつの間にかあのライトプロテクターを身に着けて光る弓矢を放っていた。


 「ソウマ、門の前のアークデーモン一緒に殲滅するよ! ついて来て!!」

 「はいっ!!」


 セキさんに連れられ僕も門の前のアークデーモンたちに飛び込んでいく。
 



 その時、姉さんが白虎に苦戦しているとも知らずに。 
 
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