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第三章
第52話3-11エデルの村
しおりを挟む僕たちはリザードマンの集落ベンゲルに戻り族長さんのゴフさんに今までの話をした。
「なるほどそう言う事でしたか。まさか水龍様がご自分の趣味を楽しまれていたとは。しかし、ブーズよ、あれほど言っていたにもかかわらずお前が原因だったとはな!」
げいんっ!
「ぐはっ!」
ブーズさんは僕らの目の前で族長さんにげんこつでぶん殴られる。
その様子を見てピンクのツインテール悪魔は満足そうに頷く。
『全く、よく教育しておきなさいよ! 魔王様には魔王軍の進軍以外で人々に危害を加えてはならないと言われているんだから自己防衛以外ではあたしら手なんか出さないわよ?』
ピンクのツインテール悪魔、リリスさんはそう言う。
うーん、そうすると戦争している以外の悪魔って手出しをしなければ大人しくしてくれるって事なのかな?
僕は姉さんの肘を引っ張る。
「姉さん、姉さん」
「どうしたのソウマ? もしかしてとうとうお姉ちゃんに興味が湧いた!?」
「どんな興味が湧くってのさ? それより今の話、世界中に出現している悪魔たちって手出しをしなければ大人しくするって明言しているよね? これってシェルさんにお願いして世界中に散らばっている悪魔たちに手出しをしないでもらえないかな? そうすればこれ以上皆さん居迷惑が掛からないし悪評もそれ以上広がらなくて済みそうだよ?」
僕の妙案に姉さんは腕組みして唸る。
「でも世の中ブーズさんみたいに威嚇したり手を出しちゃう人もいるわよ?」
「あっ」
良い考えと思うけど世の中には村にいたいじめっ子みたいに何もしなくても手を出してくる人もいるもんなぁ。
本当は世の中平和が一番いいのに。
「ソウマ君は優しいですわね」
エマ―ジェリアさんが僕を見てにこりと笑う。
優しいと言うか穏便な生活が送りたいといつも思っているんだよね。
でもエマ―ジェリアさんは言う。
「世の中が女神様の教え通り穏やかに争いが無く、健やかに愛に満ちた世界であればみんな幸せになれるのにですわ」
流石聖女様。
言う事が違うね。
「そしてその愛で私を愛していただきたいですわ、シェル様!!」
そう言ってエマ―ジェリアさんはシェルさんに抱き着く。
うん、愛なんだな。
多分きっとあれも。
そんな事を思っていると姉さんが指をくわえうらやましそうに僕を見る。
「姉さんはいつも抱き着いてくるからもう良いでしょ!」
「もう、ソウマのいけずうぅっ!!」
こうして僕たちはリザードマンの集落での問題が片付いたのでまたまた宴会を開いてもらい翌日さらに西の山岳部にあるエデルと言う村に向けて出発するのだった。
* * * * *
『なによ、そうするとそのハーピーたちの生息地ってのがこれから行くエデルの村でわかるって言うの?』
「そう言う事になるわね。私も行った事が無いから詳しくは分からなけどね」
リザードマンの集落から目的の村エデルは湿地帯を抜けた場所なので徒歩に代わっていた。
前を歩く悪魔のリリスさんとシェルさんはなんやかんや話をしながら歩いている。
なんかいつの間にか仲良くなっているみたい。
「くぅううぅ、シェル様はなんであんな悪魔と仲良くおしゃべりをですわぁ」
「話くらい良いじゃない?」
エマ―ジェリアさんはシェルさんがリリスさんと仲良く話しているのが嫌みたい。
セキさんがなだめているけどぷんぷん怒っている。
「でもシェルさんの言う通りあの悪魔の子が最後に必要になるかもしれないらしいからね、今の所は共闘と言う事かしら?」
「そうなの姉さん?」
一番後ろを歩いている僕と姉さんはリリスさんが必要になるかもしれない話をしている。
姉さんは少し赤い顔しながらレアアイテムの「ハーピーの雫」を取る為にはリリスさんみたいのが適任らしい。
詳しくは教えてもらえなかったけどそう言う事なんだって。
まあそれでミーニャが大人しくなって村に帰ってくれるならそれで良いんだけどね。
と、そんな事を思っていると久々に登場してきたおじさんたちがいた。
「おいおいおい、いい女ぞろいじゃねーか~」
「お頭、俺らにも回してくだせえよ~」
「ひゃっひゃっひゃ、お前ら大人しくしていれば気持ちよくしてやるぜぇ~」
うん、盗賊の皆さんだね?
僕は姉さんと顔を見合わせる。
「路銀ね!」
「うん、路銀だね!!」
そして僕たちはそのおじさんたちに飛び掛かるのだった。
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