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第一章
第16話1-16魔王軍
しおりを挟むミーニャの作った魔王軍が遠くイージム大陸のイザンカ王国にまでご迷惑をかけてしまった。
「こうなったら本気で魔王軍ってのを退治してこれ以上変な噂が立たない様にしなきゃ!」
「そ、そうだね。しかしミーニャの世界征服がここまで進んでるなんて‥‥‥」
僕とフェンリル姉さんは他の人に聞かれない様にコソコソと話す。
するとシェルさんが僕たちを呼び寄せる。
「それじゃあソウマとフェンリルも手伝ってくれるという事で、ミューすぐにイザンカの連中に連絡して。セキが出れば周りに死人が出ちゃうかもしれないし、フェンリルもやる気になっているから普通の軍隊じゃ足手まといになるだろうしね」
「わかりましたシェル様。すぐに使いの者を王城へ行かせます」
そう言ってミューさんと呼ばれた女性は自分の影に話しかける。
するとそこから体にぴったりとした服を身に着けた全身黒づくめで目元をマスクで隠した女の人が出てきた。
凄いな、これってどんな魔法なんだろう?
「イクサ―、すぐにこの事を王城へ伝えて。『爆竜のセキ』様と『聖女』エマ―ジェリア様そして『女神の伴侶シェル』様がこの戦に参戦するわ! もう何も恐れる必要は無くなったわ!」
なんかすごい呼び名が出てきたな。
セキさんが爆竜でエマ―ジェリアさんが聖女、そしてシェルさんが女神様の伴侶?
え?
シェルさん女の人だよね?
「シェルさんって女神様の奥さんなんですか?」
「ええそうよ。おかげでこれだけ立派になっちゃったけどね」
そう言ってシェルさんは胸を持ち上げる。
「ああっ! その胸に飛び込みたいですわ!!」
エマージェリアさんがまた興奮し始めちゃった。
でも、シェルさんって本当に女神様のお嫁さんなんだ。
「まあ、あの人ったらなんだかんだ言って最後にはコクも自分のモノにしちゃったし、本当は母さんだけにしてもらいたいんだけど何時転生するか分からないし、何人もに分かれてそれぞれでって事に手を打っちゃったしなぁ‥‥‥」
「あらセキもしかしてやきもち? 良いじゃない、これが一番良い解決方法だったんだし、千年も待たされたこっちはずっとやきもきしていたのよ?」
からからと笑うシェルさんにセキさんは「う~、そうなんだけどぉ~」とか唸っている。
いったい今の女神様ってどうなっているんだろ?
そんな事を思いながら姉さんを見るとなんかぶつぶつ言ってる。
「なんでだろ? 今の話聞くとなんかむかむかするけど、その女神様には絶対に近づかない様にしないと思い切り襲われそうな気がする‥‥‥」
そしていきなり僕に抱き着いてくる。
「ソウマぁ~おねえちゃん怖いぃ~」
「ぶっ! 姉さんが何怖がるっての? 魔人だって姉さんなら一撃じゃないか」
何とか胸から顔を抜け出してそう言うけど今日の姉さんはちょっと違った。
そのまま僕にほおずりしている。
「ん~、やっぱりソウマの方がずっと良いよぉ~ お、女の子同士でなんて考えられないよぉ~」
すりすり
そんな僕たちにエマ―ジェリアさんは目を細め聞いてくる。
「ちょっと良いのですの? あの、ソウマ君たちって姉弟なのですわよね?」
「ぎくっ! あ、え、姉弟と言うか‥‥‥ そうだ、師弟だわっ! そう、師弟!! 私はソウマを立派な男にしてあげなきゃいけないのよ!!」
なんかエマ―ジェリアさんがこっちをジト目で見ているけど僕に抱き着いたままの姉さんを見てからもう一度僕を見る。
「ふんっ!」
あれ?
やっぱり嫌われているのかな?
そうだよなぁ~、村でもそうだったけど弱そうな僕はいつもみんなから呆れられていたもんなぁ。
姉さんとの旅で少しは強くなれたと思ったのに。
「はいはい、じゃあちゃっちゃと魔王軍を退治してボヘーミャに行かなきゃね。ミュー、その戦場にまで案内お願いね」
「はい、シェル様。すぐに馬車を用意いたします」
僕たちはすぐにその戦場に連れていかれるのだった。
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