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第十五章
15-30偽装運搬?
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15-30偽装運搬?
「女神の杖」を偽装運搬していると予測されるボヘーミャからの定期輸入品ミスリル合金。
これは世界でもその希少性と生産技術の特異点から現在は学園都市ボヘーミャでしか作られていない。
そして今ガレント王国では「ガーディアン計画」に基づくこの素材購入を定期的に行っている。
「ティアナ、もし『女神の杖』をイパネマ自身が運搬せず偽装運搬を行うならこの定期購入品であるミスリル合金ですわ!」
「なるほど、他には運搬は無いのですかセレ、ミアム?」
目星をつけガルザイルまでの運搬を考えると一番可能性が高いと思われる。
ミスリル合金以外の運搬についてセレとミアムが資料をまた読み返す。
「ボヘーミャからですと定期はミスリル合金だけです」
「他は不定期です。ティアナ様」
こういった事務処理的な事はこの二人の能力はあたしも評価している。
現在人の往来は緊急事態制限としてほぼ禁じられている。
となれば後は物品の運搬くらいしか方法が無いだろう。
その中で特に止められない、そして国家プロジェクトの要となる物は相変わらず動いている。
「まさかそんな大胆な方法で‥‥‥ しかしもっと問題な事は国家プロジェクトに対しその中枢にジュメルの協力者がまだ潜んでいたことですか?」
「可能性は否定できませんわ。ガレント王国内であってもジュメルの信仰者を探し出すのは並大抵の事では無いでしょうですわ」
ティアナは歯ぎしりしながらつぶやく。
「我が国の中枢にまだ裏切り者がいる‥‥‥」
とにかく今はその可能性を確認するしかない。
と、その前に。
「ティアナ、エスティマ様とゾナーはどうしまして?」
「今はガルザイルからまわされた隠密と協力してホリゾン帝国の内情を探る事をしています。ゾナーのルートの情報網と協力者との接触もしています」
その辺は抜かり無しか。
流石にゾナーも動いていると言う訳だ。
ホリゾン帝国の情報はあたしたちも欲しい所だ。
最悪の事態ではホリゾン帝国やルド王国に乗り込まなければならない。
「それでどうするつもりなのエルハイミ? ガルザイルに飛んでそのミスリル合金を運んでいる運搬を検問でもするの?」
シェルはここ最近出来上がったシルクの束を見ている。
なんだかんだ言ってそっちの方の出来具合も気にはしてくれているよう様だ。
「勿論急ぎガルザイルに飛びたい所ですがジュメルの協力者が王都にはいますわ。そのまま王城に居座っては向こうも警戒しますわ」
「確かにそうですね。となればどうします、エルハイミ?」
ティアナもあたしに向かって聞いてくる。
あたしはびっと人差し指を立ててあたしの考えを言う。
「ジュメルの協力者の相手が誰だか目星もつきませんわ。私たちが動けばかなり警戒するでしょう。なので実家に帰る事としますわ。そしてそこから迂回してミスリル合金運搬と接触し検問を行いますわ。そうすれば相手に怪しまれずに済みますわ!」
『アコードには連絡は?』
「そこはイオマにお願いしたいと思いますわ。イオマはティナとボヘーミャを自由に行き来出来、ガルザイルから運搬されたミスリル合金の受け取りなどの打ち合わせで王都に往来しても怪しまれずに済みますわ」
シコちゃんの言いたい事はよくわかる。
表面上あたしたちは長期休養でティナの町にいるが実家に戻る事は制限されていない。
しかし王城にジュメルに協力する者がいるかもしれないのだ。
その事はアコード陛下に伝えなければならない。
「イオマ、お願いできますかしら?」
「わかりました、お姉さま。でも後でご褒美くださいね?」
うっ?
何その期待した眼差し!?
「あー、最近あたしには手を出してくれないのにイオマには手を出すんだぁ?」
「お母様、セキだけでなくイオマにもご褒美とは! 私も何時も頑張っています、私にもおっぱおのご褒美をください!!」
「うみゃぁ? おっぱいらの?」
シェルが不服を言い始めたとたんコクやセキまで反応する。
なんでみんなあたしによってたかって!?
「エ、エルハイミ‥‥‥」
ティアナがジト目でこちらを見ている。
そしてその表情は涼やかなのに「許しません!」オーラを放っているぅ!?
あたしは慌てて話題を逸らす。
「と、とにかく私たちは一旦ユーベルトへ行きましょうですわ! それに行く途中にエネマ司祭にもお会いしたいのですわ!」
「エネマ司祭ですか? また、何故?」
『ああ、そう言う事ね? ゲートでしょエルハイミ?』
シコちゃんはすぐに気づいたようだ。
ファーナ神殿にあるゲートはボヘーミャとつながっている。
ガルザイルの王城からの移動は目立つので何かあった場合はあちらのゲートも使わせてもらおうと思うのだ。
「なるほど、何かあった場合は王城まで戻らなくてもボヘーミャに行ける訳ですね?」
「ええ、師匠とも連絡を取りながら何としてもこのガレント内で女神の杖を奪還しましょうですわ!!」
あたしたちは女神の杖奪還に向かって動き出すのであった。
「女神の杖」を偽装運搬していると予測されるボヘーミャからの定期輸入品ミスリル合金。
これは世界でもその希少性と生産技術の特異点から現在は学園都市ボヘーミャでしか作られていない。
そして今ガレント王国では「ガーディアン計画」に基づくこの素材購入を定期的に行っている。
「ティアナ、もし『女神の杖』をイパネマ自身が運搬せず偽装運搬を行うならこの定期購入品であるミスリル合金ですわ!」
「なるほど、他には運搬は無いのですかセレ、ミアム?」
目星をつけガルザイルまでの運搬を考えると一番可能性が高いと思われる。
ミスリル合金以外の運搬についてセレとミアムが資料をまた読み返す。
「ボヘーミャからですと定期はミスリル合金だけです」
「他は不定期です。ティアナ様」
こういった事務処理的な事はこの二人の能力はあたしも評価している。
現在人の往来は緊急事態制限としてほぼ禁じられている。
となれば後は物品の運搬くらいしか方法が無いだろう。
その中で特に止められない、そして国家プロジェクトの要となる物は相変わらず動いている。
「まさかそんな大胆な方法で‥‥‥ しかしもっと問題な事は国家プロジェクトに対しその中枢にジュメルの協力者がまだ潜んでいたことですか?」
「可能性は否定できませんわ。ガレント王国内であってもジュメルの信仰者を探し出すのは並大抵の事では無いでしょうですわ」
ティアナは歯ぎしりしながらつぶやく。
「我が国の中枢にまだ裏切り者がいる‥‥‥」
とにかく今はその可能性を確認するしかない。
と、その前に。
「ティアナ、エスティマ様とゾナーはどうしまして?」
「今はガルザイルからまわされた隠密と協力してホリゾン帝国の内情を探る事をしています。ゾナーのルートの情報網と協力者との接触もしています」
その辺は抜かり無しか。
流石にゾナーも動いていると言う訳だ。
ホリゾン帝国の情報はあたしたちも欲しい所だ。
最悪の事態ではホリゾン帝国やルド王国に乗り込まなければならない。
「それでどうするつもりなのエルハイミ? ガルザイルに飛んでそのミスリル合金を運んでいる運搬を検問でもするの?」
シェルはここ最近出来上がったシルクの束を見ている。
なんだかんだ言ってそっちの方の出来具合も気にはしてくれているよう様だ。
「勿論急ぎガルザイルに飛びたい所ですがジュメルの協力者が王都にはいますわ。そのまま王城に居座っては向こうも警戒しますわ」
「確かにそうですね。となればどうします、エルハイミ?」
ティアナもあたしに向かって聞いてくる。
あたしはびっと人差し指を立ててあたしの考えを言う。
「ジュメルの協力者の相手が誰だか目星もつきませんわ。私たちが動けばかなり警戒するでしょう。なので実家に帰る事としますわ。そしてそこから迂回してミスリル合金運搬と接触し検問を行いますわ。そうすれば相手に怪しまれずに済みますわ!」
『アコードには連絡は?』
「そこはイオマにお願いしたいと思いますわ。イオマはティナとボヘーミャを自由に行き来出来、ガルザイルから運搬されたミスリル合金の受け取りなどの打ち合わせで王都に往来しても怪しまれずに済みますわ」
シコちゃんの言いたい事はよくわかる。
表面上あたしたちは長期休養でティナの町にいるが実家に戻る事は制限されていない。
しかし王城にジュメルに協力する者がいるかもしれないのだ。
その事はアコード陛下に伝えなければならない。
「イオマ、お願いできますかしら?」
「わかりました、お姉さま。でも後でご褒美くださいね?」
うっ?
何その期待した眼差し!?
「あー、最近あたしには手を出してくれないのにイオマには手を出すんだぁ?」
「お母様、セキだけでなくイオマにもご褒美とは! 私も何時も頑張っています、私にもおっぱおのご褒美をください!!」
「うみゃぁ? おっぱいらの?」
シェルが不服を言い始めたとたんコクやセキまで反応する。
なんでみんなあたしによってたかって!?
「エ、エルハイミ‥‥‥」
ティアナがジト目でこちらを見ている。
そしてその表情は涼やかなのに「許しません!」オーラを放っているぅ!?
あたしは慌てて話題を逸らす。
「と、とにかく私たちは一旦ユーベルトへ行きましょうですわ! それに行く途中にエネマ司祭にもお会いしたいのですわ!」
「エネマ司祭ですか? また、何故?」
『ああ、そう言う事ね? ゲートでしょエルハイミ?』
シコちゃんはすぐに気づいたようだ。
ファーナ神殿にあるゲートはボヘーミャとつながっている。
ガルザイルの王城からの移動は目立つので何かあった場合はあちらのゲートも使わせてもらおうと思うのだ。
「なるほど、何かあった場合は王城まで戻らなくてもボヘーミャに行ける訳ですね?」
「ええ、師匠とも連絡を取りながら何としてもこのガレント内で女神の杖を奪還しましょうですわ!!」
あたしたちは女神の杖奪還に向かって動き出すのであった。
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