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第十四章
14-24海底神殿
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14-24海底神殿
「まさかエルハイミが天秤の女神アガシタ様と出会っていたなんてね。驚きだわ」
シェルにそう言われたあたしはサフェリナの郊外に有る砂浜に来ていた。
ここなら人もいないし建物とかも無いから大丈夫だろう。
「エルハイミ、本当にやるのですね?」
「エルハイミさん、大丈夫です情けで骨は拾ってあげますから!」
「そうです、正妻の座は安心して私たちに譲ってもらっていいんですから!」
心配そうにしているティアナに対してセレとミアムはあたしに何かあることを望んでいる。
こいつら‥‥‥
「しかしお母様、本当に大丈夫なのですか?」
コクは心配してあたしにすがりついてくる。
あたしはコクの頬に手を当て安心させるために撫でてあげる。
「大丈夫ですわ、それでは始めますわ。みんな下がっていてですわ」
『エルハイミ、アガシタ様に言われたこと忘れないでね!』
シコちゃんに言われあたしは頷いてから魔導士のライトプロテクター姿に成り魂の同調を始める。
「行きますわ! 同調フルバースト!!」
どんっ!
今までとは比較にならない同調が出来る!?
なにこれ?
あたしの肉体が細胞の一つ一つまで容易に把握できる?
そして魂の奥底からくる力をあたしは呼び寄せる。
それはほんの少し、髪の毛一本ほどのモノでしかない。
しかしそれはこの世界の女神すら凌駕する力。
その力があたしとつながる。
きんっ!
金属を打ち鳴らすような音がしたと思ったら一気にあの力があたしの中に膨れ上がる。
そしてあたしの瞳を金色に輝かせながらあたしがあたしになっていく。
へえぇ、いきなり成長できたね?
だいぶしっかりとあたしを迎えられているみたい。
あたしは周りを見る。
この娘の仲間がいる。
小さい存在たち。
でもそのはかなさが面白い。
あたしと違いはかなくも奇麗にもがくその姿は見ていて面白い。
「エ、エルハイミ?」
赤い髪の娘があたしに寄って来る。
確かティアナだっけ?
この娘はあたしのもの。
もう一人のあたしが愛して止まないもの。
「エルハイミ、大丈夫なのですか?」
この娘を気遣っているのだろうか?
確かにこの娘は急成長した。
あたしがしばらくこの世界にいられるくらいには。
『確かティアナとか言ったわね? 下がっていなさいケガするわよ? この体を使ってみたいから』
あたしはそう言って飛び上がってみる。
空中で停止して誰もいなそうな海に向かってほんの少しの力を飛ばしてみる。
ひょいっ。
どごぉばぁごぉおおおおぉぉぉん!!
数十メートルの水柱が立って海面にぽっかりと穴が開く。
しまった、これでもまだ力が大きいか?
半径百メートルくらい海底までぽっかり穴が開いてしまった。
そして発生する津波。
あー、めんどくさい。
しかしここのままではこの世界が津波で流されてしまう。
あたしは仕方なく津波を止める為手を振る。
その瞬間あたしの意思で津波を止め静かに元の海面にそれを戻す。
ごおおぉぉぉぉぉ
海面に空いた穴には周りの海水が流れ込んでいる。
こっちは大丈夫かな?
そんなに心配しなくても大丈夫だよ、もう一人のあたし。
さて、あたしは手刀を振ってみる。
そして虚空を切ると異次元がむき出しになってしまった。
おっと、これでも力が強いか?
うーん、この娘が成長したお陰でだいぶ自由に動けるようになったけど力加減が難しいな。
どうしよう?
そうだ、あたしの力のほんの一部をこの娘の魂に残しておこう、確か補助領域が有ったはずだからそこに入れておけば通常生活には影響が無いだろう。
それにこの魂、まだ枷がいっぱいついている。
あたしの一部に少しでも慣れればこの枷は外れるみたいね?
面白い!
この娘、やっぱり面白いおもちゃだ!
あたしのこの世界への依り代になってくれるまで成長してもらいたいものだな。
と、いけないいけない。
アガシタ様に言われてたっけ、自我を失うなと。
今のあたしはこの娘のあたしとあたしが一緒になっている。
本体のあたしの意思が強すぎるとこの娘のあたしが消えちゃうもんね。
気を付けなきゃ。
さてと。
あたしは砂浜に戻ってみる。
すると小さい者たちが寄ってくる。
おや?
小さい物なのにこの更に見た目の小さいのはそこそこ力が有るわね?
「お、お母様? いや違う、誰ですあなたは?」
「エルハイミではないのですか、コク!?」
「こ、黒龍様、これはっ!?」
「主様、しっかりしやがれです!! 何なんでいやがりますかこれは!?」
「へ? なに? エルハイミじゃないの??」
「シェル~っ! エルハイミが変だよぉ!!」
どうやらこの竜の娘はあたしに気付いているみたいだな?
この世界の神か?
いや、そこまで力はないな。
他の小さい連中も何やら言っているがあたしはあたしなんだけどね?
それでもティアナはあたしに近づいてくる。
「エルハイミ、あなたではないのですか? エルハイミ、お願い、戻ってきて、おねがいよっ!!」
うーん、あたしはあたしなのだが‥‥‥
『安心なさい、ティアナ。あたしはあたしよ。うーん、今はこの娘と一緒になっているからエルハイミとか言う娘で間違いないわ』
「エルハイミ!」
そう言ってティアナはあたしに抱き着いてくる。
おっと、抱き返したいけど力加減を間違えたらこの小さな娘をつぶしちゃう。
うーん、抱き返してキスしたい‥‥‥
って、これはこの娘の意思か?
まあいいか、そろそろ離れてやらないとね。
だいぶこちらの世界にもいられるようになったし、この娘の負荷もかなり減ったみたいだしね。
さて、面白かった。
予備領域に力を少しだけ残してやっていくか。
あたしはそう思いこの娘から、この世界から離れる。
―― はっ!? ――
あ、あれ?
あたしは何を?
い、いや、分かってはいる。
あたしじゃないあたしがいろいろな事をしていたことは。
あたしはあたしに抱き着いているティアナの背に手を回す。
そしてティアナに口づけする。
「んはっ、エ、エルハイミ?」
「はいですわ、ティアナ」
あたしはそう言ってにっこりと微笑み返す。
「エルハイミ? ねえ、何時ものエルハイミよね?」
「あ、何時ものエルハイミっぽい?」
「お母様! 戻ったのですね!?」
シェルとマリアがあたしを覗き込みコクがあたしに抱き着いてくる。
「エルハイミ、元に戻ったの? ねえ、エルハイミ!?」
「落ち着いてくださいですわ、ティアナ。私はいつものエルハイミですわ」
あたしはそう言ってティアナを安心させる。
そして実感できた。
あのお方の力、そして同調フルバーストした時のあのお方との融合。
あたしとあのお方の融合した意識、もう一人のあたし。
正直に言ってあたしなのだけどあたしと少し違う。
別人格でも無いので更にややこしい。
しいて言えば覚醒状態?
あたしの意思が強ければあたし寄りに成れるけど、あのお方の意志が強くなるとあたしが消えかかってしまう。
アガシタ様の言う通り、これはかなり危険だ。
そしてもう一人のあたしは無慈悲だ。
もう一人のあたしはこの世界やあたしが面白いと感じて遊んでいるだけ。
慈悲も情も無い。
だからあたしの意思が強く無いと完全に乗っ取られ、気まぐれでティアナさえ破壊してしまう。
あたしは内心の動揺をみんなに気取られない様にする。
「とにかくあの力がある程度使える事は分かりましたわ。それに何とか私が私として意思も保てるようですし、コクが感じた私では無い私は間違いなく私ですわ」
「お母様のあの状態は女神様と同じ雰囲気がしていました。でもお母様の意思はあるのですね?」
「ええ、口調や雰囲気は違うかもしれませんが私の意思が宿っていますわ。だからあれも私ですわ」
あたしはコクの頭に手をのせ撫でながらそう言う。
「じゃあさ、これでヨハネス神父にも負けないじゃない! すごい、エルハイミ!」
シェルははしゃぎながらそう言うけど完全とはいかない。
「ええ、とりあえずは対抗手段が出来ましたわ。ただ、今の所あの状態でいられるのはせいぜい三十分くらいでしょう。まだまだ慣れが必要ですわ」
あたしはそう言うが、実際それ以上あの状態にいるとあたしの意思がかき消されそうになる。
さっきはティアナが抱き着いて来てくれたおかげでかろうじて自我が保てたけど、あのままずっといたらやばかったかもしれない。
そうすると先ほどの時間が大体三十分くらい。
今の限界時間と捉えた方が良いだろう。
「しかし主よ、凄まじい力だな。あれでは『巨人』も倒せるのではないか?」
「主様の先ほどのお力、我らを大きく超えておりました。このクロ、感服いたしましたぞ」
「ちっ、人間風情でも主様は主様でいやがりますか。まあ黒龍様を仕えさせるのでいやがります、そのくらいでなくては困りやがります」
ショーゴさんやクロさん、クロエさんもそんな事を言いながらあたしの近くまで来た。
「全く、エルハイミさんたちといると常識ってものを考えさせられるわね? エルハイミさんはもう魔導士でもなく人でもなくなってしまったようね?」
「くぅ、おのれ正妻。せっかくティアナ様の正妻の座が手に入ると思ったのに!」
「ミアム、それでもまだチャンスはあるわ! 諦めないで!」
イパネマさんはあたしに飲み物を差し出して来てくれる。
セレやミアムはティアナにまとわりついているけどあたしはイパネマさんにもらった飲み物を口にする。
「あの力、本当に女神以上なのね? エルハイミさんはそこまで大きな力を手に入れどうするつもり?」
「イパネマさん、私の考えは変わりませんわ。ジュメルを倒す。そして平和を取り戻しティアナと静かに暮らすのですわ!」
「平和に静かにね‥‥‥ いいわ、今はあなたを信じましょう」
イパネマさんはそう言って向こうに行ってしまった。
イパネマさんの言う平和って多分理想論だと思う。
でもまずはジュメルを滅ぼさなければそんな事すら言っていられなくなる。
だからあたしたちは今出来る事をやらなくてはいけない。
「海底神殿」へ行かなくてはいけないのだ。
「まさかエルハイミが天秤の女神アガシタ様と出会っていたなんてね。驚きだわ」
シェルにそう言われたあたしはサフェリナの郊外に有る砂浜に来ていた。
ここなら人もいないし建物とかも無いから大丈夫だろう。
「エルハイミ、本当にやるのですね?」
「エルハイミさん、大丈夫です情けで骨は拾ってあげますから!」
「そうです、正妻の座は安心して私たちに譲ってもらっていいんですから!」
心配そうにしているティアナに対してセレとミアムはあたしに何かあることを望んでいる。
こいつら‥‥‥
「しかしお母様、本当に大丈夫なのですか?」
コクは心配してあたしにすがりついてくる。
あたしはコクの頬に手を当て安心させるために撫でてあげる。
「大丈夫ですわ、それでは始めますわ。みんな下がっていてですわ」
『エルハイミ、アガシタ様に言われたこと忘れないでね!』
シコちゃんに言われあたしは頷いてから魔導士のライトプロテクター姿に成り魂の同調を始める。
「行きますわ! 同調フルバースト!!」
どんっ!
今までとは比較にならない同調が出来る!?
なにこれ?
あたしの肉体が細胞の一つ一つまで容易に把握できる?
そして魂の奥底からくる力をあたしは呼び寄せる。
それはほんの少し、髪の毛一本ほどのモノでしかない。
しかしそれはこの世界の女神すら凌駕する力。
その力があたしとつながる。
きんっ!
金属を打ち鳴らすような音がしたと思ったら一気にあの力があたしの中に膨れ上がる。
そしてあたしの瞳を金色に輝かせながらあたしがあたしになっていく。
へえぇ、いきなり成長できたね?
だいぶしっかりとあたしを迎えられているみたい。
あたしは周りを見る。
この娘の仲間がいる。
小さい存在たち。
でもそのはかなさが面白い。
あたしと違いはかなくも奇麗にもがくその姿は見ていて面白い。
「エ、エルハイミ?」
赤い髪の娘があたしに寄って来る。
確かティアナだっけ?
この娘はあたしのもの。
もう一人のあたしが愛して止まないもの。
「エルハイミ、大丈夫なのですか?」
この娘を気遣っているのだろうか?
確かにこの娘は急成長した。
あたしがしばらくこの世界にいられるくらいには。
『確かティアナとか言ったわね? 下がっていなさいケガするわよ? この体を使ってみたいから』
あたしはそう言って飛び上がってみる。
空中で停止して誰もいなそうな海に向かってほんの少しの力を飛ばしてみる。
ひょいっ。
どごぉばぁごぉおおおおぉぉぉん!!
数十メートルの水柱が立って海面にぽっかりと穴が開く。
しまった、これでもまだ力が大きいか?
半径百メートルくらい海底までぽっかり穴が開いてしまった。
そして発生する津波。
あー、めんどくさい。
しかしここのままではこの世界が津波で流されてしまう。
あたしは仕方なく津波を止める為手を振る。
その瞬間あたしの意思で津波を止め静かに元の海面にそれを戻す。
ごおおぉぉぉぉぉ
海面に空いた穴には周りの海水が流れ込んでいる。
こっちは大丈夫かな?
そんなに心配しなくても大丈夫だよ、もう一人のあたし。
さて、あたしは手刀を振ってみる。
そして虚空を切ると異次元がむき出しになってしまった。
おっと、これでも力が強いか?
うーん、この娘が成長したお陰でだいぶ自由に動けるようになったけど力加減が難しいな。
どうしよう?
そうだ、あたしの力のほんの一部をこの娘の魂に残しておこう、確か補助領域が有ったはずだからそこに入れておけば通常生活には影響が無いだろう。
それにこの魂、まだ枷がいっぱいついている。
あたしの一部に少しでも慣れればこの枷は外れるみたいね?
面白い!
この娘、やっぱり面白いおもちゃだ!
あたしのこの世界への依り代になってくれるまで成長してもらいたいものだな。
と、いけないいけない。
アガシタ様に言われてたっけ、自我を失うなと。
今のあたしはこの娘のあたしとあたしが一緒になっている。
本体のあたしの意思が強すぎるとこの娘のあたしが消えちゃうもんね。
気を付けなきゃ。
さてと。
あたしは砂浜に戻ってみる。
すると小さい者たちが寄ってくる。
おや?
小さい物なのにこの更に見た目の小さいのはそこそこ力が有るわね?
「お、お母様? いや違う、誰ですあなたは?」
「エルハイミではないのですか、コク!?」
「こ、黒龍様、これはっ!?」
「主様、しっかりしやがれです!! 何なんでいやがりますかこれは!?」
「へ? なに? エルハイミじゃないの??」
「シェル~っ! エルハイミが変だよぉ!!」
どうやらこの竜の娘はあたしに気付いているみたいだな?
この世界の神か?
いや、そこまで力はないな。
他の小さい連中も何やら言っているがあたしはあたしなんだけどね?
それでもティアナはあたしに近づいてくる。
「エルハイミ、あなたではないのですか? エルハイミ、お願い、戻ってきて、おねがいよっ!!」
うーん、あたしはあたしなのだが‥‥‥
『安心なさい、ティアナ。あたしはあたしよ。うーん、今はこの娘と一緒になっているからエルハイミとか言う娘で間違いないわ』
「エルハイミ!」
そう言ってティアナはあたしに抱き着いてくる。
おっと、抱き返したいけど力加減を間違えたらこの小さな娘をつぶしちゃう。
うーん、抱き返してキスしたい‥‥‥
って、これはこの娘の意思か?
まあいいか、そろそろ離れてやらないとね。
だいぶこちらの世界にもいられるようになったし、この娘の負荷もかなり減ったみたいだしね。
さて、面白かった。
予備領域に力を少しだけ残してやっていくか。
あたしはそう思いこの娘から、この世界から離れる。
―― はっ!? ――
あ、あれ?
あたしは何を?
い、いや、分かってはいる。
あたしじゃないあたしがいろいろな事をしていたことは。
あたしはあたしに抱き着いているティアナの背に手を回す。
そしてティアナに口づけする。
「んはっ、エ、エルハイミ?」
「はいですわ、ティアナ」
あたしはそう言ってにっこりと微笑み返す。
「エルハイミ? ねえ、何時ものエルハイミよね?」
「あ、何時ものエルハイミっぽい?」
「お母様! 戻ったのですね!?」
シェルとマリアがあたしを覗き込みコクがあたしに抱き着いてくる。
「エルハイミ、元に戻ったの? ねえ、エルハイミ!?」
「落ち着いてくださいですわ、ティアナ。私はいつものエルハイミですわ」
あたしはそう言ってティアナを安心させる。
そして実感できた。
あのお方の力、そして同調フルバーストした時のあのお方との融合。
あたしとあのお方の融合した意識、もう一人のあたし。
正直に言ってあたしなのだけどあたしと少し違う。
別人格でも無いので更にややこしい。
しいて言えば覚醒状態?
あたしの意思が強ければあたし寄りに成れるけど、あのお方の意志が強くなるとあたしが消えかかってしまう。
アガシタ様の言う通り、これはかなり危険だ。
そしてもう一人のあたしは無慈悲だ。
もう一人のあたしはこの世界やあたしが面白いと感じて遊んでいるだけ。
慈悲も情も無い。
だからあたしの意思が強く無いと完全に乗っ取られ、気まぐれでティアナさえ破壊してしまう。
あたしは内心の動揺をみんなに気取られない様にする。
「とにかくあの力がある程度使える事は分かりましたわ。それに何とか私が私として意思も保てるようですし、コクが感じた私では無い私は間違いなく私ですわ」
「お母様のあの状態は女神様と同じ雰囲気がしていました。でもお母様の意思はあるのですね?」
「ええ、口調や雰囲気は違うかもしれませんが私の意思が宿っていますわ。だからあれも私ですわ」
あたしはコクの頭に手をのせ撫でながらそう言う。
「じゃあさ、これでヨハネス神父にも負けないじゃない! すごい、エルハイミ!」
シェルははしゃぎながらそう言うけど完全とはいかない。
「ええ、とりあえずは対抗手段が出来ましたわ。ただ、今の所あの状態でいられるのはせいぜい三十分くらいでしょう。まだまだ慣れが必要ですわ」
あたしはそう言うが、実際それ以上あの状態にいるとあたしの意思がかき消されそうになる。
さっきはティアナが抱き着いて来てくれたおかげでかろうじて自我が保てたけど、あのままずっといたらやばかったかもしれない。
そうすると先ほどの時間が大体三十分くらい。
今の限界時間と捉えた方が良いだろう。
「しかし主よ、凄まじい力だな。あれでは『巨人』も倒せるのではないか?」
「主様の先ほどのお力、我らを大きく超えておりました。このクロ、感服いたしましたぞ」
「ちっ、人間風情でも主様は主様でいやがりますか。まあ黒龍様を仕えさせるのでいやがります、そのくらいでなくては困りやがります」
ショーゴさんやクロさん、クロエさんもそんな事を言いながらあたしの近くまで来た。
「全く、エルハイミさんたちといると常識ってものを考えさせられるわね? エルハイミさんはもう魔導士でもなく人でもなくなってしまったようね?」
「くぅ、おのれ正妻。せっかくティアナ様の正妻の座が手に入ると思ったのに!」
「ミアム、それでもまだチャンスはあるわ! 諦めないで!」
イパネマさんはあたしに飲み物を差し出して来てくれる。
セレやミアムはティアナにまとわりついているけどあたしはイパネマさんにもらった飲み物を口にする。
「あの力、本当に女神以上なのね? エルハイミさんはそこまで大きな力を手に入れどうするつもり?」
「イパネマさん、私の考えは変わりませんわ。ジュメルを倒す。そして平和を取り戻しティアナと静かに暮らすのですわ!」
「平和に静かにね‥‥‥ いいわ、今はあなたを信じましょう」
イパネマさんはそう言って向こうに行ってしまった。
イパネマさんの言う平和って多分理想論だと思う。
でもまずはジュメルを滅ぼさなければそんな事すら言っていられなくなる。
だからあたしたちは今出来る事をやらなくてはいけない。
「海底神殿」へ行かなくてはいけないのだ。
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