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第十章
10-21居城
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10-21居城
あたしたちはいよいよリッチがいる居城に足を踏み入れた。
「主よ、いよいよ居城に入るが中庭を過ぎると正面に城がある。王の間はその上だ。リッチはきっとそこにいるだろう」
ショーゴさんはそう言ってなぎなたソードを握り直す。
きっと昔を思い出しているのだろう。
あたしはその居城を見上げる。
人が住んでいた頃はきっと素晴らしい城だったのだろう。
しかし今はまさしくホラーハウスの如きおどろおどろしさが漂っている。
黒く汚れた壁、半分かれた蔦。
そしてボロボロになった旗や垂れ幕が風にたなびいている。
壁や城壁も戦いの後の傷がそのまま残りこの城が人の手に有った頃の襲撃の悲惨さを物語っている。
あたしたちは最後の城壁をくぐり中庭に差し掛かった頃だった。
その中庭にはうごめくものが多数。
ショーゴさんは「お前たち‥‥‥」とだけ言って無造作になぎなたソードを構えその中に飛び込んでいった。
「うぅぉおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!」
まさしく乱舞と言っていいその所業。
見ればアンデットと化した衛兵や元騎士だと思われる者を次々と切り倒していく。
「面倒でいやがります、私も手伝ってきますです」
「待ちなさい、クロエ。ここはショーゴにやらせてあげなさい」
ずいっと前に出るクロエさんをコクは引き留めた。
クロエさんは怪訝な顔をしたが素直にコクに従う。
「うおおおおおおぉぉっ!!」
ショーゴさんは休むことなく元仲間たちを切り倒していく。
その壮絶な姿はまさしく涙を流せない鬼神の如く。
最後のアンデットを切り刻むまでショーゴさんは止まることが無かった。
ざんっ!!
最後のアンデットが切り伏せられ動かなくなる。
そしてショーゴさんはなぎなたソードを振ってから地面に突き刺す。
「静かに眠れ、友たちよ。主よこいつらの骸を焼いてくれないか?」
そう言いながらあたしに振り向くその表情は深い深い悲しみに包まれていた。
コクがあたしの袖を引く。
「主様、私が彼らの骸を焼きます」
そう言ってあたしを見つめてくるコク。
あたしはショーゴさんを見る。
ショーゴさんは優しく笑ってこう言う。
「コクは優しいな。ありがとう、頼む」
そう言ってなぎなたソードを引き抜きこちらに来る。
コクは大きく息を吸ってその骸たちをドラゴンブレスで焼いて行く。
荼毘に揺れる骸は何処か解放されたような感じがする。
その立ち上る煙を見ていたショーゴさんは城を見てこう言う。
「リッチよ、その首洗って待っていろ! 俺が貴様に引導渡してくれる!!」
そう言って城の中に入っていった。
あたしたちも無言でショーゴさんについて行くのだった。
* * * * *
その後もたまにアンデットが出てくるもののあたしたちにとって脅威にすらならない。
しかしそのほとんどを切り倒していったのはショーゴさんだった。
それは出てくるアンデットがほとんど元この城にかかわっている者だったからだ。
メイドや料理人、衛兵に大臣らしい恰好をした者。
それらを切り伏せているショーゴさんの顔つきは怒りに震えていた。
そしてほどなくこの城の謁見の間と思われる所まで来た。
「ここが王の間だ。リッチはこの中にいるだろう」
そう言って重い扉をショーゴさんは開いていく。
そして開かれた扉の奥には広々とした謁見の間、王の間が広がっていた。
その一番奥、王が坐するべき大きな椅子にはいま不浄の者の王、リッチが座っていた。
『よくここまでたどり着いたものだな。生きている人間に会うのは久しい』
肘を突き頬に手を当て、そのミイラのようなくぼんだ眼には眼球が無く怪しく光る赤が揺らいでいた。
「亡者の王リッチよ、ジマの国を返してもらう! そしてミグロの呪いも解いてもらうぞ!」
ショーゴさんはなぎなたソードの切っ先をリッチに向けてそう叫ぶ。
『王の御前だ、ひかえろ』
しかしその切っ先の前にあの六枚の黒い羽根を持ち金ぴかの鎧をまとった肌の青白いイケメンが割って入る。
その堕天使は静かにリッチとあたしたちの間にたたずんだ。
「邪魔だ、どけ」
『不敬だな。貴様その非礼許しがたいぞ』
と、次の瞬間ショーゴさんは異形の兜の戦士に変身しながらこの堕天使に切り込んでいく!
しかし堕天使もそのショーゴさんの刃を持っていた黒い剣で受け止める。
きんっ!
がぎぃいいぃんっ!!
火花を散らしショーゴさんとこの堕天使は切り結んでいく。
そのスピードは徐々に上がっていき既にその動きが目でとらえるのが厳しくなってきたほどだ。
『流石にここまで来るだけの事はある。その実力だけは認めてやろう』
そう言って堕天使は一旦大きく下がる。
そして黒い翼を広げその魔力を高めていく。
『しかしそれではまだ足らん! お遊びは終わりだ本気を出してやろう』
「ごちゃごちゃうるさい!」
そう短く言ってショーゴさんはこの堕天使に切り込んでいくのだった。
あたしたちはいよいよリッチがいる居城に足を踏み入れた。
「主よ、いよいよ居城に入るが中庭を過ぎると正面に城がある。王の間はその上だ。リッチはきっとそこにいるだろう」
ショーゴさんはそう言ってなぎなたソードを握り直す。
きっと昔を思い出しているのだろう。
あたしはその居城を見上げる。
人が住んでいた頃はきっと素晴らしい城だったのだろう。
しかし今はまさしくホラーハウスの如きおどろおどろしさが漂っている。
黒く汚れた壁、半分かれた蔦。
そしてボロボロになった旗や垂れ幕が風にたなびいている。
壁や城壁も戦いの後の傷がそのまま残りこの城が人の手に有った頃の襲撃の悲惨さを物語っている。
あたしたちは最後の城壁をくぐり中庭に差し掛かった頃だった。
その中庭にはうごめくものが多数。
ショーゴさんは「お前たち‥‥‥」とだけ言って無造作になぎなたソードを構えその中に飛び込んでいった。
「うぅぉおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!」
まさしく乱舞と言っていいその所業。
見ればアンデットと化した衛兵や元騎士だと思われる者を次々と切り倒していく。
「面倒でいやがります、私も手伝ってきますです」
「待ちなさい、クロエ。ここはショーゴにやらせてあげなさい」
ずいっと前に出るクロエさんをコクは引き留めた。
クロエさんは怪訝な顔をしたが素直にコクに従う。
「うおおおおおおぉぉっ!!」
ショーゴさんは休むことなく元仲間たちを切り倒していく。
その壮絶な姿はまさしく涙を流せない鬼神の如く。
最後のアンデットを切り刻むまでショーゴさんは止まることが無かった。
ざんっ!!
最後のアンデットが切り伏せられ動かなくなる。
そしてショーゴさんはなぎなたソードを振ってから地面に突き刺す。
「静かに眠れ、友たちよ。主よこいつらの骸を焼いてくれないか?」
そう言いながらあたしに振り向くその表情は深い深い悲しみに包まれていた。
コクがあたしの袖を引く。
「主様、私が彼らの骸を焼きます」
そう言ってあたしを見つめてくるコク。
あたしはショーゴさんを見る。
ショーゴさんは優しく笑ってこう言う。
「コクは優しいな。ありがとう、頼む」
そう言ってなぎなたソードを引き抜きこちらに来る。
コクは大きく息を吸ってその骸たちをドラゴンブレスで焼いて行く。
荼毘に揺れる骸は何処か解放されたような感じがする。
その立ち上る煙を見ていたショーゴさんは城を見てこう言う。
「リッチよ、その首洗って待っていろ! 俺が貴様に引導渡してくれる!!」
そう言って城の中に入っていった。
あたしたちも無言でショーゴさんについて行くのだった。
* * * * *
その後もたまにアンデットが出てくるもののあたしたちにとって脅威にすらならない。
しかしそのほとんどを切り倒していったのはショーゴさんだった。
それは出てくるアンデットがほとんど元この城にかかわっている者だったからだ。
メイドや料理人、衛兵に大臣らしい恰好をした者。
それらを切り伏せているショーゴさんの顔つきは怒りに震えていた。
そしてほどなくこの城の謁見の間と思われる所まで来た。
「ここが王の間だ。リッチはこの中にいるだろう」
そう言って重い扉をショーゴさんは開いていく。
そして開かれた扉の奥には広々とした謁見の間、王の間が広がっていた。
その一番奥、王が坐するべき大きな椅子にはいま不浄の者の王、リッチが座っていた。
『よくここまでたどり着いたものだな。生きている人間に会うのは久しい』
肘を突き頬に手を当て、そのミイラのようなくぼんだ眼には眼球が無く怪しく光る赤が揺らいでいた。
「亡者の王リッチよ、ジマの国を返してもらう! そしてミグロの呪いも解いてもらうぞ!」
ショーゴさんはなぎなたソードの切っ先をリッチに向けてそう叫ぶ。
『王の御前だ、ひかえろ』
しかしその切っ先の前にあの六枚の黒い羽根を持ち金ぴかの鎧をまとった肌の青白いイケメンが割って入る。
その堕天使は静かにリッチとあたしたちの間にたたずんだ。
「邪魔だ、どけ」
『不敬だな。貴様その非礼許しがたいぞ』
と、次の瞬間ショーゴさんは異形の兜の戦士に変身しながらこの堕天使に切り込んでいく!
しかし堕天使もそのショーゴさんの刃を持っていた黒い剣で受け止める。
きんっ!
がぎぃいいぃんっ!!
火花を散らしショーゴさんとこの堕天使は切り結んでいく。
そのスピードは徐々に上がっていき既にその動きが目でとらえるのが厳しくなってきたほどだ。
『流石にここまで来るだけの事はある。その実力だけは認めてやろう』
そう言って堕天使は一旦大きく下がる。
そして黒い翼を広げその魔力を高めていく。
『しかしそれではまだ足らん! お遊びは終わりだ本気を出してやろう』
「ごちゃごちゃうるさい!」
そう短く言ってショーゴさんはこの堕天使に切り込んでいくのだった。
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