95 / 610
第四章
4-31ティアナの胸
しおりを挟む
4-31ティアナの胸
最悪の事態は何とか免れた。
しかし新たな危機が迫っていた、主にあたしとティアナに!!
今は王城に戻り、事態の報告を行っている。
「と、言う訳でありまして、ホリゾンは自国内領域に拠点となる砦を築くこととなりました。そしてその御身を差し出されたティアナ殿下のおかげでこの二年間はまず侵攻が無きことは確実となりました」
宮廷魔術師のドミンゴさんの報告にまずはここ、宮廷会議で安堵の息が各所から洩れる。
しかし、息の中にはため息も混じる。
「殿下の献身は愛国の現れ。まさに尊いのですが、万が一殿下がホリゾンに嫁ぐこととなればこれまた一大事」
「しかもその勝敗の条件と言うのが‥‥‥」
大臣たちも何と言っていいのやら。
わかる、わかるわよ、その気持ち!!
でも今回のあの場での全権はティアナに任されていたわけだし、国王陛下も最悪は本気でホリゾンと事を構えるつもりだったわけだし、それを考えるとまずまずの成果と言っていいのだけど‥‥‥
「皆様、ご心配召されるな。私はこの二年できっと母上のようになります。シルフィー叔母様やアテンザ姉さまを見れば私の勝利はゆるぎなきもの! 女としてさらに邁進いたしますわ!!」
鼻息荒いティアナ。
確かに叔母であるシルフィー様や姉であるアテンザ様はご立派なものをお持ちだ。
しかしお世辞にも今のティアナはその足元にも及ばない。
勿論、あたしも人様の事言えたものではないが、最近ティアナとあたしの格差は日に日になくなってきているような気がする。
‥‥‥本当に大丈夫なんでしょうね、ティアナ!!!?
ティアナがあんな奴の所に嫁ぐのも勿論、あたしまで愛人として引き取られるなんてまっぴらごめんだわ!!
そんなことを悩んでいると一人の大臣がポツリと言う。
「しかし、万が一があった場合その損失は計り知れなくなってしまいますな。無詠唱の使い手が二人も敵陣営に行ってしまう可能性があるとは‥‥‥」
「「あっ!」」
きれいにあたしとティアナの声がハモってしまった。
大臣の発言があるまでその重要な事をすっかり忘れていたあたしたち。
や、やばい、これって本気でどうにかしないと手籠めにされた挙句自国に刃を向けさせられる羽目になってしまう!!
何か対策を取らなきゃ。
と、こういった問題って誰に相談すればいいのよ?
あたしは思案するも、良い方法が見つからない。
となると、困ったときの師匠頼みかな‥‥‥
いや、アンナさんに頼るとか?
「陛下、何はともあれ私は一度学園都市ボヘーミャに戻ろうと思います」
ティアナがみんなが悩んでいる中、陛下に発言する。
「今はマシンドールの魔晶石核の切り替えが最優先と思います。二年後どのような結果になってもマシンドールが使えないのでは意味がありません。まずは国の守りの要となるマシンドールの更新を急ぐのが先決かと」
学園では開発棟で双備型魔晶石核の量産に入っている頃だろう。
確かにまずは備えが重要。
ティアナの話も一理ある。
「うむ、ティアナよ学園に行くことを許可しよう。そなたの言う通りまずは守りを固めねば話にならん」
「ありがとうございます、陛下。それでは明日にでも学園に戻ることといたします」
そう言ってティアナは退席をしようとすると、国王陛下は言いにくそうにティアナに声をかける。
「んんっ、それと、ティアナよ、健康の為に毎日牛乳を飲むといいらしい。ボヘーミャでも牛乳を飲み健康には気を付けるのだぞ」
陛下、何の健康ですかっ!?
いや、孫娘を訳の分からんどこぞの馬の骨になんて嫁がせたくないのはわかります。
しかし牛乳って迷信じゃなかったの!?
「そう言えば適度な、こう、手と手を合わせて力を入れる運動もいいと言われてますぞ!」
「いやいや、わしが聞いた話では腕をこうして組んで上半身をだな~」
何やらいきなりティアナの為の健康にかかわる話が宮廷会議で盛り上がりを見せる。
あたしは呆気に取られていたが、なんで大臣たちそんなに詳しいのよ!?
‥‥‥参考にはなるけど。
このまま聞いていると更にこの話題で盛り上がりを増していきそうなので、あたしとティアナはとっととこの場を後にした。
* * * * *
「時にティアナ、本当に大丈夫なんですの?」
周りに人気が無い馬車の中であたしはティアナに質問する。
「大丈夫って、何が?」
「胸の事ですわ。最近はわかりませんが、その、ティアナのサイズは成長しているのですの?」
それを聞いたティアナは胸を張り、言い切る。
「大丈夫よ、ちゃんと成長するわ、これから!」
いやいやいや、なにそれっ!?
これからって何!?
「最近私も膨らんできましたが、その、見た感じティアナとあまり変わらないような気がしますわ‥‥‥」
「うそっ!? そんなはずは! ちょっとエルハイミ触らせて!」
そう言ってティアナはいきなりあたしの胸をもむ。
「のひゃぁっ!?」
いきなりの事で驚いて変な声が出てしまう。
しかしティアナは容赦なくあたしの胸をもむ。
ふにふにふにふに‥‥‥
「ちょ、ティ、ティアナ! くすぐったいですわっ!!」
ふにふにふに‥‥‥
「そ、そんなっ! わ、私とあまり変わらないですって!?」
ふにふにふにふに‥‥‥
驚きながらまだあたしの胸をもんでいる。
「ティ、ティアナ、駄目ですわ、そんなに揉まないで‥‥‥」
くすぐったいのになんか、へんな感じが‥‥‥
がちゃ。
「「あっ」」
「ティアナ殿下、エルハイミさん、お疲れ様です。おまちして‥‥‥ きゃぁっ! ご、ごめんなさいっ! わ、私何も見ていませんっっっ!!」
ばたんっ!!
どうやら神殿に着いたらしいけど、開けられた馬車の扉は再びファルによって閉められてしまった。
「こ、これは違いますのぉぉおおっっ!!!!」
あたしの絶叫だけがこだました。
最悪の事態は何とか免れた。
しかし新たな危機が迫っていた、主にあたしとティアナに!!
今は王城に戻り、事態の報告を行っている。
「と、言う訳でありまして、ホリゾンは自国内領域に拠点となる砦を築くこととなりました。そしてその御身を差し出されたティアナ殿下のおかげでこの二年間はまず侵攻が無きことは確実となりました」
宮廷魔術師のドミンゴさんの報告にまずはここ、宮廷会議で安堵の息が各所から洩れる。
しかし、息の中にはため息も混じる。
「殿下の献身は愛国の現れ。まさに尊いのですが、万が一殿下がホリゾンに嫁ぐこととなればこれまた一大事」
「しかもその勝敗の条件と言うのが‥‥‥」
大臣たちも何と言っていいのやら。
わかる、わかるわよ、その気持ち!!
でも今回のあの場での全権はティアナに任されていたわけだし、国王陛下も最悪は本気でホリゾンと事を構えるつもりだったわけだし、それを考えるとまずまずの成果と言っていいのだけど‥‥‥
「皆様、ご心配召されるな。私はこの二年できっと母上のようになります。シルフィー叔母様やアテンザ姉さまを見れば私の勝利はゆるぎなきもの! 女としてさらに邁進いたしますわ!!」
鼻息荒いティアナ。
確かに叔母であるシルフィー様や姉であるアテンザ様はご立派なものをお持ちだ。
しかしお世辞にも今のティアナはその足元にも及ばない。
勿論、あたしも人様の事言えたものではないが、最近ティアナとあたしの格差は日に日になくなってきているような気がする。
‥‥‥本当に大丈夫なんでしょうね、ティアナ!!!?
ティアナがあんな奴の所に嫁ぐのも勿論、あたしまで愛人として引き取られるなんてまっぴらごめんだわ!!
そんなことを悩んでいると一人の大臣がポツリと言う。
「しかし、万が一があった場合その損失は計り知れなくなってしまいますな。無詠唱の使い手が二人も敵陣営に行ってしまう可能性があるとは‥‥‥」
「「あっ!」」
きれいにあたしとティアナの声がハモってしまった。
大臣の発言があるまでその重要な事をすっかり忘れていたあたしたち。
や、やばい、これって本気でどうにかしないと手籠めにされた挙句自国に刃を向けさせられる羽目になってしまう!!
何か対策を取らなきゃ。
と、こういった問題って誰に相談すればいいのよ?
あたしは思案するも、良い方法が見つからない。
となると、困ったときの師匠頼みかな‥‥‥
いや、アンナさんに頼るとか?
「陛下、何はともあれ私は一度学園都市ボヘーミャに戻ろうと思います」
ティアナがみんなが悩んでいる中、陛下に発言する。
「今はマシンドールの魔晶石核の切り替えが最優先と思います。二年後どのような結果になってもマシンドールが使えないのでは意味がありません。まずは国の守りの要となるマシンドールの更新を急ぐのが先決かと」
学園では開発棟で双備型魔晶石核の量産に入っている頃だろう。
確かにまずは備えが重要。
ティアナの話も一理ある。
「うむ、ティアナよ学園に行くことを許可しよう。そなたの言う通りまずは守りを固めねば話にならん」
「ありがとうございます、陛下。それでは明日にでも学園に戻ることといたします」
そう言ってティアナは退席をしようとすると、国王陛下は言いにくそうにティアナに声をかける。
「んんっ、それと、ティアナよ、健康の為に毎日牛乳を飲むといいらしい。ボヘーミャでも牛乳を飲み健康には気を付けるのだぞ」
陛下、何の健康ですかっ!?
いや、孫娘を訳の分からんどこぞの馬の骨になんて嫁がせたくないのはわかります。
しかし牛乳って迷信じゃなかったの!?
「そう言えば適度な、こう、手と手を合わせて力を入れる運動もいいと言われてますぞ!」
「いやいや、わしが聞いた話では腕をこうして組んで上半身をだな~」
何やらいきなりティアナの為の健康にかかわる話が宮廷会議で盛り上がりを見せる。
あたしは呆気に取られていたが、なんで大臣たちそんなに詳しいのよ!?
‥‥‥参考にはなるけど。
このまま聞いていると更にこの話題で盛り上がりを増していきそうなので、あたしとティアナはとっととこの場を後にした。
* * * * *
「時にティアナ、本当に大丈夫なんですの?」
周りに人気が無い馬車の中であたしはティアナに質問する。
「大丈夫って、何が?」
「胸の事ですわ。最近はわかりませんが、その、ティアナのサイズは成長しているのですの?」
それを聞いたティアナは胸を張り、言い切る。
「大丈夫よ、ちゃんと成長するわ、これから!」
いやいやいや、なにそれっ!?
これからって何!?
「最近私も膨らんできましたが、その、見た感じティアナとあまり変わらないような気がしますわ‥‥‥」
「うそっ!? そんなはずは! ちょっとエルハイミ触らせて!」
そう言ってティアナはいきなりあたしの胸をもむ。
「のひゃぁっ!?」
いきなりの事で驚いて変な声が出てしまう。
しかしティアナは容赦なくあたしの胸をもむ。
ふにふにふにふに‥‥‥
「ちょ、ティ、ティアナ! くすぐったいですわっ!!」
ふにふにふに‥‥‥
「そ、そんなっ! わ、私とあまり変わらないですって!?」
ふにふにふにふに‥‥‥
驚きながらまだあたしの胸をもんでいる。
「ティ、ティアナ、駄目ですわ、そんなに揉まないで‥‥‥」
くすぐったいのになんか、へんな感じが‥‥‥
がちゃ。
「「あっ」」
「ティアナ殿下、エルハイミさん、お疲れ様です。おまちして‥‥‥ きゃぁっ! ご、ごめんなさいっ! わ、私何も見ていませんっっっ!!」
ばたんっ!!
どうやら神殿に着いたらしいけど、開けられた馬車の扉は再びファルによって閉められてしまった。
「こ、これは違いますのぉぉおおっっ!!!!」
あたしの絶叫だけがこだました。
1
お気に入りに追加
131
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
名前を書くとお漏らしさせることが出来るノートを拾ったのでイジメてくる女子に復讐します。ついでにアイドルとかも漏らさせてやりたい放題します
カルラ アンジェリ
ファンタジー
平凡な高校生暁 大地は陰キャな性格も手伝って女子からイジメられていた。
そんな毎日に鬱憤が溜まっていたが相手が女子では暴力でやり返すことも出来ず苦しんでいた大地はある日一冊のノートを拾う。
それはお漏らしノートという物でこれに名前を書くと対象を自在にお漏らしさせることが出来るというのだ。
これを使い主人公はいじめっ子女子たちに復讐を開始する。
更にそれがきっかけで元からあったお漏らしフェチの素養は高まりアイドルも漏らさせていきやりたい放題することに。
ネット上ではこの怪事件が何らかの超常現象の力と話題になりそれを失禁王から略してシンと呼び一部から奉られることになる。
しかしその変態行為を許さない美少女名探偵が現れシンの正体を暴くことを誓い……
これはそんな一人の変態男と美少女名探偵の頭脳戦とお漏らしを楽しむ物語。
あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活
mio
ファンタジー
なんやかんや、無理矢理あいつに異世界へと連れていかれました。
こうなったら仕方ない。とにかく、平和に楽しく暮らしていこう。
なぜ、少女は異世界へと連れてこられたのか。
自分の中に眠る力とは何なのか。
その答えを知った時少女は、ある決断をする。
長い間更新をさぼってしまってすいませんでした!
うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?
プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。
小説家になろうでも公開している短編集です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる