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第四章
4-30交渉
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4-30交渉
すがすがしい朝に鉄と油のにおいを混じらせながらガチャガチャと甲冑の音が響く。
今日、これからホリゾン帝国との交渉の場が開かれる。
あたしたちのいるこの最北の砦から目と鼻の先にあるホリゾン帝国領。
そのホリゾン帝国に入ってすぐのところに今日の会談と交渉の場が開かれる。
宮廷魔術師ドミンゴさんの話ではどうやらホリゾンの軍隊はホリゾンの領地内に簡易ながらも砦を築き始めているらしい。
そうすると、あちらもこの交渉次第でここらあたりを拠点に攻め入るつもりか?
軽く朝食を済ませ、甲冑に身を固めたティアナは魔術師の格好のあたしとドミンゴさんを引き連れ、いよいよ交渉の場へと赴く。
一応護衛の近衛兵二名を連れていくが、それはあくまで形式的なもの。
剣の代わりにガレント王国の国旗ををつけたハルバードを掲げさせている。
「エルハイミ殿、ドミンゴ殿、参ります」
そう言ってティアナは先陣を切って歩き出した。
その顔は若干十二歳の少女ではなく、国を背負う王族の者へと変わっていた。
ガチャガチャと甲冑の音だけが響く。
会談の場である簡易の場所は既に準備が出来ていて日よけのタープが張られている。
既にあちらの陣員は到着していたらしく、真っ黒な甲冑に身を固めた大柄な青年が優雅にお茶を飲んでいる。
あれがホリゾン帝国第三皇子ゾナーなのか?
ティアナは会談の場に着き名乗りを上げる。
「私はガレント王国ティアナ=ルド・シーナ・ガレント。本日の会談にあたり全権を委任されているものです」
ティアナの名乗りに甲冑の青年は目を向け、立ち上がる。
「ほほう、これは美しい方が出てきたな。私はゾナー=ホリゾン。よくぞ本日の交渉の場に来られた、美しき姫よ」
そう言って一礼をする。
見るとあちらにはゾナーを含め三人の甲冑を着込んだ男がいる。
「それでは姫、交渉を始めようではないか」
ゾナーはそう言って軽く両腕を広げテーブルに着くことを進める。
ティアナは無言でそのテーブルに着席し、その左右にあたしとドミンゴさんが着席する。
向こうも真ん中にゾナーが座りその左右に甲冑の男が座る。
「さて、それでは改めて自己紹介させていただくかな。私はホリゾン帝国が第三皇子ゾナー=ホリゾン、そしてこの者が参謀のボナパルド、こちらが軍隊長のラガーだ」
ボナパルドは見た感じ三十路、ラガーはボナパルドより若干若いかくらいだ。
二人とも険しい顔をしている。
余裕のありそうなゾナーと対照的だ。
「私はティアナ=ルド・シーナ・ガレント。こちらは宮廷魔術師のドミンゴ=ドーズ。そして我が親友エルハイミ=ルド・シーナ・ハミルトンです」
「親友?」
そう言ってゾナーはあたしを見る。
「そうか、うわさに聞く無詠唱の使い手、ティアナ姫とその親友にして同じく無詠唱の使い手と言うのは君か」
ゾナーはそう言って愉快そうに笑った。
「話は聞いている、五年前にはうちの連中が世話になったな。しかし、まさかこんな美しい少女たちだったとはな」
そしてゾナーは そうだ、と言って給仕のメイドを呼んでお茶を入れさせた。
「美しい少女を迎えて茶も出さんとは失礼した。毒なぞ入っておらんから安心して飲んでくれ」
そう言ってまずは自分からそのお茶を飲む。
ティアナはカップを手に取り、そのお茶を口にする。
あたしは慌てて感知魔法を発動させそのお茶やカップを見る。
確かに何も問題はなかったが、こういった交渉の会談でお茶を出すとかずいぶん図太い神経のようだ、ゾナーという人物は。
「ずいぶんと香りのよいお茶ですね、悪くない」
「はっはっはっ、気に入ってもらえて何よりだ。さて、それでは交渉を始めるとするか。俺は面倒ごとが嫌いだ。単刀直入に聞く、ガレント王国のあの機械人形は何なんだ?」
ずいぶんとおおざっぱだな。
「事前に話は行っているはずです、自衛のための戦力補強です」
「しかし、五年前の件がある。当時我が国の最高技術を投入したゴーレムをあっさりと倒した機械人形、それを最前線に配備する。しかも大量にだ。我が国としては国境線に脅威が発生したようなものだ。そちらに侵攻の意志はあるのか?」
「有ろうはずが無いでしょうに」
ティアナは即答で返事をする。
まずはこちらの態度をはっきりすることが重要だ。
「ふむ、しかし合点がいかない、なぜそれほど強力な戦力をわざわざ国境付近に配備する? これではだれが見ても侵攻の準備にしか見えんぞ?」
「それはこの辺境に我がガレントにとって見過ごせない脅威が発生したからです。そちらとて黒の集団の話くらい聞いていましょうに!」
「黒の集団?」
ゾナーは初めて聞いたというふうに参謀に話をする。
参謀も詳しくは知らないようで噂話程度のことをゾナーに伝える。
「して、その黒の集団とやらは今は?」
「そちらの方が詳しいのでは? 我らがマシンドールを配備し終わるころには何処へと消えました。我々としてみればあのキメラを作れる組織の力が脅威。問題が発生したこの辺境への配備は当然の事。自衛以外の何ものでもありません」
そう言い切ってティアナはゾナーを見据える。
ゾナーはそんなティアナの視線など全く意に介せずお茶を一口飲む。
「ふむ、事情は分かった。しかしこちらとしてもその黒の集団が実在したかどうか確認ができない限りは軍は引けぬな。むしろ何処ぞへと行ったという黒の集団が我がホリゾン帝国領地に入り込む事こそ次なる脅威になる。姫の話では並の兵士では歯が立たんのであろう、そのキメラは?」
何が楽しいのかゾナーはにこやかに笑っている。
「では、ホリゾンの軍は今後如何する?」
「そうさな、ここに砦を作らせてもらおう。もともとこちら側の国境付近には我が国の砦が無かったからな。姫も自国に脅威が入り込むのを阻止すると言う事は理解いただけると思うがな」
ニヤリと笑うゾナー。
まさか、目的は足掛かりの砦を作り、軍事拠点をこの国境付近に配備するのが目的か!?
足場を固めゆくゆくはノルウェンに攻め込むかもしれない。
しかしティアナは冷静だ。
「そちらの領内、我が国が口をはさむ事でもありません。しかし、その行動がこちらの領内に入り込む事は一切許しませんよ」
きっ! と睨むティアナ。
その視線を受けゾナーはさらに楽し気にする。
「約束しよう、わが軍はそちらに侵攻の意志が無ければ動かん。このゾナー=ホリゾンの名において誓おうではないか!」
その言葉にティアナはゾナーを睨んだままであったが、あからさまに安堵の雰囲気だ。
最悪は回避できた。
後はこまごまとしたことを決め、ホリゾンの砦が出来上がるまでを監視し、軍の動きを監視するわけだ。
だが‥‥‥
「しかし、こんな所へまでガレントの姫君が来るとはな。しかもこんな美人とは思わなかった。どうだ姫、俺のところに嫁ぐ気はないか?」
ぶっ!!
おいこら、何言ってんだこの人!?
「お戯れを、私のような女のどこが良いのですか?」
「まず美人だ、それに気も強いところがそそられる。そして肝心なことだが、俺の経験から成長してもそれ以上胸が大きくならんだろう。俺は胸の無い女が好きなんでな」
「なっ!?」
ティアナは思わず自分の胸を手で隠す。
そして キッ! とゾナーを睨んで言う。
「し、失礼な! まだまだ成長期! これから母上のように大きくなります!!」
ニヤリとしてゾナーはティアナに言い返す。
「いや、残念ながらそれは無理だろう。俺の感は当たるぞ? 多分大きくなってもわずかだ。あんな脂肪ばかりでブルブル邪魔なものよりも小ぶりの感度の良い方が素晴らしい、姫は今後必ず小ぶりなまま成長するだろうよ」
ぶちっ!
何か切れた音がした。
「そんなことないわっ! 今に大きくなってたゆんたゆんのボイボインになるんだからっ!! 大人になる前に絶対大きくなるわよっ!!!!」
って、ちょっとティアナ、落ち着いて!
地が出てるって!!
「姫は今いくつだ? 今からだと無理だ、貧乳のままだ」
「十二よ! まだまだおっきくなるわ!」
「ならばかけるか?」
「いいでしょう、で、何をかけるの!?」
「そうよな、姫が俺の嫁になるのと隣の美少女も俺の愛人につけると言うのはどうだ?」
ちょっとまて、隣の美少女ってあたしっ!!!?
「ふん、エルハイミは渡さないわよ! いいわ、じゃあ、あたしが勝ったらあなたが私の配下になりなさい! あなたの国を裏切ることになるけどね!」
ティアナも無茶ぶりを言う。
「いいぞ、それで。何なら俺の支配する者どもまとめてつけてやる。どうせ左遷させられた身、国を裏切ろうとも俺のしたいようにするさ」
おいっ!
ダメな人じゃん、この人っ!
しかも左遷って皇子のくせになにしたのよ!?
「二年後の今日この場でまた会うときこのカップより小さければ俺のもとへ嫁ぐ。もしこれより大きければ俺が姫に従う、それでいいか?」
「ええ、望むところよ! そんなティーカップすぐにでも超えて見せるわ!!」
ゾナーはそう言ってドミンゴさんを見る。
「爺さん、そう言う訳だ。【束縛魔法】ギアスの呪文は使えるだろう? 宮廷魔術師なのだから。この事は俺と姫さんの真剣勝負、異論はなかろう」
「し、しかし事は重大な問題。そのようなことに我が姫を巻き込むことは‥‥‥」
成り行きとは言え、何という契約を取らせるんだ!?
ティアナもティアナで、なんでそんなに熱くなるの?
と言うか、あたしの意志は??
うう、もし負けたらあんな奴にティアナは取られちゃうだけでなく、あたしまで手籠めにされちゃうの!?
‥‥‥無理っ!!
あんなのに襲われたら壊されちゃう!!!!
「ティ、ティアナ、ここは冷静に‥‥‥」
「ドミンゴ、さっさと契約書を作って! それと、双方この問題が決着するまで不可侵を約束する! それでいいわね!!!?」
「ああ、いいとも。二年後を楽しみにしているぞ、わが妻よ」
「誰があんたの妻よ! 二年後あたしの靴舐めさせてやるからね!!」
そう言ってティアナは契約書を作成させさっさとサインしてしまった!
ゾナーも内容見ないでさらさらっとサインをしている。
おいおい、本気なのっ!?
「これで良しと、二人とも二年後を楽しみにしているぞ、新居の砦を作り待っているからな」
「ふん、そんな事には絶対ならないから見てなさい!」
そう言って双方自分の陣営へ戻っていく。
え、えええええええぇぇぇぇっ!!!?
当面の危機は去ったものの、今度はもっと大きな危機が立ちはだかるのであった。
すがすがしい朝に鉄と油のにおいを混じらせながらガチャガチャと甲冑の音が響く。
今日、これからホリゾン帝国との交渉の場が開かれる。
あたしたちのいるこの最北の砦から目と鼻の先にあるホリゾン帝国領。
そのホリゾン帝国に入ってすぐのところに今日の会談と交渉の場が開かれる。
宮廷魔術師ドミンゴさんの話ではどうやらホリゾンの軍隊はホリゾンの領地内に簡易ながらも砦を築き始めているらしい。
そうすると、あちらもこの交渉次第でここらあたりを拠点に攻め入るつもりか?
軽く朝食を済ませ、甲冑に身を固めたティアナは魔術師の格好のあたしとドミンゴさんを引き連れ、いよいよ交渉の場へと赴く。
一応護衛の近衛兵二名を連れていくが、それはあくまで形式的なもの。
剣の代わりにガレント王国の国旗ををつけたハルバードを掲げさせている。
「エルハイミ殿、ドミンゴ殿、参ります」
そう言ってティアナは先陣を切って歩き出した。
その顔は若干十二歳の少女ではなく、国を背負う王族の者へと変わっていた。
ガチャガチャと甲冑の音だけが響く。
会談の場である簡易の場所は既に準備が出来ていて日よけのタープが張られている。
既にあちらの陣員は到着していたらしく、真っ黒な甲冑に身を固めた大柄な青年が優雅にお茶を飲んでいる。
あれがホリゾン帝国第三皇子ゾナーなのか?
ティアナは会談の場に着き名乗りを上げる。
「私はガレント王国ティアナ=ルド・シーナ・ガレント。本日の会談にあたり全権を委任されているものです」
ティアナの名乗りに甲冑の青年は目を向け、立ち上がる。
「ほほう、これは美しい方が出てきたな。私はゾナー=ホリゾン。よくぞ本日の交渉の場に来られた、美しき姫よ」
そう言って一礼をする。
見るとあちらにはゾナーを含め三人の甲冑を着込んだ男がいる。
「それでは姫、交渉を始めようではないか」
ゾナーはそう言って軽く両腕を広げテーブルに着くことを進める。
ティアナは無言でそのテーブルに着席し、その左右にあたしとドミンゴさんが着席する。
向こうも真ん中にゾナーが座りその左右に甲冑の男が座る。
「さて、それでは改めて自己紹介させていただくかな。私はホリゾン帝国が第三皇子ゾナー=ホリゾン、そしてこの者が参謀のボナパルド、こちらが軍隊長のラガーだ」
ボナパルドは見た感じ三十路、ラガーはボナパルドより若干若いかくらいだ。
二人とも険しい顔をしている。
余裕のありそうなゾナーと対照的だ。
「私はティアナ=ルド・シーナ・ガレント。こちらは宮廷魔術師のドミンゴ=ドーズ。そして我が親友エルハイミ=ルド・シーナ・ハミルトンです」
「親友?」
そう言ってゾナーはあたしを見る。
「そうか、うわさに聞く無詠唱の使い手、ティアナ姫とその親友にして同じく無詠唱の使い手と言うのは君か」
ゾナーはそう言って愉快そうに笑った。
「話は聞いている、五年前にはうちの連中が世話になったな。しかし、まさかこんな美しい少女たちだったとはな」
そしてゾナーは そうだ、と言って給仕のメイドを呼んでお茶を入れさせた。
「美しい少女を迎えて茶も出さんとは失礼した。毒なぞ入っておらんから安心して飲んでくれ」
そう言ってまずは自分からそのお茶を飲む。
ティアナはカップを手に取り、そのお茶を口にする。
あたしは慌てて感知魔法を発動させそのお茶やカップを見る。
確かに何も問題はなかったが、こういった交渉の会談でお茶を出すとかずいぶん図太い神経のようだ、ゾナーという人物は。
「ずいぶんと香りのよいお茶ですね、悪くない」
「はっはっはっ、気に入ってもらえて何よりだ。さて、それでは交渉を始めるとするか。俺は面倒ごとが嫌いだ。単刀直入に聞く、ガレント王国のあの機械人形は何なんだ?」
ずいぶんとおおざっぱだな。
「事前に話は行っているはずです、自衛のための戦力補強です」
「しかし、五年前の件がある。当時我が国の最高技術を投入したゴーレムをあっさりと倒した機械人形、それを最前線に配備する。しかも大量にだ。我が国としては国境線に脅威が発生したようなものだ。そちらに侵攻の意志はあるのか?」
「有ろうはずが無いでしょうに」
ティアナは即答で返事をする。
まずはこちらの態度をはっきりすることが重要だ。
「ふむ、しかし合点がいかない、なぜそれほど強力な戦力をわざわざ国境付近に配備する? これではだれが見ても侵攻の準備にしか見えんぞ?」
「それはこの辺境に我がガレントにとって見過ごせない脅威が発生したからです。そちらとて黒の集団の話くらい聞いていましょうに!」
「黒の集団?」
ゾナーは初めて聞いたというふうに参謀に話をする。
参謀も詳しくは知らないようで噂話程度のことをゾナーに伝える。
「して、その黒の集団とやらは今は?」
「そちらの方が詳しいのでは? 我らがマシンドールを配備し終わるころには何処へと消えました。我々としてみればあのキメラを作れる組織の力が脅威。問題が発生したこの辺境への配備は当然の事。自衛以外の何ものでもありません」
そう言い切ってティアナはゾナーを見据える。
ゾナーはそんなティアナの視線など全く意に介せずお茶を一口飲む。
「ふむ、事情は分かった。しかしこちらとしてもその黒の集団が実在したかどうか確認ができない限りは軍は引けぬな。むしろ何処ぞへと行ったという黒の集団が我がホリゾン帝国領地に入り込む事こそ次なる脅威になる。姫の話では並の兵士では歯が立たんのであろう、そのキメラは?」
何が楽しいのかゾナーはにこやかに笑っている。
「では、ホリゾンの軍は今後如何する?」
「そうさな、ここに砦を作らせてもらおう。もともとこちら側の国境付近には我が国の砦が無かったからな。姫も自国に脅威が入り込むのを阻止すると言う事は理解いただけると思うがな」
ニヤリと笑うゾナー。
まさか、目的は足掛かりの砦を作り、軍事拠点をこの国境付近に配備するのが目的か!?
足場を固めゆくゆくはノルウェンに攻め込むかもしれない。
しかしティアナは冷静だ。
「そちらの領内、我が国が口をはさむ事でもありません。しかし、その行動がこちらの領内に入り込む事は一切許しませんよ」
きっ! と睨むティアナ。
その視線を受けゾナーはさらに楽し気にする。
「約束しよう、わが軍はそちらに侵攻の意志が無ければ動かん。このゾナー=ホリゾンの名において誓おうではないか!」
その言葉にティアナはゾナーを睨んだままであったが、あからさまに安堵の雰囲気だ。
最悪は回避できた。
後はこまごまとしたことを決め、ホリゾンの砦が出来上がるまでを監視し、軍の動きを監視するわけだ。
だが‥‥‥
「しかし、こんな所へまでガレントの姫君が来るとはな。しかもこんな美人とは思わなかった。どうだ姫、俺のところに嫁ぐ気はないか?」
ぶっ!!
おいこら、何言ってんだこの人!?
「お戯れを、私のような女のどこが良いのですか?」
「まず美人だ、それに気も強いところがそそられる。そして肝心なことだが、俺の経験から成長してもそれ以上胸が大きくならんだろう。俺は胸の無い女が好きなんでな」
「なっ!?」
ティアナは思わず自分の胸を手で隠す。
そして キッ! とゾナーを睨んで言う。
「し、失礼な! まだまだ成長期! これから母上のように大きくなります!!」
ニヤリとしてゾナーはティアナに言い返す。
「いや、残念ながらそれは無理だろう。俺の感は当たるぞ? 多分大きくなってもわずかだ。あんな脂肪ばかりでブルブル邪魔なものよりも小ぶりの感度の良い方が素晴らしい、姫は今後必ず小ぶりなまま成長するだろうよ」
ぶちっ!
何か切れた音がした。
「そんなことないわっ! 今に大きくなってたゆんたゆんのボイボインになるんだからっ!! 大人になる前に絶対大きくなるわよっ!!!!」
って、ちょっとティアナ、落ち着いて!
地が出てるって!!
「姫は今いくつだ? 今からだと無理だ、貧乳のままだ」
「十二よ! まだまだおっきくなるわ!」
「ならばかけるか?」
「いいでしょう、で、何をかけるの!?」
「そうよな、姫が俺の嫁になるのと隣の美少女も俺の愛人につけると言うのはどうだ?」
ちょっとまて、隣の美少女ってあたしっ!!!?
「ふん、エルハイミは渡さないわよ! いいわ、じゃあ、あたしが勝ったらあなたが私の配下になりなさい! あなたの国を裏切ることになるけどね!」
ティアナも無茶ぶりを言う。
「いいぞ、それで。何なら俺の支配する者どもまとめてつけてやる。どうせ左遷させられた身、国を裏切ろうとも俺のしたいようにするさ」
おいっ!
ダメな人じゃん、この人っ!
しかも左遷って皇子のくせになにしたのよ!?
「二年後の今日この場でまた会うときこのカップより小さければ俺のもとへ嫁ぐ。もしこれより大きければ俺が姫に従う、それでいいか?」
「ええ、望むところよ! そんなティーカップすぐにでも超えて見せるわ!!」
ゾナーはそう言ってドミンゴさんを見る。
「爺さん、そう言う訳だ。【束縛魔法】ギアスの呪文は使えるだろう? 宮廷魔術師なのだから。この事は俺と姫さんの真剣勝負、異論はなかろう」
「し、しかし事は重大な問題。そのようなことに我が姫を巻き込むことは‥‥‥」
成り行きとは言え、何という契約を取らせるんだ!?
ティアナもティアナで、なんでそんなに熱くなるの?
と言うか、あたしの意志は??
うう、もし負けたらあんな奴にティアナは取られちゃうだけでなく、あたしまで手籠めにされちゃうの!?
‥‥‥無理っ!!
あんなのに襲われたら壊されちゃう!!!!
「ティ、ティアナ、ここは冷静に‥‥‥」
「ドミンゴ、さっさと契約書を作って! それと、双方この問題が決着するまで不可侵を約束する! それでいいわね!!!?」
「ああ、いいとも。二年後を楽しみにしているぞ、わが妻よ」
「誰があんたの妻よ! 二年後あたしの靴舐めさせてやるからね!!」
そう言ってティアナは契約書を作成させさっさとサインしてしまった!
ゾナーも内容見ないでさらさらっとサインをしている。
おいおい、本気なのっ!?
「これで良しと、二人とも二年後を楽しみにしているぞ、新居の砦を作り待っているからな」
「ふん、そんな事には絶対ならないから見てなさい!」
そう言って双方自分の陣営へ戻っていく。
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