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第三章
3-6生徒会
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3-6生徒会
留学して早いもので三カ月が過ぎた。
俺ももうすぐ六歳になる。
あ、そう言えばティアナも八歳になったんだっけ。
学園生活にも慣れてきて今のところ順調である。
授業も魔法実技以外とてもためになるのだが、いかんせん魔法の実技だけはだめであった。
そもそもママン含めティアナやアンナさんなどのハイレベルな環境だけにいたから一般的な基準と感覚が違う。
そう、一般的な見地から見たら俺たちって異常なんだ。
そう考えると誕生日会の時に無詠唱やらかしたのも納得できる。
国王陛下自ら動くほどだもんな。
で、今も魔術実技演習なのだが‥‥‥
「エルハイミさん、威力は抑えてくださいね!」
今は治癒魔法の実技演習中。
治癒関連の担当であるソリス教授は俺たちの番になると必ず注意をしてくる。
今回は折れた枝を治癒魔法で治す実技演習だ。
ソリス教授は用意された鉢植えの観葉植物の枝を折る。
彼女はそれを俺に渡して始めるように告げる。
俺は治癒魔法を操作するために集中するが、折れた枝は奇麗に元に戻るだけでなく花まで咲かせてしまった。
うーん、活性化させすぎたのか?
ため息をつくソリス教授。
「優秀であるのは間違いなのだけど、いつもやりすぎですよエルハイミさん。もっと魔力を押さえる練習もしなさい。でないとすぐに魔力が尽きてしまいますよ」
そう言って彼女は次にティアナにやらせる。
俺もティアナも魔力的には有り余っていてもっと発散させないとこういう時に漏れ出てしまう。
溜め過ぎは体に良くないのだよ。
一応未だ「戒めの腕輪」が俺たちには効かないことはばれていない。
なので当然ティアナも発散の機会が少ない。
と言う事は・・・
「ティアナさん、先程もエルハイミさんに言いましたが、あなたも魔力を押さえるようにしなさい」
見ると実がなっている。
ティアナ、わざとだな。
俺が花まで咲かせたのでティアナは更に活性化させて実にまでしてるよ。
ティアナはこちらを見て、てへっ、ぺろっ! してる。
こいつ、完全に黒だ。
アンナさんは教科書通りに、そして一番驚いたのがロクドナルさん。
めきめきと魔術の実力を上げている。
今日もしっかり治癒魔法を成功させている。
「いやはや、またしても上手く行きましたな! これで前線出たときは仲間を救えますな!」
なんて頼もしいこと言ってる。
そうそうない事でもいざと言う時に魔法騎士がいると状況は全くと言っていいほど変わってくる。
うちの国にとっては貴重な人材だ。
と、ここで鐘が鳴る。
「はい、では本日の講義はここまでです。最後に治癒魔法は対象の活性化ですのであまりに負荷をかける回復は逆にその対象の生命力を削ることもありますので、適度な回復を心掛けるように! 以上」
なんか最後に引っかかる言い方だが確かにそのとおりなのでおとなしく返事をしておく。
さて、本日の授業も終わったので食堂に行っていつものお茶でもと思ったらアンナさんくらいの女性に呼び止められた。
「ティアナさん、エルハイミさん、アンナさん、そしてロクドナル君ちょっといいかしら?」
見ると彼女以外にも二人いる。
「こんにちわ、生徒会会長で隣のクラスのロザリナ=アインシュと申します。お時間よろしいですか?」
そう言って握手を求めてくる。
「これはこれはレディー、何の御用ですかな?」
一応警戒しているのか、ティアナが動く前にロクドナルさんが割って入って握手に答える。
彼女は気にも留めずそのままロクドナルさんと握手をする。
ロクドナルさんはティアナに軽く相づちをしてから場所を開ける。
「ティアナ=ルド・シーナ・ガレントです」
ロザリナさんはティアナ含め全員と握手を交わしてから話し始めた。
「先程の実技演習見せていただきました。噂にたがわず見事なお手並み。素晴らしかったです。そんな皆さんに是非とも我校の伝統的なイベントに出場していただきたく思いましてお声がけしたのです」
そう言ってロザリナさんは一枚の書類を渡してきた。
受け取った書類には「魔術総合実演会」と書いてあった。
どういったものかと言うと、年に一度この時期に開かれる魔法学園ボヘーミャの最大イベントで自分たちの魔術研究や実力を発表していきその優越を見定めるものらしい。
基本的には教授たちが中心となる発表が多いのだが、最近では学生からの参加も多く自分の得意とする魔術披露をするものがいるらしい。
それに参加してほしいと言う事らしいのだが‥‥‥
「只の発表会だけではつまらないと言う事でここ数年ではトーナメント戦で各課題をチームごとに競っていくというイベントが目玉になっています。非常に盛り上がるこの『大魔導士杯』に是非とも皆さんにチーム参加していただきたいと思っているのですよ」
「やりますわ!」
あっ、間に合わなかった。
一旦持ち帰って検討させていただきますと言う前世的な回答で様子見をしたかったのにやっぱりティアナは自制が利かなかった。
「それは何より、では早速この参加表明書に署名していただきたいのですが、よろしいですか?」
そう言って参加表明書を渡してきた。
ティアナはすぐにでもサインしようとするので流石にそれはアンナさんが止めたが、参加表明書の説明事項は保険会社の契約書の如く細やかにたくさん書いてある。
アンナさんはそれを速読して二、三点質問がありますとロザリナさんに聞く。
「第三条第十七項目の辞退した場合の違約金支払いですが、開催費の負担一割とはどういう事でしょうか? それと第十七条第七十八項目の負傷した場合の経費請求について費用は自己負担となっていますが緊急時の為一時支払いは代行支払いし、個人の返済はその後分割可能という事、それと第四十一条第八十一項目不幸にも死亡してしまった場合は同意の上での参加の為自己負担とし、学園側はその責務を免じるとありますが、死亡が発生するような競技もあるのでしょうか?」
おお、流石アンナさんあれだけの小さな文章で重要事項だけを速攻で拾い上げてきた。
見るとロザリナさんは頬に汗を一条流しながらええぇ~と等と言っている。
ロザリナさん、わかってってやってるな。
「アンナ、大丈夫よ。私たちがチームを組めばきっと『大魔導士杯』で優勝できるわ!」
いきなり強気なティアナ。
しかしとか言いながらいろいろを心配するアンナさん。
仕方ない。
「アンナさん、大丈夫でしょう。私もいますし、アンナさんやロクドナルさんだっています。参加してみてはいかがかしら?」
「うーん、エルハイミちゃんがそこまで言うなら仕方ない。わかりました殿下、参加しましょう。ただし、御身に危険が迫る様な競技については不戦敗としますからご了承ください」
アンナさんの譲歩に歓喜するティアナ。
息抜きと言うかストレス発散は必要だけど、やり過ぎないようにしないとな。
ロザリナさんはそれではと言ってサインされた参加表明書をニコニコ顔で持ち帰り退席していった。
生徒会かぁ。
こいつらもちょっと注意した方が良いかもね。
俺たちは午後のお茶を楽しみに食堂へ向かった。
留学して早いもので三カ月が過ぎた。
俺ももうすぐ六歳になる。
あ、そう言えばティアナも八歳になったんだっけ。
学園生活にも慣れてきて今のところ順調である。
授業も魔法実技以外とてもためになるのだが、いかんせん魔法の実技だけはだめであった。
そもそもママン含めティアナやアンナさんなどのハイレベルな環境だけにいたから一般的な基準と感覚が違う。
そう、一般的な見地から見たら俺たちって異常なんだ。
そう考えると誕生日会の時に無詠唱やらかしたのも納得できる。
国王陛下自ら動くほどだもんな。
で、今も魔術実技演習なのだが‥‥‥
「エルハイミさん、威力は抑えてくださいね!」
今は治癒魔法の実技演習中。
治癒関連の担当であるソリス教授は俺たちの番になると必ず注意をしてくる。
今回は折れた枝を治癒魔法で治す実技演習だ。
ソリス教授は用意された鉢植えの観葉植物の枝を折る。
彼女はそれを俺に渡して始めるように告げる。
俺は治癒魔法を操作するために集中するが、折れた枝は奇麗に元に戻るだけでなく花まで咲かせてしまった。
うーん、活性化させすぎたのか?
ため息をつくソリス教授。
「優秀であるのは間違いなのだけど、いつもやりすぎですよエルハイミさん。もっと魔力を押さえる練習もしなさい。でないとすぐに魔力が尽きてしまいますよ」
そう言って彼女は次にティアナにやらせる。
俺もティアナも魔力的には有り余っていてもっと発散させないとこういう時に漏れ出てしまう。
溜め過ぎは体に良くないのだよ。
一応未だ「戒めの腕輪」が俺たちには効かないことはばれていない。
なので当然ティアナも発散の機会が少ない。
と言う事は・・・
「ティアナさん、先程もエルハイミさんに言いましたが、あなたも魔力を押さえるようにしなさい」
見ると実がなっている。
ティアナ、わざとだな。
俺が花まで咲かせたのでティアナは更に活性化させて実にまでしてるよ。
ティアナはこちらを見て、てへっ、ぺろっ! してる。
こいつ、完全に黒だ。
アンナさんは教科書通りに、そして一番驚いたのがロクドナルさん。
めきめきと魔術の実力を上げている。
今日もしっかり治癒魔法を成功させている。
「いやはや、またしても上手く行きましたな! これで前線出たときは仲間を救えますな!」
なんて頼もしいこと言ってる。
そうそうない事でもいざと言う時に魔法騎士がいると状況は全くと言っていいほど変わってくる。
うちの国にとっては貴重な人材だ。
と、ここで鐘が鳴る。
「はい、では本日の講義はここまでです。最後に治癒魔法は対象の活性化ですのであまりに負荷をかける回復は逆にその対象の生命力を削ることもありますので、適度な回復を心掛けるように! 以上」
なんか最後に引っかかる言い方だが確かにそのとおりなのでおとなしく返事をしておく。
さて、本日の授業も終わったので食堂に行っていつものお茶でもと思ったらアンナさんくらいの女性に呼び止められた。
「ティアナさん、エルハイミさん、アンナさん、そしてロクドナル君ちょっといいかしら?」
見ると彼女以外にも二人いる。
「こんにちわ、生徒会会長で隣のクラスのロザリナ=アインシュと申します。お時間よろしいですか?」
そう言って握手を求めてくる。
「これはこれはレディー、何の御用ですかな?」
一応警戒しているのか、ティアナが動く前にロクドナルさんが割って入って握手に答える。
彼女は気にも留めずそのままロクドナルさんと握手をする。
ロクドナルさんはティアナに軽く相づちをしてから場所を開ける。
「ティアナ=ルド・シーナ・ガレントです」
ロザリナさんはティアナ含め全員と握手を交わしてから話し始めた。
「先程の実技演習見せていただきました。噂にたがわず見事なお手並み。素晴らしかったです。そんな皆さんに是非とも我校の伝統的なイベントに出場していただきたく思いましてお声がけしたのです」
そう言ってロザリナさんは一枚の書類を渡してきた。
受け取った書類には「魔術総合実演会」と書いてあった。
どういったものかと言うと、年に一度この時期に開かれる魔法学園ボヘーミャの最大イベントで自分たちの魔術研究や実力を発表していきその優越を見定めるものらしい。
基本的には教授たちが中心となる発表が多いのだが、最近では学生からの参加も多く自分の得意とする魔術披露をするものがいるらしい。
それに参加してほしいと言う事らしいのだが‥‥‥
「只の発表会だけではつまらないと言う事でここ数年ではトーナメント戦で各課題をチームごとに競っていくというイベントが目玉になっています。非常に盛り上がるこの『大魔導士杯』に是非とも皆さんにチーム参加していただきたいと思っているのですよ」
「やりますわ!」
あっ、間に合わなかった。
一旦持ち帰って検討させていただきますと言う前世的な回答で様子見をしたかったのにやっぱりティアナは自制が利かなかった。
「それは何より、では早速この参加表明書に署名していただきたいのですが、よろしいですか?」
そう言って参加表明書を渡してきた。
ティアナはすぐにでもサインしようとするので流石にそれはアンナさんが止めたが、参加表明書の説明事項は保険会社の契約書の如く細やかにたくさん書いてある。
アンナさんはそれを速読して二、三点質問がありますとロザリナさんに聞く。
「第三条第十七項目の辞退した場合の違約金支払いですが、開催費の負担一割とはどういう事でしょうか? それと第十七条第七十八項目の負傷した場合の経費請求について費用は自己負担となっていますが緊急時の為一時支払いは代行支払いし、個人の返済はその後分割可能という事、それと第四十一条第八十一項目不幸にも死亡してしまった場合は同意の上での参加の為自己負担とし、学園側はその責務を免じるとありますが、死亡が発生するような競技もあるのでしょうか?」
おお、流石アンナさんあれだけの小さな文章で重要事項だけを速攻で拾い上げてきた。
見るとロザリナさんは頬に汗を一条流しながらええぇ~と等と言っている。
ロザリナさん、わかってってやってるな。
「アンナ、大丈夫よ。私たちがチームを組めばきっと『大魔導士杯』で優勝できるわ!」
いきなり強気なティアナ。
しかしとか言いながらいろいろを心配するアンナさん。
仕方ない。
「アンナさん、大丈夫でしょう。私もいますし、アンナさんやロクドナルさんだっています。参加してみてはいかがかしら?」
「うーん、エルハイミちゃんがそこまで言うなら仕方ない。わかりました殿下、参加しましょう。ただし、御身に危険が迫る様な競技については不戦敗としますからご了承ください」
アンナさんの譲歩に歓喜するティアナ。
息抜きと言うかストレス発散は必要だけど、やり過ぎないようにしないとな。
ロザリナさんはそれではと言ってサインされた参加表明書をニコニコ顔で持ち帰り退席していった。
生徒会かぁ。
こいつらもちょっと注意した方が良いかもね。
俺たちは午後のお茶を楽しみに食堂へ向かった。
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