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第二章
2-12とりあえず帰郷
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2-12とりあえず帰郷
ティアナの話は結局現実となった。
王宮会議でごたごたしていたパパンも、部屋に戻るなり俺にいろいろと話し始め、まだ五歳なのに大丈夫かとか、寂しくないかとか、ご飯もちゃんと食べれるのか等と溺愛ぶりを披露してくれた。
国王陛下の鶴の一声で方針は決まったものの、今回は通常の留学とは訳が違う。
護衛のご学友や何か有った時の対処などいろいろと準備が必要となる。
で、とりあえず俺はパパンと一旦帰ることと成った。
ただ、どうしても気になることがあって帰りの際、パパンにお願いして王都の商店街に来ている。
王都は流石と言うべきか、いろいろなものが売られている。
衛星都市ユーベルトも決して小さくは無いが王都にはどうしても劣る。
俺はお目当ての本屋を見つけた。
実際に一般的にはどのくらい魔術が普及しているのかを知りたかったのと、先日聞きつけた気になる本があったからだ。
本屋で魔術に関する本を見る。
まあ、こんなもんか程度の魔術書ばかりだ。せいぜい中級魔術についてまでが限界であろう。
しかもこんなのがあるよ~くらいで具体的な使い方とかは書いていない。
考えても見れば当然である。
呪文の通り唱えて【炎の矢】が飛び交ったらパニックになる。
本屋の店主にも一番難しい魔術書は無いか尋ねると、とっておきがあるが、お嬢ちゃんにはまだ早いよと笑われた。
人を外見だけで判断してもらいたくない、今は幼女だけど。
俺は店主の前で光の魔法を発動させる。光球を一度に二個出して指先でくるくると回す。
流石に店主も俺が魔法を使えるとは思っていなく、驚かれた。
しかし、とっておきの魔術書は大人向けだから、嬢ちゃんが嫁に行くときにまた来なと言われてしまった。
‥‥‥嫁入り前?
大人になってから?
って、それってそう言う魔術もあるのか!?
まじっ?
それ知りたい!
「店主さん、逆に気になりますわ、表紙だけでも見せていただけないかしら?」
「まあ、表紙だけならいいか、お嬢ちゃんにはまだまだ早すぎるんだがね」
笑いながら店主は奥からその本を持ってきた。
一応魔術書であるので相応の感じではある。
「これだが、中はまだ見せられんよ、大人になってからおいで」
そう言われて表紙だけ見せてもらう。
表紙には「夫婦円満の為密書」と書かれてる。
やっぱそう言う魔術書なんだ、こう言う魔術もあるんだ。
少し興奮気味でその表紙を目に焼き付ける。
ボヘーミャ行ったら内緒で図書館とかで探してみよう。
さて、魔術関連はこのくらいで本題はこっち。
「ところで、店主さん『学問のおすすめ』という本はありますかしら? もしくは『脱北陸論』でも構いませんわ」
店主は少し驚いたようにこちらを見た。
「ほう、お嬢ちゃんその年でそんな本を知ってるのか? 重版だがあるよ」
よしっ!
俺は内心ガッツポーズを取った。
実はこのタイトルが似ている二つの本は前の世界では結構有名なのだが、同じ様なタイトルの本が出回っていると言う事はもしかするとこっちの世界にも俺と同じような転生者がいるのではないかと思われるのだ。
とりあえずそれを購入して内容を確認したい。
この二冊は同じ著者なので、内容が俺が知っているものと似たようなことが書かれていれば確実に黒だ。
「では、その本をいただきたいですわ」
俺はそう言って店主に代金を支払い、ほくほく顔でパパンの元に戻ってきた。
「エルハイミ、本が欲しければ使いの者に買いに行かせたのに」
パパンは軽くため息をつきながらこちらを見る。
俺の手には二冊の本が抱えられている。
背表紙の内容を見て、パパンはこちらに顔を向き直した。
「エルハイミよ、そんな難しい本どこで知ったのだ? それにその本は今王都で大人気の本ではないか?」
へー、人気の本だったんだ。
まあ、国について、政治的について、または個人としてどうするかなどが書いてあり、ある意味指南書だからこういった体系が確立されていなければいい書物だろう。
騎士道精神につながる部分もあるしね。
「ええ、小耳にはさんだので気になりまして。それにこの著者の方についても知りたくてですの」
俺は笑顔でパパンに答える。
その後、他にも面白いものは無いかと商店街をふらつきたかったのだが、時間や護衛の都合で最低限のお土産だけ買って馬車に乗る。
これから帰る間に暇つぶしでこの本を読むのもいいだろう。
もっとも、同じような内容なら既に知っているので流し読みになってしまうが、疑問は確信に変わるだろう。
もしそうであれば是非ともこの著者に会ってみたいものだ。
俺たちの馬車はユーベルトへ向かって動き出した。
ティアナの話は結局現実となった。
王宮会議でごたごたしていたパパンも、部屋に戻るなり俺にいろいろと話し始め、まだ五歳なのに大丈夫かとか、寂しくないかとか、ご飯もちゃんと食べれるのか等と溺愛ぶりを披露してくれた。
国王陛下の鶴の一声で方針は決まったものの、今回は通常の留学とは訳が違う。
護衛のご学友や何か有った時の対処などいろいろと準備が必要となる。
で、とりあえず俺はパパンと一旦帰ることと成った。
ただ、どうしても気になることがあって帰りの際、パパンにお願いして王都の商店街に来ている。
王都は流石と言うべきか、いろいろなものが売られている。
衛星都市ユーベルトも決して小さくは無いが王都にはどうしても劣る。
俺はお目当ての本屋を見つけた。
実際に一般的にはどのくらい魔術が普及しているのかを知りたかったのと、先日聞きつけた気になる本があったからだ。
本屋で魔術に関する本を見る。
まあ、こんなもんか程度の魔術書ばかりだ。せいぜい中級魔術についてまでが限界であろう。
しかもこんなのがあるよ~くらいで具体的な使い方とかは書いていない。
考えても見れば当然である。
呪文の通り唱えて【炎の矢】が飛び交ったらパニックになる。
本屋の店主にも一番難しい魔術書は無いか尋ねると、とっておきがあるが、お嬢ちゃんにはまだ早いよと笑われた。
人を外見だけで判断してもらいたくない、今は幼女だけど。
俺は店主の前で光の魔法を発動させる。光球を一度に二個出して指先でくるくると回す。
流石に店主も俺が魔法を使えるとは思っていなく、驚かれた。
しかし、とっておきの魔術書は大人向けだから、嬢ちゃんが嫁に行くときにまた来なと言われてしまった。
‥‥‥嫁入り前?
大人になってから?
って、それってそう言う魔術もあるのか!?
まじっ?
それ知りたい!
「店主さん、逆に気になりますわ、表紙だけでも見せていただけないかしら?」
「まあ、表紙だけならいいか、お嬢ちゃんにはまだまだ早すぎるんだがね」
笑いながら店主は奥からその本を持ってきた。
一応魔術書であるので相応の感じではある。
「これだが、中はまだ見せられんよ、大人になってからおいで」
そう言われて表紙だけ見せてもらう。
表紙には「夫婦円満の為密書」と書かれてる。
やっぱそう言う魔術書なんだ、こう言う魔術もあるんだ。
少し興奮気味でその表紙を目に焼き付ける。
ボヘーミャ行ったら内緒で図書館とかで探してみよう。
さて、魔術関連はこのくらいで本題はこっち。
「ところで、店主さん『学問のおすすめ』という本はありますかしら? もしくは『脱北陸論』でも構いませんわ」
店主は少し驚いたようにこちらを見た。
「ほう、お嬢ちゃんその年でそんな本を知ってるのか? 重版だがあるよ」
よしっ!
俺は内心ガッツポーズを取った。
実はこのタイトルが似ている二つの本は前の世界では結構有名なのだが、同じ様なタイトルの本が出回っていると言う事はもしかするとこっちの世界にも俺と同じような転生者がいるのではないかと思われるのだ。
とりあえずそれを購入して内容を確認したい。
この二冊は同じ著者なので、内容が俺が知っているものと似たようなことが書かれていれば確実に黒だ。
「では、その本をいただきたいですわ」
俺はそう言って店主に代金を支払い、ほくほく顔でパパンの元に戻ってきた。
「エルハイミ、本が欲しければ使いの者に買いに行かせたのに」
パパンは軽くため息をつきながらこちらを見る。
俺の手には二冊の本が抱えられている。
背表紙の内容を見て、パパンはこちらに顔を向き直した。
「エルハイミよ、そんな難しい本どこで知ったのだ? それにその本は今王都で大人気の本ではないか?」
へー、人気の本だったんだ。
まあ、国について、政治的について、または個人としてどうするかなどが書いてあり、ある意味指南書だからこういった体系が確立されていなければいい書物だろう。
騎士道精神につながる部分もあるしね。
「ええ、小耳にはさんだので気になりまして。それにこの著者の方についても知りたくてですの」
俺は笑顔でパパンに答える。
その後、他にも面白いものは無いかと商店街をふらつきたかったのだが、時間や護衛の都合で最低限のお土産だけ買って馬車に乗る。
これから帰る間に暇つぶしでこの本を読むのもいいだろう。
もっとも、同じような内容なら既に知っているので流し読みになってしまうが、疑問は確信に変わるだろう。
もしそうであれば是非ともこの著者に会ってみたいものだ。
俺たちの馬車はユーベルトへ向かって動き出した。
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