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第二章
2-5魔法対決
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2-5魔法対決
宴はまさに盛り上がりの最高潮であった。
いつもより豪華な食事、皆を楽しませるために呼んだ道化師や舞子たち。
とりあえずはここまでは普通に宴を楽しんでいる。
‥‥‥あの、ティアナ殿下なんでずっと俺の横にくっついてるの?
隙あらばさらに俺に取り入ろうとする少年少女をその雰囲気だけではねのけ、大人たちの訪来もうまくかわして俺を連れまわす。
まあ、面倒なことが少なくなるので助かるが。
「ねえ、エルハイミ。あなた魔術の才能があるって聞いたけど本当?」
「ティアナ、私のできる魔術なんて大したものは無いですわ。そんなにすごい事が出来る訳じゃ無いですわ。」
一応謙遜しておくが、やっぱ気になるんだね~
「そんなはずないわ! だってあなたは中級以上の水性魔法が使えるって聞いたもの!」
うあー、あの水浸しの件が知れ渡ってるのか。
まあ、いいや。
「ジーナにいろいろ教えていただいてるので、広く浅くですけどね」
そう言ってにこりと微笑む。
ティアナ殿下は納得のいかない顔をして俺の手を引っ張ってバルコニーに連れ出した。
「ねぇねぇ、ここで水性魔法、そうね水生成魔法をここでやって見せてよ!」
何を思ったかティアナ殿下、いきなり魔法を見せろと。
「ええと、こんな感じで良いのでよろしいのかしら?」
そう言って俺は無詠唱で右の指先に水の玉を作り出した。
「え? もうできたの!? いつ呪文を唱えたのよ!?」
そりゃぁ、いきなり人差し指の前にぷくぷくと水球ができれば誰でも驚くだろう。
まあ、無詠唱でこういうことできるのよ~アピールなんだけどね。
「ええと、簡単な呪文は頭の中で唱えて魔力を集中すると出来るみたいですわ」
「ウソ! 女神さまの言葉使わないでそんなことできるはずない! 何か他の方法があるんでしょう?」
俺は苦笑をしてからこう言った。
「では、ティアナ、貴女(あなた)が私の言う通りに水の生成魔法をやってみません事?」
ティアナはうぅ~っと唸ってから、「分かったわ」と言った。
「それでは目を閉じて手のひらに水生成魔法をするときのイメージをいたしますわ。まずは口に呪文を出さずに頭の中でだけ呪文を唱えてみてくださいまし。そして手のひらに水球を作るイメージをしてくださいましな。」
ティアナは言われた通りに目を閉じ黙り込む。
頭の中で呪文を唱え、手のひらに水の玉を出すイメージをする。
すると、手のひらに血液が流れて集まっていくような感じがして、それを水の玉だとイメージする。
それはティアナが魔法を使うときと同じような感覚であった。
そしておそるおそる目を開けると、ティアナの手のひらの上に水球が浮かんでいた。
「うあ! 本当にできた! なにこれ! すごい!」
純粋に大喜びしている。
「エルハイミ、あたしにもできた!もしかして他の魔法も同じにできるの!?」
彼女は大はしゃぎでもう一度、今度は指先に水生成魔法を発動させる。
「そうですね、ティアナ、私も簡単なものならできましたわ。多分もっと練習をすればいろいろできると思いますわ」
にこやかにそう言って、俺は今度は明かりの呪文を指先に出す。
一瞬にしてその明かりを消したが、ティアナはそれを見て自分も同じようにやってみる。
しかし、今度は上手く行かず、もう一度目をつむり集中する。
すると先ほどの水生成魔法と同じく指先に光の玉が出現する。
「やった! できた!」
「お上手ですわ。ティアナ」
上機嫌のティアナ。
これで魔術の才能は非常に高いお姫様の出来上がりである。
無詠唱で俺だけ魔法を使ったらこの後の孫娘対決、魔法編でティアナ殿下が恥をかく。
上手く俺の方がちょっとだけ魔法が上手いくらいにしておかないと後が面倒そうだ。
そんな訳で即席の秘密レッスン終了。
「ティアナよ、どこじゃ?」
お忍びの国王陛下から孫娘を探す声が響き渡る。
見ると酔っ払って既にほほが赤くなった陛下とうちの爺様が怪しい笑いをしている。
「エルハイミよ、こんなところにおったか、おおティアナ殿も一緒か」
爺様と陛下はこちらに怪しい笑みを浮かべたまま寄ってくる。
しかしその目は互いに火花を散らしている。
うえー、やっぱり魔法対決やらなきゃか。
おれは笑顔を張り付かせたまま頬に一筋の汗を流した。
めんどくせぇ~。
「ちょうどいい所におったの、聞けばティアナ殿は随分と魔法にたけておるそうではないか。是非ともそのお手並みを拝見させてもらえんじゃろうか?」
うあー、ストレートに来たよ、うちの爺様。
「あら、大叔父様そんなに私の魔法が見たい? いいわ見せてあげる。光よ!」
そう言ってティアナはいきなり手のひらに光の玉を出現させた。
会場が一気にどよめく。
「な、詠唱短縮じゃと!?」
うちの爺様が驚く。
「ティアナ、いつの間に!?」
もちろん陛下も驚く。
「まだあるわよ、ほら!」
次いでティアナは指先に水球を生み出す。
ちょっと教えただけで安定して直ぐに出来るようになるとは、かなりセンスがいいんじゃないか?
更に今度は無詠唱だったこともあり会場がさらにどよめく。
「む、無詠唱で魔法を使った!?」
「あんなにお小さいのに!?」
「すごいぞ! これは宮廷魔術師に匹敵するんじゃないか!?」
ところどころで大騒ぎが始まる。
無詠唱魔法ってそこまですごかったのか?
「な、なんという事じゃ、ティアナ殿は無詠唱魔術まで使えるというのか!?」
うちの爺様が驚愕の声を上げる。
横にいる陛下もあごに手を当てながら見入ってる。
「うむ、儂も知らんかったが、ティアナよおぬしいつの間に無詠唱魔術まで使えるようになったのじゃ?」
「ふふっ、内緒ですよ、お爺様!」
上機嫌のティアナ殿下。
まあ、これだけ周りを驚かせればそうなるだろう。
「うーむ、これはすごいの、これでは流石にエルハイミもかなわんかのぉ‥‥‥」
少しがっかり気味の爺様に俺はこっそり声をかける。
「おじい様、あれができればいいのですの?」
爺様はこちらを見て、怪訝そうな顔をした。
「エルハイミよ、流石に無詠唱魔法はお前でも無理じゃよ。百万人に一人と言われる才能がないと出来んのじゃよ」
そう言って爺様は溜息をついた。
「あら、こうでよろしいのですわよね?」
そう言って俺は手のひらに光の玉を二個同時に出現させる。
それを見た会場はまたまた大騒ぎになった。
「なぁ、なんじゃと!? エルハイミ! おぬしも無詠唱魔法が使えたのか!?」
爺様びっくりして開いた口が閉じないよ。
陛下も驚きのあまり杯落としちゃった。
「何と言うことじゃ、無詠唱魔法が使えるものが二人もいるのか!?」
あれ?
陛下、なんか驚き越して考えこんじゃったよ?
なんかやばいことしたかな?
「うむ、これは由々しき事態じゃ。イーガルよすまんが儂は先に戻らせてもらうぞ」
「わかった。エドワードよ、ティアナ殿はどうする?」
「すまぬがこちらで面倒見てやってくれ、いずれまた会う事となるじゃろう。ティアナよ、しばらくイーガルの所で待っていてくれ。後で迎えを出す」
そう言って陛下は俺の手を取り口づけをした。
「エルハイミよ、すまぬが今日はこれで戻ることとする。また近いうちに会う事となるじゃろう。それまで元気でな」
陛下はその後すぐに退出していった。
なんだろね、急に?
「エルハイミ! やったわ! しばらくここにいられそう! ねね、さっきの続き教えてね!」
ざわめく会場の中でティアナ殿下だけは元気に嬉しそうだった。
俺はなんとな~く嫌な予感がしてた。
はあ、この後どうなるのだろう?
宴はまさに盛り上がりの最高潮であった。
いつもより豪華な食事、皆を楽しませるために呼んだ道化師や舞子たち。
とりあえずはここまでは普通に宴を楽しんでいる。
‥‥‥あの、ティアナ殿下なんでずっと俺の横にくっついてるの?
隙あらばさらに俺に取り入ろうとする少年少女をその雰囲気だけではねのけ、大人たちの訪来もうまくかわして俺を連れまわす。
まあ、面倒なことが少なくなるので助かるが。
「ねえ、エルハイミ。あなた魔術の才能があるって聞いたけど本当?」
「ティアナ、私のできる魔術なんて大したものは無いですわ。そんなにすごい事が出来る訳じゃ無いですわ。」
一応謙遜しておくが、やっぱ気になるんだね~
「そんなはずないわ! だってあなたは中級以上の水性魔法が使えるって聞いたもの!」
うあー、あの水浸しの件が知れ渡ってるのか。
まあ、いいや。
「ジーナにいろいろ教えていただいてるので、広く浅くですけどね」
そう言ってにこりと微笑む。
ティアナ殿下は納得のいかない顔をして俺の手を引っ張ってバルコニーに連れ出した。
「ねぇねぇ、ここで水性魔法、そうね水生成魔法をここでやって見せてよ!」
何を思ったかティアナ殿下、いきなり魔法を見せろと。
「ええと、こんな感じで良いのでよろしいのかしら?」
そう言って俺は無詠唱で右の指先に水の玉を作り出した。
「え? もうできたの!? いつ呪文を唱えたのよ!?」
そりゃぁ、いきなり人差し指の前にぷくぷくと水球ができれば誰でも驚くだろう。
まあ、無詠唱でこういうことできるのよ~アピールなんだけどね。
「ええと、簡単な呪文は頭の中で唱えて魔力を集中すると出来るみたいですわ」
「ウソ! 女神さまの言葉使わないでそんなことできるはずない! 何か他の方法があるんでしょう?」
俺は苦笑をしてからこう言った。
「では、ティアナ、貴女(あなた)が私の言う通りに水の生成魔法をやってみません事?」
ティアナはうぅ~っと唸ってから、「分かったわ」と言った。
「それでは目を閉じて手のひらに水生成魔法をするときのイメージをいたしますわ。まずは口に呪文を出さずに頭の中でだけ呪文を唱えてみてくださいまし。そして手のひらに水球を作るイメージをしてくださいましな。」
ティアナは言われた通りに目を閉じ黙り込む。
頭の中で呪文を唱え、手のひらに水の玉を出すイメージをする。
すると、手のひらに血液が流れて集まっていくような感じがして、それを水の玉だとイメージする。
それはティアナが魔法を使うときと同じような感覚であった。
そしておそるおそる目を開けると、ティアナの手のひらの上に水球が浮かんでいた。
「うあ! 本当にできた! なにこれ! すごい!」
純粋に大喜びしている。
「エルハイミ、あたしにもできた!もしかして他の魔法も同じにできるの!?」
彼女は大はしゃぎでもう一度、今度は指先に水生成魔法を発動させる。
「そうですね、ティアナ、私も簡単なものならできましたわ。多分もっと練習をすればいろいろできると思いますわ」
にこやかにそう言って、俺は今度は明かりの呪文を指先に出す。
一瞬にしてその明かりを消したが、ティアナはそれを見て自分も同じようにやってみる。
しかし、今度は上手く行かず、もう一度目をつむり集中する。
すると先ほどの水生成魔法と同じく指先に光の玉が出現する。
「やった! できた!」
「お上手ですわ。ティアナ」
上機嫌のティアナ。
これで魔術の才能は非常に高いお姫様の出来上がりである。
無詠唱で俺だけ魔法を使ったらこの後の孫娘対決、魔法編でティアナ殿下が恥をかく。
上手く俺の方がちょっとだけ魔法が上手いくらいにしておかないと後が面倒そうだ。
そんな訳で即席の秘密レッスン終了。
「ティアナよ、どこじゃ?」
お忍びの国王陛下から孫娘を探す声が響き渡る。
見ると酔っ払って既にほほが赤くなった陛下とうちの爺様が怪しい笑いをしている。
「エルハイミよ、こんなところにおったか、おおティアナ殿も一緒か」
爺様と陛下はこちらに怪しい笑みを浮かべたまま寄ってくる。
しかしその目は互いに火花を散らしている。
うえー、やっぱり魔法対決やらなきゃか。
おれは笑顔を張り付かせたまま頬に一筋の汗を流した。
めんどくせぇ~。
「ちょうどいい所におったの、聞けばティアナ殿は随分と魔法にたけておるそうではないか。是非ともそのお手並みを拝見させてもらえんじゃろうか?」
うあー、ストレートに来たよ、うちの爺様。
「あら、大叔父様そんなに私の魔法が見たい? いいわ見せてあげる。光よ!」
そう言ってティアナはいきなり手のひらに光の玉を出現させた。
会場が一気にどよめく。
「な、詠唱短縮じゃと!?」
うちの爺様が驚く。
「ティアナ、いつの間に!?」
もちろん陛下も驚く。
「まだあるわよ、ほら!」
次いでティアナは指先に水球を生み出す。
ちょっと教えただけで安定して直ぐに出来るようになるとは、かなりセンスがいいんじゃないか?
更に今度は無詠唱だったこともあり会場がさらにどよめく。
「む、無詠唱で魔法を使った!?」
「あんなにお小さいのに!?」
「すごいぞ! これは宮廷魔術師に匹敵するんじゃないか!?」
ところどころで大騒ぎが始まる。
無詠唱魔法ってそこまですごかったのか?
「な、なんという事じゃ、ティアナ殿は無詠唱魔術まで使えるというのか!?」
うちの爺様が驚愕の声を上げる。
横にいる陛下もあごに手を当てながら見入ってる。
「うむ、儂も知らんかったが、ティアナよおぬしいつの間に無詠唱魔術まで使えるようになったのじゃ?」
「ふふっ、内緒ですよ、お爺様!」
上機嫌のティアナ殿下。
まあ、これだけ周りを驚かせればそうなるだろう。
「うーむ、これはすごいの、これでは流石にエルハイミもかなわんかのぉ‥‥‥」
少しがっかり気味の爺様に俺はこっそり声をかける。
「おじい様、あれができればいいのですの?」
爺様はこちらを見て、怪訝そうな顔をした。
「エルハイミよ、流石に無詠唱魔法はお前でも無理じゃよ。百万人に一人と言われる才能がないと出来んのじゃよ」
そう言って爺様は溜息をついた。
「あら、こうでよろしいのですわよね?」
そう言って俺は手のひらに光の玉を二個同時に出現させる。
それを見た会場はまたまた大騒ぎになった。
「なぁ、なんじゃと!? エルハイミ! おぬしも無詠唱魔法が使えたのか!?」
爺様びっくりして開いた口が閉じないよ。
陛下も驚きのあまり杯落としちゃった。
「何と言うことじゃ、無詠唱魔法が使えるものが二人もいるのか!?」
あれ?
陛下、なんか驚き越して考えこんじゃったよ?
なんかやばいことしたかな?
「うむ、これは由々しき事態じゃ。イーガルよすまんが儂は先に戻らせてもらうぞ」
「わかった。エドワードよ、ティアナ殿はどうする?」
「すまぬがこちらで面倒見てやってくれ、いずれまた会う事となるじゃろう。ティアナよ、しばらくイーガルの所で待っていてくれ。後で迎えを出す」
そう言って陛下は俺の手を取り口づけをした。
「エルハイミよ、すまぬが今日はこれで戻ることとする。また近いうちに会う事となるじゃろう。それまで元気でな」
陛下はその後すぐに退出していった。
なんだろね、急に?
「エルハイミ! やったわ! しばらくここにいられそう! ねね、さっきの続き教えてね!」
ざわめく会場の中でティアナ殿下だけは元気に嬉しそうだった。
俺はなんとな~く嫌な予感がしてた。
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