6 / 10
第六話:お兄ちゃんと女の子の特訓///////
しおりを挟む私はダメ兄に女の子がどう言うモノか教え込むために特訓を始めた。
「なあ琴吹、これって本当なのか?」
「黙って読む。意外かもしれないけど女の子はこう言った恋愛を望んでいるのよ?」
そう言ってお兄ちゃんに恋愛少女漫画を読ませる。
世にいる女の子はまず、小さい頃に漫画やアニメのキラキラした主人公に憧れる。
そしてそこから始まるラブロマンス。
それが幼いころからDNAレベルで刻み込まれ、年齢と共に小説や雑誌の知識を加え恋愛感情と言うモノを成型してゆく。
勿論、人によっては違うかもしれないけど、大体は学校の誰々ちゃんがねぇ~ってな感じで女の子同士である種の連帯感を持ち、そのうち誰が好きとか言うのになって行く。
その過程で女の子は恋愛する相手ならこう言うのが良いとか、こうなって欲しいという願望が出来る。
まずはその生態を理解すべきだ。
「でも、俺が勉強したモノの本とは全く違うぞ? これ本当なのか??」
「必ずその漫画が正しいとは言わないけど、参考にはなるよ。女の子はこう言ったラブロマンスが好きだし、アタックしてもらえる相手にはこんな風にしてもらいたいって思うモノよ」
色々なパターンがあるけど、お兄ちゃんに渡した少女漫画は、主人公が最初なんとも思っていなかった何人もの男の子からアタックを掛けられて、徐々にみんなにドキリとさせられながら男の子たちを好きになって行くストーリー。
まあ、私たち女の子の願望が駄々洩れな逆ハーレムと言われているけど、イケメンたちに言い寄られ自分を求めて争われるっていうのは大道のラブロマンス!
これにが嫌いな女子はいない!!
「しかし、この主人公の女の子は何もさせてくれないじゃないか? キスすらさせてくれないとか」
「馬鹿ねぇ~、キスって本当に特別なものよ? 雰囲気があってそして好きな男性から優しく、そしてロマンチックに攻められるようじゃなきゃダメに決まっているじゃない?」
やはり朴念仁のお兄ちゃんはこの絶妙な感覚が分からないのかも。
しかしそこにロマンスがある!
いきなり迫られて顔が近くそして甘い言葉を掛けられながら押し倒されちゃったら、キスしても良いかもって気になちゃうものなのよ!
そう、こんな感じで!!
「あれっ?」
「琴吹、前からお前の事が好きだった」
お兄ちゃんはいつの間にか私の目の前にいて、顔と顔がくっつきそうなほど近かった。
「ちょ、お、お兄ちゃん」
「好きだ、お前が欲しい!」
「いや、ちょっとまって」
お兄ちゃんはいつの間にか私の腰に手を回し、肩を掴み強引にベッドに押し倒す。
「だめ、ちょっと、いやっ!」
「好きなんだ!」
どきっ!
真剣に私の目を見るお兄ちゃん。
じっと私を見つめる。
いや、ちょっと嘘でしょお兄ちゃん?
「奇麗だよ、琴吹」
「ぁ、そ、その……」
どきどきどきどきっ
真剣なまなざしのお兄ちゃんにそんな事囁かれて心臓が勝手に高鳴る。
顔も熱くなってきてしまうけど、昔から私好みのイケメンなお兄ちゃんの顔が目の前にある。
何時の頃だろう、お兄ちゃんの顔をここまで真剣に見なくなったのは?
こうしてみるとやっぱり私好みのイケメン。
そんなお兄ちゃんに押し倒され、好きだとか奇麗だとか言われちゃったら……
「……//////」
お兄ちゃんの顔が更に近づいてくる。
だめ、私たち兄妹なんだよ?
それに私、ファーストキスなんだよ??
近づくお兄ちゃんの顔。
恥ずかしくてドキドキが止まらなくて、思わず目を閉じてしまう。
キスくらいなら……
―― 五分経過 ――
「お兄ちゃん……」
「ん? なんだ琴吹??」
その後ずっと待っていたのに何も起こらない。
お兄ちゃんは私から離れてまた漫画を読んでいた。
一人ドキドキしながら何時キスされるか、もしかしてそれ以上の事されちゃうのかといろいろ頭を考えが巡っていたのに!!
「今の何よ!? 一体何ぃッ!!!?」
「あー、この漫画の通りにして見た。名前は琴吹にしたがさっきみたいな感じで良いのか?」
「ぉお、お兄ちゃんの…… ばぁかぁぁああああぁぁぁぁっッ!!!!」
ばばばばばば、ばきっ!!!!
私は思わず流星のような拳を放ちお兄ちゃんを血祭りにあげる!
「ぐはっ!!」
お兄ちゃんは部屋の壁に蜘蛛の巣のようなひびをつけてめり込む。
「な、なんで……?」
「もうお兄ちゃんなんか知らない!!」
私はそう言ってツンとお兄ちゃんから顔を背けるのだった。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お兄ちゃんはお医者さん!?
すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。
如月 陽菜(きさらぎ ひな)
病院が苦手。
如月 陽菜の主治医。25歳。
高橋 翔平(たかはし しょうへい)
内科医の医師。
※このお話に出てくるものは
現実とは何の関係もございません。
※治療法、病名など
ほぼ知識なしで書かせて頂きました。
お楽しみください♪♪
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる