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第四章 みんな大好きデース!
4-15(土)お土産の買い物デース
しおりを挟む昨日はリンダが留学最後の日だったので特別に教室で放課後にお別れパーティーを開いたのだけど結果的に酷い目にあった。
「まさか紫乃まで本当にキスしてくるとは思わなかったわ‥‥‥」
「由紀恵、そろそろ行くデース!」
「忘れ物は無いなっと、じゃあ母さん行ってくるね」
明日リンダがいよいよオーストラリアに帰るので今日は最後にお土産を買い出しに行きたいと言う事らしい。
既に自分のモノは買いあさって国際郵便で送りつけていたから後は向こうの友人や両親へのお土産を買いたいとの事だ。
一応日本らしいものが欲しいという要望だけど、どんなものが日本らしいのだろう?
首をかしげる私にお兄ちゃんは「とりあえずいつものショッピングモールへ行こうか?」と提案してくれた。
まあ、考えるより行ってみる方が早いだろうし、リンダに直接行ってもらって決めてもらうのが良いだろう。
なので今日は朝から私たちでお出かけとなった。
「行ってきます」
「行ってくるデース!」
「はいはい、みんな気をつけていってらっしゃ。友也、お昼はいいのね?」
玄関先でお母さんが見送ってくれる。
お兄ちゃんは頷いて「モールで昼は食べるよ」とだけ言って玄関を出る。
そして一路ショッピングモールへと向かうのだった。
* * * * *
「あ~、由紀恵ちゃ~んこっちこっち~」
駅に着くと紫乃が手を振って待っていた。
そしてこいつらも‥‥‥
「長澤君こっちだよ~」
「‥‥‥長澤君とデート」
「せんぱーい、いい天気になりましたね!」
「これってグループデート? そうだよね、ね、ね?」
高橋静恵に泉かなめ、矢島紗江に下僕その一まで来ていた。
全く何処から情報が漏れたのか。
軽くため息をついておっぱいお化けの高橋静恵がお兄ちゃんに近寄るのを阻止しようとしたけど先にリンダが割って入った。
「OH-! 静恵駄目デース! 友也に胸当てるの私が許しませんデース!」
「リンダちゃんこそ胸当たってるわよ!? 長澤君!?」
「‥‥‥長澤君、女はおっぱいだけじゃない」
「み、みんなずるいです! 私だって先輩と!!」
あ~、もう電車に乗る前から。
私はもみくちゃになっている所からすっとお兄ちゃんを引っ張る。
「はいはい、お兄ちゃんいい加減に鼻の下伸ばさない! そろそろ行かないとお昼になっちゃうよ!?」
「あ、ああ、分かってるって」
最近リンダのスキンシップにも慣れたお兄ちゃんは胸を押し付けられると嬉しそうにする。
このおっぱい星人め!!
「で、由紀恵もそんなに無理して押し付けなくてもちゃんとやわらかいのわかってるからな?」
「なっ!? わ、私はそんなつもりでお兄ちゃんの腕に抱き着いている訳じゃ‥‥‥」
「OH-! 由紀恵もやるデース、これなら私帰っても心配ないデース!」
「何の心配よ!?」
途端に周りが笑う。
全く。
リンダはにこやかに笑いながら私たちを見るのだった。
* * * * *
ショッピングモールに着いてあれやこれやとみんなで話しながら買い物をする。
「やっぱ日本らしいて言ったらこれからの時期はこれだろう!?」
そう言って下僕その一は浴衣を指さす。
「リンダちゃんみたいな金髪でもこの紺色の強めの色なら似合うって! そして覗き見えるうなじ、明確になるヒップライン、浴衣を押し上げる胸、ぐふっ、ぐふふふふふふっ!」
「お巡りさんこの人です!」
「ああっ! 由紀恵様いきなり犯罪者あつかいなんて酷いっ!」
「うるさいわよ、女の敵!」
最近ちょっと躾がなっていない下僕その一を罵倒してリンダを引っ張る。
しかしリンダは浴衣ではなく団扇を見ている。
「うーん、浴衣ちょっとお高いデース、友達のお土産には予算が無いデース。これの方がいいデース!」
金魚が描かれた夏っぽいうちわ。
確かに日本っぽい。
そしてお値段もお手頃。
「悪くないわね? こっちにも良いモノが有るわよ?」
そう言って高橋静恵は小さな風鈴を持ってくる。
ちり~ん
涼しげな音がする。
こう言った物も確かに日本っぽい。
「‥‥‥これも悪くない」
そう言いながら泉かなめは茶巾包みを持ってくる。
小物入れとしてもおしゃれだし、ここのお店は今割引セールだからお手頃価格。
「こっちも良いですよ!」
そう言って矢島紗江が持ってきたのは油取り紙。
和風テイストのこれは和紙っぽい柄に浮世絵風のプリントがされている。
なんだかんだ言ってみんなもリンダの為に色々と日本っぽいお土産を探してくれる。
そんな中お兄ちゃんは折り紙をかかげて言う。
「リンダちゃん、つるの折り方覚えた? 覚えられたならこう言った折り紙をお土産で持って行くのも面白いよ?」
そう言って和紙で出来た折り紙セットを見せる。
お値段お手頃、しかもつるとかの折り方の説明もついている。
「OH-! これはみんなに配るのに良いデース! 流石友也デース!」
リンダはそう言ってお兄ちゃんに抱き着き頬にキスする。
「ちょっ! リンダぁっ!!」
「リンダちゃん!」
「‥‥‥それは許せない」
「先輩ぃ!」
途端に私たちの抗議の声が。
しかしリンダは今度は私たちに抱き着いて来て同じく頬にキスをしまくる。
「なっ!?」
「えっ!?」
「‥‥‥だめ、私には長澤君と言う人が」
「ちょ、ちょっとぉ、リンダちゃん!?」
「え~私も~!?」
「え、え? お、俺には無いの!?」
下僕その一を抜かしみんなに同じくキスしまくるリンダ。
「へへへ~、みんないろいろ選んでくれたありがとうデース!」
嬉しそうに言うリンダ。
しかしお店の人がやって来てこう言う。
「あのぉ~、すみませんが他のお客様のご迷惑になるのでお店の前でそう言う事はひかえていただけませんか?」
「「「「「「あ”っ」」」」」」
思わず声がハモってしまう私たちだった。
* * * * *
「JAPAN食べ物の美味しいのにお安いデース!」
買い物も終わりフードコートでみんなでお昼ご飯を食べる。
リンダの要望でリンダの食べられそうな和食をお勧めしたのがうどんだった。
フードコートに入っている讃岐うどんは自分の好みでてんぷらとかも自分で取ってお会計できるのでリンダにとってもらくちんだった。
意外な話リンダはちくわのテンプラがお気に入りのようだった。
「食べ終わったらゲーセンでも行こうか?」
「OH-! ゲーセンとは対戦する場所デースね?」
「いやいや、そんなゲーム置いてある所ってほとんど無いでしょ?」
「え~、でもここのモールは有るよ~? レトロゲームコーナーとかもあるしワンゲーム五十円だよ~」
あるんかい!?
しかも五十円って、何それお安い?
驚く私だったけどみんな食べ終わったらゲームセンターで遊ぶこととなったのだった。
* * *
「くっ! なっ!? あーっ!!」
「やったー! 勝ったデース!!」
高橋静恵とリンダが対戦ゲームで張り合っていた。
意外と駄目だったのが矢島紗江でコントロールしながら体が動きまくっていて結局操作ミスが多かったようだ。
「‥‥‥真打登場」
そう言いながらコインを入れて泉かなめがリンダに挑戦をする。
私はそんな様子を見ながらUFOキャッチャーのコーナーに行ってみる。
いろいろと物色をしているとゆるキャラのマスコットが目についた。
「うーん、あれ可愛いな。取れるかな?」
言いながらお金を入れるけど何回やっても取れない。
「くぅ~っ、あと少しなのに!!」
「由紀恵、こんな所にいたんだ。何してんの?」
私があれやこれとやってもなかなか取れないゆるキャラ。
そこへお兄ちゃんがやって来た。
「お兄ちゃん、これ取れないのよ!」
「うーん、ちょっと待って」
涙目の私にお兄ちゃんは景品をいろいろな方向から見る。
そしてコインを入れて操作する。
「ここらへんかな?」
「あっ、お兄ちゃんそんなにずれたらつかめないよ?」
景品に対してアームが半分くらいにしか行っていない。
これでは景品を爪で押すだけでつかむ事すら出来ない。
そう、私が思った時だ。
それはまるで引っ張られるかのように角度をずらしぼとっと落ちて来た。
「へっ?」
「あの角度だと耳の所を爪で押した方が落ちやすいんだよ」
お兄ちゃんは景品を取り出しながら私に渡してくれる。
流石お兄ちゃん!
私はその景品を手に大喜びする。
「あ~、リンダちゃん強い~」
「なんか久しぶりに対戦ゲームしたわね?」
「‥‥‥まさかあの必殺技を出せるとは」
「う~、どうも体が動いちゃうんですよね~」
「俺、最下位なの? なんでみんなあんなに強いの?」
どうやらみんなも対戦ゲーム終わって戻ってきたようだ。
「あ~由紀恵ちゃん、そのゆるキャラゲットできたんだ~」
「OH-! 可愛いデース!!」
「へぇ、よく取れたわね?」
「‥‥‥それ取るの難しい」
「いいなぁ、私も欲しいです」
「よぉしぃっ! 俺が取ってやるから見てろよな!!」
私の手元のゆるキャラ見てみんなもUFOキャッチャーをするも誰も取れなかった。
「くっ、後一回! って、もう金が無くなっちまったぁ~!!」
「剛志、お前帰りの電車賃くらいは残しておけよな?」
がっくりとorzしている下僕その一にお兄ちゃんはそう言う。
確かにドツボにはまるとUFOキャッチャーは危険だ。
最後にリンダがもう一回やってみるもやはり取れなかった。
* * * * *
「あ~、遊んだ~」
電車に乗って元の駅にまで戻って広場で両手を上げながら下僕その一は伸びをする。
「なんだかんだ言って夕方ですもんね」
「‥‥‥久々に沢山遊んだ」
「そうね、今日くらいは良いわよね?」
みんなそう言いながらリンダを見る。
そして高橋静恵たちはリンダに手を差し出す。
「いろいろと楽しかったわ。元気でね」
「‥‥‥メアドは交換した。連絡入れる」
「さようならリンダちゃん!」
高橋静恵も泉かなめも矢島紗江もそう言いながら握手を求める。
リンダはその一つ一つに握手を返していきながら寂しそうに笑う。
「リンダちゃん~向こうに行っても元気でね~、明日はお見送りできないけど向こうに着いたら連絡してね~」
最後に紫乃ともお別れをして私たちはみんなが見送る中自宅へ向かう。
リンダは時折見送ってくれるみんなに振り向きながら何度も手を振っていた。
「ねえリンダ、今日は楽しかった?」
「勿論デース! 楽しかったデース!!」
「ん、そうか。ならよかった。じゃあこれあげる!」
私はそう言いながら最後にお兄ちゃんに取ってもらったゆるキャラマスコットをリンダに手渡す。
「由紀恵? いいのデースか?」
「リンダも最後取れなくて悔しそうだったでしょ? それね、私とお兄ちゃんで取ったんだよ」
「由紀恵と友也デースか?」
私とお兄ちゃんは頷く。
するとリンダはぎゅっとそれを抱きしめて嬉しそうにする。
「これ私の宝物にするデース! 由紀恵と友也のとっても素敵なプレゼントデース!!」
笑顔になるリンダを見ながら私たちは自宅に着くのだった。
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