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第四章 みんな大好きデース!
4-11(水)由紀恵と公園デートデース!
しおりを挟む「で、なんでこんな所でみんなで集まるのよ?」
私は学校の近くの公園でみんなに呼ばれ拝み倒されていた。
「お願い長澤さん! テストのヤマ教えて!!」
「そうそう、赤点だけは回避したいの!!」
「やだよ補習~。ねえお願い長澤さん!」
いやいや、この期末テストってちゃんと授業受けていれば変なひねった問題も出ないし、先生たちも懇切丁寧に此処が出るって授業中にやってくれているじゃない?
ヤマも何も無いだろうし、授業ちゃんと受けていれば何処出るかもわかるし‥‥‥
「ねえ由紀恵ちゃん~ 私も~」
「あんたまでかいっ!?」
みんなの中に紫乃もちゃんと混じっていた。
「それで由紀恵様~どの辺がヤマでしょうか~?」
何故三年生のお前がここにいる!?
みんなに混じっている下僕その一を見て私はため息をつく。
いや、お兄ちゃんの期末テストに協力する為に私も三年生の出題範囲とか確認はしているけど。
「由紀恵此処でもモテモテデース!」
「はぁ、仕方ないわね。こんな公園でずっといても仕方ないから図書館は‥‥‥うるさくなるからハンバーガー屋あたりで‥‥‥」
「それが今月は~」
「ほら、文化祭とかで~」
「ちょっと懐が~」
途端に情けない事を言いだすみんな。
私はため息をついて諦める。
「分かった、私の家でやりましょう。但し、お兄ちゃんにちょっかい出さない事! お兄ちゃんだって期末勉強させなきゃなんだから」
私のその言葉にみんな歓喜するのだった。
* * * * *
「と言う事でお兄ちゃんは私がまとめたこれやって! ああ、下僕その一はお兄ちゃんに見せてもらいなさい。多分その辺が九割出るから」
「なあ由紀恵、いつも思うんだがなんでお前のテスト対策はいつもほとんどヤマが当たるんだ?」
クラスの娘がお兄ちゃんにちょっかい出せない様に下僕その一をお兄ちゃんのお部屋に押し込んで私の作った問題を手渡す。
お兄ちゃんの教科書とノートから出題確率の高い所やあの先生の癖を考えて出そうな問題をまとめておいたのだ。
今までもこのやり方で大体予測通りなのでお兄ちゃんは三年生になってからの成績がぐっと延び、このまま行けば地元の大学合格確実になりそうだった。
「それはお兄ちゃん、女のカンよ!」
私がそう言うとお兄ちゃんは頬に一筋の汗をかき何となく頷く。
「まあ、由紀恵の言う事だからな。由紀恵様さまだな」
「だからちゃんと勉強して一緒に地元の大学に行こうね、お兄ちゃん!」
私はにっこりとしてそう言うと後ろから外野が騒がしくなる。
「やっぱり長澤さん、お兄さんと‥‥‥」
「いいなぁ、初めてがあんなステキなお兄さんで」
「禁断の愛、肉欲に狂う兄妹‥‥‥ これは薄い本が出来るわ!」
おいこらオマエラ、追い出そうかしら?
私がキッと睨むとみんなすぐに明後日の方向を見る。
「由紀恵、みんなで集まって何するデースか?」
「リンダちゃん、期末テストの勉強会だよ~ そう言えばリンダちゃんってテストどうなの~?」
リンダは紫乃に言われ瞳をぱちくりとしている。
「ワターシ、短期留学デース。テスト点数関係ないデース!」
「リンダ、あんたもしかして忘れてる? ここでの点数はオーストラリアのリンダの学校に伝えられあなたのご両親にも伝えられるのよ?」
私がそう言うとリンダは「びきっ!」と音を立てて石化する。
そしてさび付いた機械人形のように頭だけぎぎぎぃっとこちらを向く。
「由紀恵それ本当デースか?」
「あれ? 聞いてなかったっけ? お父さんから私は聞いていたけど?」
するとリンダはいきなり涙目になって私に抱き着いてくる。
「由紀恵助けるデース! パースのダディに知られたら大変デース!!」
なんなのよこいつ?
そんなに成績問題って向こうでは大変なのかな?
珍しくリンダはうるうるとして私に懇願してくる。
私は大きくため息をついてみんなを私の部屋に入れる。
「仕方ないわね、今から徹底的にやるから覚悟しなさい!」
「「「「「ひ、ひえぇぇぇぇぇ~ぇっ(デース)!!」」」」」
珍しく私以外の叫び声がするのだった。
* * * * *
「うーん、終わったぁ~。」
「う、うん終わった‥‥‥」
「長澤さん容赦ない‥‥‥」
「駄目今話しかけられると頭から覚えた事がこぼれだす!」
「相変わらず由紀恵ちゃんは容赦ないよぉ~」
「ううぅ、由紀恵ワタシだけ厳しくしていませんデースか?」
みんなテーブルに突っ伏して頭から煙を立ち昇らせている。
私はみんなを見ながら伸びをして首をこきこき鳴らす。
そして時計を見るともういい時間だった。
「さてと、これで確実に七十点以上は行けるでしょう? 今日やった所を確実に覚えていれば大丈夫よ?」
「その覚える方法が独特過ぎて大変なのよ、長澤さんのは‥‥‥」
「まあ、確かに何かに関連付けて覚えるってのは頭に入りやすいけど‥‥‥」
「何故に長澤さんのお兄さんにまつわる話ばかり‥‥‥」
みんな何を言っているのだろう?
お兄ちゃんに関連付けすればすぐに色々覚えられると言うのに?
「あ~、もうこんな時間だね~ 由紀恵ちゃんありがと~ 何とか赤点は回避できそうだよ~」
「いや、紫乃あんたは平均点取りなさいって! 今日教えた所全部覚えれば確実に七十点以上いけるんだから!」
「むぅ~りぃ~」
泣き言を言う紫乃のほっぺをムニムニと引っ張以ながら言う私。
「さてと、長澤さん今日はほんとありがとう。お小遣い入ったらお礼するわね」
「う~、もうこんな時間か。帰んなきゃね」
「ありがとうね、長澤さん」
みんなはそう言って帰りの支度をする。
「あ、しまった。シャープペンの芯と消しゴムが無い。しょうがないなぁ、買いに行ってこようか?」
「あ、由紀恵私も行くデース!」
みんなを見送りながら必要な文房具を近くのコンビニで買う事となった。
「それじゃ長澤さんまた明日ね!」
「バイバイ~」
「さようなら~」
「それじゃね由紀恵ちゃん~」
みんなを見送って紫乃とも別れ私はリンダと二人でコンビニに行く。
そして不足の文房具を買ってリンダがくじ引きして散財するのを防ぎアイスも買ってからお店を出る。
「ん~、由紀恵寄り道するデース! 公園で由紀恵とデートデース!!」
「はぁ? もう暗くなってきたんだから早く帰りましょうよ?」
しかしリンダはもうすぐ家に着く前に近くの公園に入っていく。
ここは住宅街にある公園で小さい頃から良くお兄ちゃんと遊びに来ていた。
流石にこの時間になると誰もいない。
リンダはブランコに腰掛け袋からアイスを取り出し食べ始める。
私はため息をついてリンダの隣のブランコに座って同じくアイスを引っ張り出し食べ始める。
「日本って良いところデース。暗くなって女の子二人で出歩いても大丈夫デース!」
「ん? オーストラリアは違うの?」
アイスを食べ終わりアイスの棒をくわえたままのリンダは夜空を見る。
「場所にもよりますデース。でもやっぱり日本と違って怖いデース」
「ふーん、海外ってそうなんだ。そう言う意味では日本って平和ね」
「そうデース。うらやましいデース!」
リンダはそう言いながらブランコを漕ぎ始める。
キコキコとブランコが鳴る。
「ワターシ日本に来て本当に良かったデース。由紀恵や友也、みんなと知り会えてとても幸せデース。できればずっとこうしていたいデース」
「リンダ‥‥‥」
そう言えばこいつも今週いっぱいでオーストラリアに帰るんだっけ?
なんか短期と言いながらもの凄く長く付き合っているような気がする。
こいつが来てから毎日が騒がしくそして大変だった。
でも‥‥‥
「私もリンダが来て良かったかも。今まで外国人ってちょっと近寄りがたくて怖い感じがしてたもんね。言葉や習慣の違いがあるとやっぱり警戒しちゃうもんね」
「今はしないデースか?」
リンダはそう言ってブランコから降りて私の前に立つ。
私はリンダの顔を見上げてからにこりと笑って言う。
「リンダが外国人ってたまに忘れるくらい慣れちゃった」
私がそう言うとリンダはいきなり抱き着いて来た。
「ありがとうデース、由紀恵。ワタシやっぱり日本に来てよかったデース!」
そう言いながらいきなり顔を近づけてくる。
「ちょっとマテ、なにする気よ!?」
「この流れでは女どうしでの熱い口づけが相場デース! 記念にブチューっと一発デース!!」
「やめなさいって、こらリンダ!? だ、だめぇぇえええぇぇぇっ!!」
日本の夜の公園でしかも家の近くでも危険だと言う事をまざまざと味わう私だった。
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