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第三章学園生活は最高デース

3-6(水)友也で練習デース

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 放課後、文化祭の準備で各部活も休止をしている。


 「由紀恵、これはどうやって作るデースか?」

 「ああ、ちょっと待って、佐々木さん、お願い!」


 喫茶店とかでアルバイトの経験のある人がいて助かった。
 この佐々木さんのお陰で何とか予定の料理も出せそうだし、接客も対応方法も指導してもらえるから大変助かる。 


 「まっかせなさ~いぃっ! はい、リンダさんここはこうっ! 長澤さん! ケチャップは先端の細いもので文字の練習は忘れずに! それと男子! ボケっとしていないでお嬢様たちへのご挨拶の練習!!」


 ものすごくやる気になってくれるのは助かるのだけどこの人ってこんなキャラだっけ?
 いつもは物静かで読書を好むような朗読少女のはずなのにメイド服に着替えると人が変わったようになる。


 助かってはいるのだけど。



 「うーん、でも練習と言っても自分たちだけじゃ良いのか悪いのか分からないよね?」

 「ねぇねぇ、由紀恵ちゃんだったら友ちゃん呼んだらいいんじゃないの~? 友ちゃんところ暇らしいよ~」


 お兄ちゃんのクラスの出し物は占いなのでそれっぽい雰囲気にさえできればやる人は決まって言うのでほとんどの人が時間が出来る。
 なのでお兄ちゃんも放課後は暇なはず。


 「う~ん、でも良いのかなぁ?」

 「大丈夫デース! もう呼びましたデース!!」


 「はいっ!?」


 驚く私に既に呼び寄せられたお兄ちゃんと下僕その一。
 リンダはそんな私の頭にあのネコミミカチューシャを載せる。


 「ははははっ! 本当によく似合ってるな由紀恵っ!」

 「おおっ! 由紀恵様のネコミミメイド! 写真撮っても良いですか!?」


 お兄ちゃんに生で見られるとなんか恥ずかしい!
 あ、下僕その一は後でお仕置ね。


 「お、お兄ちゃん、うううっ、見られたぁ~」


 「好いじゃん可愛いよ由紀恵」


 ずっきゅーん!!


 か、可愛い!
 お兄ちゃんが可愛いって言ってくれたぁっ!


 「え、えへへへへへぇ~」

 「うわぁ、由紀恵ちゃんがデレデレだぁ~」

 「友也、私はどうデースか!?」

 私がデレデレくねくねしているとリンダもお兄ちゃんの前に出てその大きな胸を揺らす。


 「うっ! ////」

 「こうれはこれはすんばらすぃぃっ!」


 お兄ちゃんは思わず赤面、下僕その一は鼻の下伸ばして赤くなってニヤニヤしている。
 こいつお仕置から死刑に変更ねっ!


 「そ、それで呼ばれたけど何するんだよ?」

 「友也、私たちのサービス受けるデース!」

 「サ、サービス!? どんなっ!? 是非お願いします!!」

 お兄ちゃんはリンダに言われテーブル代わりの学校の机に座らせられる。
 そしてコーヒーを入れた佐々木さんがお手本とばかりに実戦をしてみる。


 「良いですか、こうやってご主人様をお迎えするんです。 ご主人様お帰りなさいませ。お疲れでしょう、コーヒーをお淹れしました。どうぞお召し上がりくださいませ」


 そう言って右斜め後ろから「失礼します」と言いながらすっとコーヒーを差し出す。


 「ここで気を付けるのは必ず斜め後ろの位置から差し出す事。その時コーヒーカップの取っては右になる事。勢いをつけすぎたり揺らしたりバランスを崩してコーヒーをこぼさないよう注意してください」


 佐々木さんはそう言いながらすっとした動作をみんなに見せる。
 途端にクラスのみんなから歓声が上がる。

 そして下僕その一にも男子の執事姿の柔道部の大桑君がコーヒーを差し出す。


 「あの、なんで俺は執事なの? 出来ればリンダちゃんとか他の女の子が良いんだけど‥‥‥ あ、由紀恵様何でもありません! いただきます!!」


 とち狂った事言う下僕その一を呪い殺せる視線で睨んだ私に慌ててこいつはコーヒーを飲む。


 「それではご主人様、パンケーキが焼き上がりましたのでどうぞ。みんな、ここで美味しくなるおまじないします! さあご一緒に!!」

 そう言って佐々木さんは女子生徒全員をお兄ちゃんの周りに呼ぶ。
 そして一斉に美味しくなるおまじないを始める。


 「おいしくなぁ~れ、もえもえきゅんきゅん♡」
 
 「おいしくなぁぁぁれぇ、も、もえもえきゅんきゅん////」

 「美味しくなるデース! 萌え萌えキュンキュンデース!!」


 みんな一斉にやるけどこれは恥ずかしい!

 リンダとかはノリノリだけどお兄ちゃんはいっせいにクラスの女の子からおまじないをかけられるからどっと脂汗を書いて真っ赤になっている。


 「ねえ、長澤さん、長澤さんのお兄さんかっこいいよね?」

 「バスケ部なんですよね?」

 「イ、イケメン////」


 っておいこらオマエラ!
 何お兄ちゃんに急接近してるのよ!!


 私がそう思って近寄るこいつらを制しようとしたその時だった。
 リンダがみんなの前に出てお兄ちゃんをかばうように言う。

 「OH-! みんな駄目デース、友也も私の嫁デース!」 


 はぁっ?

 リンダのやつ何いきなり言い出すのよ!?


 「リンダちゃん、まさか長澤さんのお兄さんと‥‥‥」

 「ど、どんな関係なの!? 嫁だなんて!?」

 「なになになにぃ~っ!」


 クラス中の女の子が一気に殺到してくる。
 そんな中リンダは爆弾発言をする。


 「友也は私と一緒にお風呂入る仲デース! 友也は私のお兄ちゃんデース、そして由紀恵は私の可愛い妹デース!」



 キャぁーーーーーーっ!!!!



 途端に上がる黄色い声。
 驚きと興味深々な感じが混ざっている。


 ぅうぉおおぉぉぉぃぃぃぃいいいぃっ!!
 リンダなんて事言っているのよっ!!


 女生徒に囲まれ更に別の意味で脂汗をだらだらとかくお兄ちゃん。
 悔しそうに殺気の目で睨んでいる男子たち。


 もう、これってどうするのよ、リンダ!!!!



 言った本人は腕組みして勝ち誇ったようにして私に向かってニカっと笑うのだった。


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