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第二章フジヤマゲイシャスシテンプラハラキリデース!

2-7(火)部活の体験デース

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 リンダが日本のクラブ、部活動を体験してみたいと言い出した。


 「本当に放課後に部活動しているデース」

 「と言うか、前にも見に来ているじゃない?」

 リンダを連れて放課後のお兄ちゃんのバスケ部に来ている。
 お兄ちゃんはこの一学期で引退する事になっているけど勉強の合間に体を動かしたいとか言ってその後もしばらくはここに来るつもりらしい。
 
 「そう言えばオーストラリアにはこういったクラブ活動って無いの?」

 「ありますデース。でもみんなあまり参加したがらないデース」

 「へ? なんで?」

 「自分の時間をもっと大切にしたいデース」


 うーん、部活だって自分の時間じゃ無いのかな?
 私がそんな事を考えているとお兄ちゃんがやって来た。


 「リンダちゃん、由紀恵体験に来たんだって?」

 「そうデース。友也ナイスシュートでしたデース!」

 「ははは、ありがとう。どう? リンダちゃんもやってみる?」
 
 お兄ちゃんは私の渡したタオルで汗を拭きながらそう聞いてくる。

 「良いですかデース?」

 「勿論、部長、女子の方にリンダちゃん入れられる? 体験だよ!」

 するとバスケ部の部長がやって来て矢島紗江に話す。

 「矢島、悪いが女子の方に行って体験させてもらうように付き添ってもらえるか?」

 「はい? ああ、良いですよ。リンダちゃん一緒に行こうか?」


 「私友也とやりたいデース! こっちで少し体動かすデース!」

 
 そう言って上着を脱ぎそのままお兄ちゃんの持っていたボールを取ってドリブルをする。
 小柄なその体はバスケ部の部員の間をまるで風のように走り抜ける。


 「なっ!?」

 「うわっ! リンダちゃん凄い!!」


 思わず驚く私と矢島紗江。
 リンダはそのまま部員たちを抜けスリーポイントシュートをする。
 軽くジャンプしながら手を添えてピッと伸ばすその姿は思わず見とれてしまうほど様になっていた。


 すぽっ!


 「Yesっ! 決まりましたデース!!」

 見事にそのスリーポイントシュートは決まり床に着地したリンダはスカートを翻しながらその大きな胸を遺憾なく揺らす。


 ぽよん


 はっ!?
 
 私は思わずお兄ちゃんを見る。
 当然の如くお兄ちゃんはリンダのその揺れる胸にくぎ付けだ!!


 「お兄ちゃぁぁああぁぁんっ!!!!」


 私の怒声を浴びて男子部員みんなが びくっ! とする。

 「全く、先輩もそうですけどみんなもみんなです‥‥‥」

 矢島紗江も呆れている。
 

 「ん? デース??」


 一人気付かずニコニコしているのはリンダだけだったのだ。


 * * *


 「へぇ~、リンダちゃん部活体験なんだぁ~」


 リンダを引き連れてきて文化部の棟へやって来た。

 今まで他の運動部も回ってみたけど何処でも彼処でもリンダのその運動能力はみんな驚かされていた。

 そしてやっぱり揺れる胸にみんな注目していた。


 私に対する当てつけか?


 そう言いながらリンダの首を締め付けたくなるのを我慢して紫乃のいる文芸部に来てみた。


 「OH-! 紫乃のいる部屋本いっぱいデース!」

 文芸部なので図書室とはまた違った本がたくさんある。
 ものすごく古い本からやたらと薄い本まで‥‥‥


 って、なんであの薄い本がこんなに沢山在るの!?


 「OH-! 日本のクラブ凄いデース! 薄い本もこんなに有るデース!!」

 「いや、なんか違うから! 私の知っている文芸部となんか違うから!!」

 「え~? ここにはちゃんとしたのから趣味の本までいろいろと取り揃えているんだよ~?」


 いやそれ問題でしょうに!?
 文芸部だよね? 


 「OH-! 凄いの有りますデース! 由紀恵見るデース!!」

 そう言ってリンダは薄い本を広げて私に見せる。


 「はうっ////」


 もういきなり美男子たちが裸で抱き合っているイラストがぁッ!!


 「ふふふっ、どうやら興味がおありで?」
 
 「今ならもっとすごいものも見せられますよ?」

 「さあ、あなたもこの紙にサインをすれば我々の仲間になれますよ?」


 すっと入部届の紙を差し出す文芸部の部員たち。


 いけない。
 このままではダークサイドに引きずられてしまう!


 私は慌ててリンダを引っ張ってここを逃げ出す。

 「ほ、他の体験が有るので失礼しますっ!」

 私とリンダはこうして他の部活を見て回るのだった。


 * * *


 「いやぁ~、面白かったデース!」

 「はぁ~、疲れた。でもなんでいきなり部活を体験してみたいなんて言い出したのよ?」

 「ん~、それはデース」

 もうじきお兄ちゃんが部活終わるので私とリンダも体育館に向かう。
 そして二人で歩きながらそんな事を聞いているとリンダは上を見ながらぽつりと言った。


 「由紀恵部活してないデース。自分の時間大切にしてないデース」


 「はい?」

 「由紀恵は何故部活しないですかデース?」

 「それは‥‥‥」


 私には目的がある。
 沢山勉強してお兄ちゃんを地元の大学に合格させ私も一緒にその大学に行きたいからだ。
 
 だから大学受験できるくらいの内容を勉強しなければいけない。
 たとえ高校一年生でも三年生までの内容を勉強して理解してそして大学受験を乗り切れる内容をお兄ちゃんに教えなければいけない。

 それはもう数年前からやっているけど流石に高校の勉強内容ともなると独学での学習では厳しくなってくる。
 だから部活なんかに時間はかけられない。


 「私には目的があるの。だから絶対にお兄ちゃんを大学に合格させなきゃならないの。部活なんてやっている時間はないわ」

 「うーん、由紀恵はそれでいいのですかデース?」


 リンダはそう言ってあたしを覗き込む。
 その青い瞳は吸い込まれるような感じさえするけどずっと私を見ている。

 私は頷きはっきりと言う。


 「それは私の望みよ」


 「由紀恵がそれでいいならそれでいいのだ~デース!」

 リンダはそう言って私に抱き着いてくる。

 
 「うわっ! リンダ!?」

 「やっぱり由紀恵は可愛いデース! 友也がうらやましいデース!」


 はぁ?
 何言ってるのよこの外人!?


 「お待たせ! さあ帰ろうか?」

 「友也来たデース! 帰るデース!!」


 リンダはそう言って私から離れ大きく手を振ってお兄ちゃんを迎える。
 

 なんだったのだろう?

 首をかしげる私にリンダは楽しそうに手を引っ張てお兄ちゃんの所まで私を連れて行くのだった。    

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