神獣様の森にて。

01

どこ、ここ..........？






見渡すは木、土、空。



いい空気..........都会の空気とは違うな.............。




...........現実逃避くらい許されたい。




俺は会社のエレベーターに乗ったはずだったのだから。








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A.M.  0:06


「だーーーーーーーーッ！！！！！！や～～～～～～～～～ッと、終わった～～～～～！！！」



俺は橋本 俊はしもと しゅん。


今日.......昨日は、自分が目をかけている部下がやらかした。その部下が凹みに凹んで、その後の仕事がボロボロになっていたため、仕方なく、俺が残りの処理を引き受けたのだ。

いい意味でも、悪い意味でもくそ真面目な奴だから。切り替えが上手くいかなかったのだろう。今日は幸いにも金曜日。土日はしっかり休んで、頭をリセットしてきて欲しい。

自分も3年前はそうだったなぁ、なんて思いながら、先輩風を吹かせたのが数時間前。



「その結果が日付越えですか.........。はぁ～～～........。俺もまだまだだなぁ..........。」


身体はクタクタだが、今日は華金。明日は休みだと自分を鼓舞し、エレベーターに乗り込んだ。





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ここで冒頭だ。


エレベーターに乗り込み、溜まった目の疲れを軽く指で解していた、この僅かな時間に何があったというのか。



とりあえず文明の利器、スマホを確認する。



うん。つかない。圏外ですらない。


「ま、まじか～........。」




...........俺は今、森の中にいる。



エレベーターに乗る前に見た窓越しの空は真っ暗闇であったが、上を見上げると雲ひとつない晴天である。



.............まず日本ではない、もしくは時間軸がズレている。
考えたくはないが、海外、とか、言わないよな........？


「海外に飛ばすくらいなら異世界にしてくれ。言語チートだけは頼む。くれください。」


俺は英語の才能がからっきしだ。中・高の英語の先生に匙を投げられるくらいなんだ。もはや諦めている。思わず独り言が漏れるくらいにはな。



.......脱線したな。



自分でも随分な恐怖体験をしていると思う、が。人間は実際にその渦中にあると、逆に悠長な事を考えることができるようだ。



...............とりあえず、動くか？


遭難した時はその場から動かない方がいい、ともいうが、この森が安全とは限らない。

動いても動かなくても、どっちに転ぶかわからないこの状況。


じっとしているより動いている方がすきなタチなので、その元来の性格に従おうかと思う。