きっとこれはただの『アホえろ』ってやつだ。

16

『.......反応がない。聖女様は捕らわれて声が出せないのかもしれない！おい！ドアを壊せ！聖女様をお助けするんだ！』

『はっ！！」




おいおい待て待て待て！




バンッ！


「人の家を勝手に壊そうとするな！」

「おお！聖女様！ご無事でしたか！」


白々しい！笑顔が貼り付けられている。お綺麗な顔がさらに嘘くささを強調している。


「............ご要件は。」

「聖女様！是非城にお越しください！こんな所よりも煌びやかで贅沢な生活をお約束いたしましょう！」

「ご要件は！」

「.........城でお話「用がないならもういいですか？」

「...............聖女様。貴女様は神に選ばれたお人です。国に存在あるだけで土地は富み、国は栄える、そんな存在。ようこそ我が国オーエン王国へ！」


..............3点。まだ王太子なのに"我が国"って言ってるのがまず無理。しつこいし、まず下に出てるフリして上から目線なのがバレバレ。


「はぁ。」

「聖女様.........我が国では貴女様を王太子妃、ひいては王妃に迎えたいと思っております。伴にオーエン王国を栄えさせていきましょう.....！！！」

「.....................」



何を言ってんだこいつ。
ってか絶対.............

思ったことを確認すべく辺りを見渡す。
さてさて、正直そうな脳筋ばかは........っと。


ｽﾀｽﾀｽﾀ........


「こんにちは、騎士様？ 貴方が街の人のために一生懸命働いている姿をよくお見かけしておりましたわ......。いつもありがとうございます。」


にこ.....っと微笑みもプラス。ちなみに見かけてたのは本当。真面目に働いてたのも本当。


「は、は、はいっっ！？！？きょ、恐縮ですっ！！！！！」

「ふふふ........。あのね、騎士さん？私聞きたいことがあるんです。貴方は真面目だから、きっと...........私に嘘なんてつかないわよね.....？」

「は、ひゃいっ！！！！決して！！！！」

「ふふ......！.........そこの王太子様って、婚約者がいるのではなくて....？それも仲睦まじい間柄の.............。もしくは婚約者がいながら懇意にしてる、地位が低めのご令嬢がいらっしゃるのかしら........？」

「はっ！！！！！！後者で間違いございません聖女様！！！！！」

「お、おい！お前！！！」

「はーーーーーーーーーー、だよね。わかってたわ。あれでしょ？私を正妃にして、自分は側妃や愛人とうはうは、私には王家の血筋がーとか、そんな戯言ならべてめんどくさい仕事だけ押し付ける。そりゃ自分はいいよね？だって『世継ぎの可能性が上がる」とか言っときゃ否定されないし、『政治の力を均等にしなきゃー』とかで何人も侍らせられるしね？いいね？いっぱい美女とくんずほぐれつしたいんでしょ？はーーぁ、どこの世も上のやつらは糞ばっかねぇ。」

「なっ....！！！貴様...！！」

「まず国に存在するだけで土地が富む存在、国王がでてこないなんてことある？馬車もそこまで豪華じゃない。前に見かけた馬車の方が豪華だった。つまりはそこの王太子(笑)の独断行動。まぁ唾つけてる下位の令嬢とのなんかで本当の婚約者に何か言われたか、それか婚約破棄みたいな馬鹿なことをたくさんの人の前で宣言したか..........そんなこんなで立場が怪しくなったから、聖女を城につれていき、国に縛り付ける首輪となることで立場を固めようとした。.........ってまぁ、こんな感じ？」