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しおりを挟む「悠陽。」
呼ばれた方に目を向けると、小走りでこちらに来る風磨が見えた。
今日の風磨は黒に金の刺繍の入った上着、そして短パンだった。金の刺繍.....!お揃い.....!!!
「あ、風磨!この度はお招き頂きありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそ、おいで頂きまして。こっちにケーキがあるよ。父様達はまだ時間かかるだろうし、こっちでゆっくりしてよ?........よくわからなくて怖かったろ?」
ふ、風磨~!!泣 助かった!泣
「うん!.....あ、お母様、行ってきますね。」
「.......わかったわ。風磨くん、よろしくね。」
「勿論です。」
..............最近僕の上を思惑だか、裏の意味だかが飛び交っているような気がするんだけど、ちっとも意味を解読できない。解せぬぅ。
「風磨!.......金の刺繍、お揃いだね(ボソッ)」
「そ、そうだね....。よく似合ってる。可愛いよ。」
「かっこいいって言ってよぉ.....。風磨も似合ってる!かっこいい!」
いや実際本当にかっこいい。風磨は身長もぐんぐん伸びて、小さい時も完成していたのにどんどんかっこよくなっていく。.........さすが攻略対象者.....。
それに比べ、僕の身体は華奢なまま.........。どうして.....どうして........。.....いや、スチル通りいってしまえば165くらいで止まってしまうけれども。華奢なままだけれども。ちくせう!!
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
風磨side
耳元で『お揃い』って囁くのはずるいんじゃないか......?
ドキドキしながら必死で絞り出した褒め言葉。思わず『可愛い』って言ってしまうくらい動揺してるらしい。それなのにその返しで、
「風磨も似合ってる!かっこいい!」
満面の笑みでかっこいいなんて言われちゃったらさぁ.......。悠陽だからな。素直な感想なんだろう。......素直な感想だからこそ照れるんだが!
必死に平静を取り繕ったが、俺が発熱しているのは、(久住宮家の特徴なのか?)自分の世界に入った悠陽には気づかれなかったみたいだ。
........それも少し残念だけど。
なぁ、もっと意識して?
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