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しおりを挟むついに、きてしまった......。
コンコンコンッ
「奥様と悠陽坊っちゃまが参られました。」
緊張する.......。思わずお母様にすがりつく腕の力を強くした。
「大丈夫よ。悠陽。大丈夫。」
お母様の声と、背中をぽん、ぽん、と叩くそのリズムで少し落ち着いた。
ガチャ........
「悠陽...........。」
「お、にいさま......。」
心臓がバクバクしている。嫌な顔されたら?怒鳴られたら?無視、されたら?そんなことを考えたら、もう止まらない。
じわぁ......。
「う゛っ......、やぁ.....!おにいさま、きらいにならないでぇ.....っふえぇぇぇぇぇ......っ」
あぁ.....泣きすぎだとどこかで声がするけど、ダムは決壊してしまっている。
「ッッ!!!悠陽!!大好きだよ!!お兄様は悠陽が大好きだ!愛してる!!寂しい思いをさせてごめんッッ ..........泣かないで.........。」
突然のお兄様の悲痛な叫び声にびっくりして思わず涙も止まった。
「...........ほ、ほんと?ぼくのこと、嫌いじゃない..........?」
「大好きだよ........ッ」
「ま、また、ぼくのこと、ぎゅって、してくれる?」
「あぁ......。いつでも。」
「ぼくを、無視しない......っ?」
「しない!!......俺の天使。おいで?久しぶりにお兄様に抱っこさせて?」
「...........ほんと?」
「ほんと。お願いしてるのは俺だよ。」
抱っこ、してくれるの?
「...........おかあさま......。」
「え~、私ももっと悠陽を抱っこしていたいのに.........」
そう言いながらも、お母様はぼくをお兄様の膝にのせてくれた。
「..........悠陽。俺の天使。もう絶対に、君を曇らせない。」
強く強く抱きしめられたぼく。うれしい!うれしい!...........く、くるし.....。お兄様、苦し...........。
「きゅぅ.........」パタリ
「わーーーー!!!悠陽ごめん!!!!」
さすがに苦しかったかなぁ........。
でも、よかったぁ.......。
そう思いながら、意識を失った。
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