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しおりを挟む気持ちのままに大泣きをしていたら、気づいた時にはお父様とお母様がぼくを抱きしめてくれていて。『ごめんね。』って泣きながら謝っていて、なんだかぼくももっと悲しくなってきて、より一層、ぼくは泣いた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
パチッ........
あれ、もしかして、泣き疲れて寝てた?
あんだけ泣いて、しかも5歳児の身体だもんな。そりゃそうか。
..........ぼくは、『ぼく』になった。悠陽と俊太バラバラじゃない。混ざって、『ぼく』というものになったんだと思う。
精神年齢も身体に引っ張られてるなぁ、と思いながら目のカピカピをごしごし擦っていると、
「あぁ....!そんなに擦っちゃだめよ.....!泣いておめめが溶けちゃいそうだったのに擦ったらもっと赤くなっちゃうわ!!」
「.........お、かぁさま?」
「.........なぁに?悠陽。」
「ひっ、ヒック......ぅ、ぐす.....」
「あらあら........おいで.....。まだまだ泣き虫悠陽のままだったのね.......。男の子の強がり、いや、防衛本能だったのかしらね......。よしよし.......。」
久しぶりのお母様の胸の中は、すごくあったかくて。もっと泣けてきたのは仕方ないと思う。その後も、ぼくのことを膝から下ろすことなく、ずっと抱っこしててくれたんだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
しばらくして、ようやく涙も枯れてきた所で、
「うん。それじゃあ、お父様とお兄様のところに行きましょうか。」
と、お母様が言った。
お兄様.........。
小さな頃は可愛がってくれたお兄様。大好きなお兄様。でも、最近は目もあった記憶が無い。
怖い。リアクションがわからない。怖い..........。
思わずぎゅうっと握りしめた手のひらをお母様は解いて。
「大丈夫。みんな悠陽が大好きよ。」
と、笑った。
お母さんって、ズルいよね。『きっと違う』って思っても、信じたくなる何かがあるんだ。
ぼくはコクンと頷いて、抱っこされたまま、お父様とお兄様の所へ向かった。
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