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8.複雑な月曜日

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気がついたら俺は自分の部屋で寝ていた。恐らくアイツらが運んでくれたか、親に連絡をいれてくれたんだろう。お礼にお菓子を贈呈しようと思う。


以降2日間は疲れていたのか、体調が回復せず寝込んでいたので、知恵熱を出したのが金曜日で本当に良かったと思う。






そんなこんなで月曜日。

きてほしくないんだか、きてほしいんだか。よく分からない気持ちだとしても、関係なく朝はやってくるんだなぁ........。





ガラガラ........


「ッッ!! 平太!!!」


梓が真っ先に気づいて俺の方に向かってくる。 ............あ、そういえば土日スマホみてなかったや............


「おはよう、聞いたよ、体調崩したんだって?金曜日元気そうだったから.......気づけなくてごめんね。スマホも見てなかったみたいだし、だいぶ具合悪かったんでしょ?今は?無理してない?」

「.......ん、だいじょうぶ。」


連絡返してなくてごめんな。もう元気だよ。

しゃべれるようにはなったけど、最後までは言えなかった。


「.................そっか。よかった。とりあえずはやく座ろう?おいで。」


おいで、と手を引かれる。そして先に梓が俺の席に座り、俺を膝の上に座らせる。

いつもは正面を向いて座るんだけど、なんとなく今日は横で座った。頭を梓の肩に預ける。


「........平太?」


梓は不思議そうにしてたけど、無視してそっと目を瞑る。








俺は梓が好きだ。

梓も、俺を好きだと言う。


でも、梓は俺と付き合いたいとかそういうアレではないんだろうな。


冗談というか、友達というか............俺、身長低いし、ペットとか、ぬいぐるみみたいな感覚かもしれない。


そんな存在だったとしても、一応されている事は恋人同士がするようなことばかり。俺は、この気持ちに気づいたことで、梓からされることを一つ一つ喜び、そして哀しむんだろうなぁ。


いつ、梓は俺にこういう事に飽きるんだろうな、って。 ............前はいつかは飽きるだろ、早く飽きればいいのにって、思ってたのにね。


男子校だし、梓が俺にこうしている間は、梓は俺のものみたいな、そういう妄想ができる。他の片想いしてる奴らからしたら、ものすごい幸せな立場にいると思うんだ。


あったかい、すっぽりとハマる、まるで自分の巣みたいな梓の膝の上。


梓に彼女が出来たら、いや、好きな人が出来たら。ここはもう俺のじゃなくなるんだ。






...........................やだなぁ、渡したくないなぁ。



一応、好きになってもらえるように努力はする。でも、やっぱ同性だしさ?無理な時は無理じゃん?


だから、今のうちに、めいいっぱい、堪能しとこうかなって。





それが俺の結論だった。











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