呼んでいる声がする

音羽有紀

文字の大きさ
上 下
58 / 61
第2章

呼んでいる声がする(第2章)その18解き放たれた者

しおりを挟む
その夜、二人は、未来の夢を語り合った。

 船で漕ぐ事を新たな気分で近いあった。

すやすや眠っている蓮子のを見つめながら

 蓮花もやっと、幸せを掴めるのだ、人生も捨てたものではないと思った。

その時イエローハウスを去っていく猫男を思いだした

それに比べて猫男は、逃げだそうとしているんだわ。

瑠子は腹がたって来た

そんな事を天井のライトを見つめながら思いを巡らせていた。

次の日はマーマレードに働きに行かなくてはいけなかった。

羨ましい事に蓮花は、休みであった。

「よく眠れたわ。例の夢も見なかった。」

すがすがしく彼女は言った。

「あたしは、蓮花と船に乗ってる夢を見たわ。」

「あ、ずるーい。あたしも見たかった。」

「ずるいと言われても、夢だから。」

そう瑠子が言うと蓮花は声をたてて笑った。

なんか蓮花、本当に明るくなったと思った。蓮花にまとわりついていた

影の様なものが無くなった気がした。

そう思ったけれど、黙っておいた。ただ、蓮花の体の周りに光が感じられた。なんでそれは見えるのか、不思議だった。

そんな蓮花と駅で別れた。

蓮花は、鞄屋は休みでぶらぶらと街を歩くのだそうだ。それを聞いた瑠子は涙が滲んだ。たぶんその発言に捕らわれた囚人が外に初めて出た時の様なものを蓮花に感じたからだろう。

もしかして、自由は人間にとって一番の必要なものではないのだろうかと瑠子は思った。

そして軽やかに街を歩いて行く蓮花の後ろ姿を見送った。



 マーマレードで働いていると猫男の事が浮かんで来た

大学の卒業は何時なのか

そんな事を考えながらぼーとしていた。

「猫男さん、本当に行っちゃうの?」

 突然のポイントをついた声をかけられて驚いた瑠子は

佐季店長の方を振り返った。

「あれから、話してないんです。」

「そう、話した方がいいわよ。」

「何をです?」

「え、あ。」

お客さんが来たので佐季店長はレジの方に歩み寄った。

その姿を目で追いながら思った。

行くって言ってるんだからしかたないじゃん。

そして、もくもくと商品の品出しをした。

終業時間になって、蓮花は、どうしてるんだろうと

思い連絡した

「あたしね絶対お金を貯めてこの部屋を出るわ。」

意気揚々と語る瑠子の様子に瑠子は、嬉しくなって

「そうだよ。」

と言った。              つづく

間が空いてしまいすみません。読んでいただいてありがとうございました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

後宮の下賜姫様

四宮 あか
ライト文芸
薬屋では、国試という国を挙げての祭りにちっともうまみがない。 商魂たくましい母方の血を強く譲り受けたリンメイは、得意の饅頭を使い金を稼ぐことを思いついた。 試験に悩み胃が痛む若者には胃腸にいい薬を練りこんだものを。 クマがひどい若者には、よく眠れる薬草を練りこんだものを。 饅頭を売るだけではなく、薬屋としてもちゃんとやれることはやったから、流石に文句のつけようもないでしょう。 これで、薬屋の跡取りは私で決まったな!と思ったときに。 リンメイのもとに、後宮に上がるようにお達しがきたからさぁ大変。好きな男を市井において、一年どうか待っていてとリンメイは後宮に入った。 今日から毎日20時更新します。 予約ミスで29話とんでおりましたすみません。

処理中です...