呼んでいる声がする

音羽有紀

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第2章

呼んでいる声がする(第2章)その18解き放たれた者

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その夜、二人は、未来の夢を語り合った。

 船で漕ぐ事を新たな気分で近いあった。

すやすや眠っている蓮子のを見つめながら

 蓮花もやっと、幸せを掴めるのだ、人生も捨てたものではないと思った。

その時イエローハウスを去っていく猫男を思いだした

それに比べて猫男は、逃げだそうとしているんだわ。

瑠子は腹がたって来た

そんな事を天井のライトを見つめながら思いを巡らせていた。

次の日はマーマレードに働きに行かなくてはいけなかった。

羨ましい事に蓮花は、休みであった。

「よく眠れたわ。例の夢も見なかった。」

すがすがしく彼女は言った。

「あたしは、蓮花と船に乗ってる夢を見たわ。」

「あ、ずるーい。あたしも見たかった。」

「ずるいと言われても、夢だから。」

そう瑠子が言うと蓮花は声をたてて笑った。

なんか蓮花、本当に明るくなったと思った。蓮花にまとわりついていた

影の様なものが無くなった気がした。

そう思ったけれど、黙っておいた。ただ、蓮花の体の周りに光が感じられた。なんでそれは見えるのか、不思議だった。

そんな蓮花と駅で別れた。

蓮花は、鞄屋は休みでぶらぶらと街を歩くのだそうだ。それを聞いた瑠子は涙が滲んだ。たぶんその発言に捕らわれた囚人が外に初めて出た時の様なものを蓮花に感じたからだろう。

もしかして、自由は人間にとって一番の必要なものではないのだろうかと瑠子は思った。

そして軽やかに街を歩いて行く蓮花の後ろ姿を見送った。



 マーマレードで働いていると猫男の事が浮かんで来た

大学の卒業は何時なのか

そんな事を考えながらぼーとしていた。

「猫男さん、本当に行っちゃうの?」

 突然のポイントをついた声をかけられて驚いた瑠子は

佐季店長の方を振り返った。

「あれから、話してないんです。」

「そう、話した方がいいわよ。」

「何をです?」

「え、あ。」

お客さんが来たので佐季店長はレジの方に歩み寄った。

その姿を目で追いながら思った。

行くって言ってるんだからしかたないじゃん。

そして、もくもくと商品の品出しをした。

終業時間になって、蓮花は、どうしてるんだろうと

思い連絡した

「あたしね絶対お金を貯めてこの部屋を出るわ。」

意気揚々と語る瑠子の様子に瑠子は、嬉しくなって

「そうだよ。」

と言った。              つづく

間が空いてしまいすみません。読んでいただいてありがとうございました。
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