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第2章
呼んでいる声がする第2章(その15) カフェドールズ
しおりを挟む「もう会えなくなるわね。北海道は遠いから。」
佐紀のいきなりの冷たい一言に瑠子は我に帰った。
「しかたありません。」
「北海道は遠いわよね。あたしも昔北海道に行った事あるけれど遠かったわ~。フェリーで行ったんだけれど、酔っちゃって、吐いちゃったわ。」
そう言うと、佐紀はいたずらっぽく笑った。
「いいんです。別にただの隣人ですから。」
そこにレジに向かうお客さんが来た。
「いらっしゃいませ。」
瑠子は慌ててその方向に向かったが、動揺していた
やはりそんなに遠いのかと瑠子は内心、佐季の先程までとは打って変わった
突き放した様な言葉に暗くなった。
その、陰った瑠子の表情に佐季は少し後悔した。
「ショック療法が効き過ぎたかな。」
うら悲しく寒い夜であった。瑠子はビルの谷間から星の見えない
空を見てネリネに蓮花の顔を見に行こうと思った。1階のネリネは相変わらず閑散としている。しかし、蓮花の姿は無かった。
店のレジの前にいる女の店員に蓮花の事を聞いた
その人は、蓮花は、今日は休みだと言った。
がっかりと肩を落とした瑠子だったが、電話を掛けて見ることにした。
何回か呼び出し音が聞こえて蓮花がでた
「瑠子ちゃん!」
「蓮花ちゃん、家?」
「違うの。たった今別れて来たの。」
「ほんと?」
「今何処にいるの?」
「樹海線から乗り継いだ帷駅。」
「ええ、だいぶ遠くね。羽根駅で待ってるよ。」
「うん、行く。」
「どのくらいで来れる?」
「羽根駅だったら、45分位かな。」
「じゃあ、10時に羽根駅で・・・あ、カフェドールズで待っているよ。知ってる?」
「うん、駅から少し奥まって入った所でしょ。」
「そう。」
「わかった。」
「じゃあ、気をつけてね。」
瑠子はカフェドールズで待つ事にした。
あそこは午後23時までやっていたと瑠子は思った。そこには以前に一人で入った事があった。
店員さんにカフェオレを頼んだ。
このブラウン系の壁が落ち着くなと蓮花は思った。
カフェオレが運ばれて来て湯気のたったそれは
幸せな気持ちにさせた。その店内では皆思い思い時を過ごしていた。
一人でノートパソコンで仕事をしている人、そして何やら仕事の話をしている男女。スマホを見ている女の人、そんな人達の中にいると瑠子は落ち着くのだ。
猫男の旅立ちおおいに結構、そんな大きな気持ちにもなりたいがやはり、思いだすと気持ちが沈むので考えない様にしていた。
1時間もすると、そんな人も疎らになってきた。客がいなくなると、そのレトロなドールズは、だんだん淋しい様相を漂わせて来た
けれど、あたしには、今自分の元に駆けつける蓮花がいるのだ。
それが、気丈に瑠子をさせた。
ドールズの中は暖かいが、夜も更けて来ると窓の外はますます寒くなっている様だ。
こんなに遅くに一人でここにいた事は無い。
窓の外には、寒そうにマフラーをした人々行きかう。
ああして羽根駅から電車に乗って各自の家に辿り着くとそこには温かい家庭が待っているのだろうか
自分や蓮花や猫男の様に孤独な場所に辿り着く為に、あんなに頑張って家路を
目指しているのだとしたら・・。そんな事を考えながら窓の外を見ていると
また、考えまいと思っていた猫男の事が脳裏に浮かんだ。
猫男・・・またの名を紫苑、いや反対か、本名が紫苑、どちらでもいいが、彼は
一人逃げだす気なのか、この都会の地獄の中で生きては行けないのだった。
などと心の中で猫男をディスっていると、ふいに明るく呼びかける声がした
「瑠子ちゃん。」
目の前にいきなり現れたのは花の様な笑顔の蓮花であった
「蓮花ちゃん、偉いよ。この都会で一緒に頑張ろう。」
「え、何?」
急のセリフに蓮花はと戸惑った様に聞き返した。
つづく
いつも読んでいただいてありがとうございます^^
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