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第2章
呼んでいる声がする第2章(その11) 蓮花の涙
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呼んでいる声がする第2章(その11)
「寒くない?」
「大丈夫。」
蓮花が言った。
「蓮花ちゃんて髪が長くて綺麗ね。」
「ありがとう。」
はにかみながら蓮花は言った。
「あたしなんか、くせっ毛だからな。」
と瑠子は自分の髪を触りながら言った
「そんな事ないよ。ふわふわしていて羨ましい
あたしなんか、真っ直ぐだから。」
「うん、ますます人魚姫感有るよ。」
「やだな。悲劇なんだもん。」
と蓮花は、悲し気に言った。
「平気だよ。蓮花ちゃんの事を振る人なんていないよ。
でも今蓮花ちゃんがつき合っている人さ、その人からは振られても良い感じかなって」
夜更けの女子トークは普段言えない事も思いっきり良く言えるようだ。
すると快活に蓮花は言った。
「うん、もうあんな人いいかな。」
蓮花は笑った。
快活に蓮花の物言いに瑠子は嬉しくなった。
「そうだよ。」
「いつもね、その人は待ち合わせに一時間も遅れて来るの。」
「ええ?」
「そうかと思えば、夜にいきなり呼び出すの。あたしの方から連絡しちゃいけないし。」
瑠子は、悲しくなった。
自分と同じで家庭が複雑な蓮花、家で辛い思いをしてそして、そんな彼氏にまた辛い思いをさせられてだから、初めて会った時に彼女は泣いていたのだと思った。
別れなよと言いかけたその時蓮花は言った。
「あたし、決めた。別れる。」
瑠子は初めて別れるという言葉を聞いた様な気がした。
「やったー。それがいいよ。」
彼女の、明るい未来を思い描いて瑠子は嬉しくなった
「今日は、良い日ね。」
瑠子はそう言うと、とても嬉しそうに笑った。
その時外でドアを閉める音がした。
蓮花は、笑顔が消えた。
「何?今の?」
「隣人の誰か。えっとあのドアの音は猫男かな。」
「猫男?」
「ほら、こないだのドア叩いた。」
「あ、あの。」
蓮花は、また怯えた表情をしながら言った。
「大丈夫だよ。別に危害加えないから。」
瑠子は冗談ぽく言った。
「大学生なんだけれど、それっぽくないの。」
「ふーん。」
「勉強以外で忙しいみたいだから、色々と。」
すると蓮花が羨ましそうに呟いた。
「あたしも、大学行きたかった。」
「うん、あたしも思う。一日だけでいいから
大学の構内に入って授業受けてみたかった。」
二人は、あり得なかったパラレルワールドの自分達を夢見た
「そして、蓮花ちゃんと会って、友達になるの。」
「でもそれは、この世界で出来たね。」
蓮花は嬉しそうにそう言った。
それを聞いて瑠子は心があたたかくなった。
窓を開けた。海からの冷たい風が吹いてきたが夜の海とコンビナートの小さく映る明かりを眺めながら瑠子は呟く様にいった
「蓮花ちゃんが、海から出て来て足が生えてこの地上で王子様が見つかります様に。」
蓮花の顔を見るとなんだか涙ぐんでいるように見えた
それを見て思わず瑠子も涙が滲むんできて慌てて拭った。
つづく
読んでいただいてありがとうございました。
「寒くない?」
「大丈夫。」
蓮花が言った。
「蓮花ちゃんて髪が長くて綺麗ね。」
「ありがとう。」
はにかみながら蓮花は言った。
「あたしなんか、くせっ毛だからな。」
と瑠子は自分の髪を触りながら言った
「そんな事ないよ。ふわふわしていて羨ましい
あたしなんか、真っ直ぐだから。」
「うん、ますます人魚姫感有るよ。」
「やだな。悲劇なんだもん。」
と蓮花は、悲し気に言った。
「平気だよ。蓮花ちゃんの事を振る人なんていないよ。
でも今蓮花ちゃんがつき合っている人さ、その人からは振られても良い感じかなって」
夜更けの女子トークは普段言えない事も思いっきり良く言えるようだ。
すると快活に蓮花は言った。
「うん、もうあんな人いいかな。」
蓮花は笑った。
快活に蓮花の物言いに瑠子は嬉しくなった。
「そうだよ。」
「いつもね、その人は待ち合わせに一時間も遅れて来るの。」
「ええ?」
「そうかと思えば、夜にいきなり呼び出すの。あたしの方から連絡しちゃいけないし。」
瑠子は、悲しくなった。
自分と同じで家庭が複雑な蓮花、家で辛い思いをしてそして、そんな彼氏にまた辛い思いをさせられてだから、初めて会った時に彼女は泣いていたのだと思った。
別れなよと言いかけたその時蓮花は言った。
「あたし、決めた。別れる。」
瑠子は初めて別れるという言葉を聞いた様な気がした。
「やったー。それがいいよ。」
彼女の、明るい未来を思い描いて瑠子は嬉しくなった
「今日は、良い日ね。」
瑠子はそう言うと、とても嬉しそうに笑った。
その時外でドアを閉める音がした。
蓮花は、笑顔が消えた。
「何?今の?」
「隣人の誰か。えっとあのドアの音は猫男かな。」
「猫男?」
「ほら、こないだのドア叩いた。」
「あ、あの。」
蓮花は、また怯えた表情をしながら言った。
「大丈夫だよ。別に危害加えないから。」
瑠子は冗談ぽく言った。
「大学生なんだけれど、それっぽくないの。」
「ふーん。」
「勉強以外で忙しいみたいだから、色々と。」
すると蓮花が羨ましそうに呟いた。
「あたしも、大学行きたかった。」
「うん、あたしも思う。一日だけでいいから
大学の構内に入って授業受けてみたかった。」
二人は、あり得なかったパラレルワールドの自分達を夢見た
「そして、蓮花ちゃんと会って、友達になるの。」
「でもそれは、この世界で出来たね。」
蓮花は嬉しそうにそう言った。
それを聞いて瑠子は心があたたかくなった。
窓を開けた。海からの冷たい風が吹いてきたが夜の海とコンビナートの小さく映る明かりを眺めながら瑠子は呟く様にいった
「蓮花ちゃんが、海から出て来て足が生えてこの地上で王子様が見つかります様に。」
蓮花の顔を見るとなんだか涙ぐんでいるように見えた
それを見て思わず瑠子も涙が滲むんできて慌てて拭った。
つづく
読んでいただいてありがとうございました。
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