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「う、嘘よっ! ねえヴィルマー様っ、そんなの嘘ですよね?! ヴィルマー様が次のオットー伯爵になるんですよね?!」
すがるような瞳で自分にしがみつく不安そうなミリアに、ヴィルマーは自信ありげに余裕の笑顔を見せた。
「心配しなくてもいい。廃嫡されているとはいえ俺が長男なんだ。エデルガルトとの婚約破棄を報告すれば、父上はすぐにでも俺を嫡子に戻してくれるに決まっている」
「それは無理ですわ」
意気揚々と答えたヴィルマーの言葉を、エデルガルトが即座に否定した。
「弟君のエルマー様が十四才になった時に、オットー家の嫡子としてのお披露目が既に済んでますもの。それにエルマー様が次期伯爵になることを前提に、名家のご令嬢との婚約も成立していることですし。今更嫡子交代なんてこと、他家とのしがらみもあって不可能です」
「ええ~~~~っ!」
ミリアはショックのあまり開けた口を閉じられない。
しかし、自分より顔色を悪くしているヴィルマーに気付くと、必死になって笑顔を作り、慰めるようにして声をかけた。
「だ、大丈夫ですよ、ヴィルマー様。考えようによっては平民になるのも悪くないですから! だって、ヴィルマー様が平民になって家を出る時には、きっとオットー家から相続分として大金が分配されますよね? 貴族としては些細な金額でも、平民だったら一生働かなくていいくらいの大金を!」
「…………」
「面倒な社交をしたり、領地運営に頭を悩ませるくらいなら、平民になって面白おかしく遊んで暮らした方が楽しいかも。うん、きっとそうよ! 二人で一生楽しく遊んで暮らしましょう!」
「……あ、ああ、うん、そうだな。それもいいかもしれないな」
茫然自失だったヴィルマーだが、ミリアの励ましで少し元気を取り戻したらしい。まだ顔色は悪く、ショックは隠しきれないが、必死になってミリアのために笑ってみせた。
「嫡子でなくとも、父上は俺のことを大切な息子として愛してくれている。無一文で追い出したりなどしないはずだ」
「そうですよ。だってヴィルマー様は素晴らしい人だもの、伯爵ご夫妻は自慢の息子のために、それ相応の財産を譲ってくださるに違いないわ!」
「そうだな、ミリア! 心配なんてすることないな!」
「はいっ!」
「あのー、お喜びのところ水を差すようで申し訳ないのですが、財産の分配も恐らく無理かと思います」
ヴィルマーとミリアの耳に、エデルガルトの無慈悲な声が突き刺さる。
「だって、オットー伯爵家は我がユルゲン侯爵家に多額の借金がありますもの。現在その借金は無利子になっていて、両家の共同事業で得た収益の中から月々返済されておりますが……」
エデルガルトが少しばかり憐れむような表情になる。
「それはわたくしたちの結婚の約束があった上でのことでした。けれども先ほどわたくしたちの婚約は破棄されましたでしょう? 恐らく両家の共同事業は凍結されることになります。となるとオットー家は別の方法で金銭を工面して、当家に借金を払わなければならなくなります。もちろん、利子込みで」
ふう、とエデルガルトはため息をついた。
「こう言ってはなんですが、オットー伯爵領にはこれといった資源もなければお金になる事業もありません。けれども借金は返さなければならない。ですから今後のオットー伯爵家の財政はかなり厳しくなるでしょう。家門の存続すらギリギリ、といったところではないでしょうか」
「そ、そんな、俺はそんなこと知らないぞ!」
「だって、ヴェルマー様はユルゲン侯爵家に婿入り予定でしたし。そこまで詳しく領の運営事情を話してもらえていなかったのでは?」
「…………」
黙り込んだヴェルマーを前に、エデルガルトが話を続ける。
「そういった事情もあることですし、今回ヴィルマー様がなさった身勝手な婚約破棄について、オットー伯爵は間違いなくお怒りになるはず。学院を卒業すると同時に完全に縁を切られて無一文で勘当されたとしても、わたくし少しも驚きませんわ」
エデルガルトはついでだと思い、今回の一方的な婚約破棄について、ヴィルマーに違約金を請求するつもりであることも告げた。婚約者である自分を蔑ろにし、学院中に知れ渡るほどおおっぴらに浮気されたために受けた心的外傷や名誉の棄損について、慰謝料を請求するつもりであることもしっかりと伝えたのである。
すると、果敢にもヴィルマーがエデルガルトを睨みながら言い返してきた。
「いや待て。今回の婚約破棄、瑕疵はそっちにあるだろう。君はミリアに酷い虐めを行っていたことにより、人間性の悪さを世間に露見させた。実際、それがなければ俺だって君との婚約破棄を決行することはなかったんだ」
そこでヴィルマーはなにかに気付いたらしく、瞳を輝かせてミリアを見た。
「慰謝料と言うのなら、ミリアにだって虐めに対する慰謝料をエデルガルトに請求する権利があるじゃないか! よし、ミリア、ユルゲン侯爵家に慰謝料の請求を行おう!」
「え? え、ええ……でもまあ、それは……うーん……」
意気揚々としたヴィルマーとは反対に、ミリアは気まずそうに目を泳がせた。
当然である。エデルガルトはミリアを虐めたりなどしていないのだから。
虐めがなかったことなど少し調べればすぐに分かる。ミリア自身そのことをよく分かっているからこそ、慰謝料を請求するといヴィルマーの意見に同意できずに言葉を濁しているのだ。
請求したところで相手にされるはずがない。むしろ名誉棄損の慰謝料を追加請求されかねない。
しかし、そんなことは知らないヴィルマーは、さかんに慰謝料の請求をミリアに促す。しかし、ミリアは消極的な言動を繰り返すばかり。
と、ここにきてさすがのヴィルマーもミリアの不審な態度に疑問を抱いたらしい。頭が珍しく「勘を働かせる」という仕事をしたようだ。
でも、しかし、いやまさかそんな。そうヴィルマーは自分の勘を必死で否定する。
ミリアが自分に嘘をつくなんて、そんなことをするわけがない。
そう自分に言い聞かせながら、ヴィルマーは縋るような思いでミリアに問いかけた。
「虐められたんだよな? 廊下で足を引っかけられたり、身分の低さを馬鹿にされたり、マナーの時間にドレスをワインで汚されたり、池に落とされたり、教科者を捨てられたり。階段から突き落とされて殺されそうになったこともあったんだよな? ミリア?」
「そ、それが実は……えっと、そのぉ……」
青褪めた顔で目を反らしたまま言葉を濁すミリアのその態度が、ヴィルマーに真実を悟らせた。
信じられない、といった引きつった顔で少し泣きそうになりながら、ヴィルマーはミリアを問い詰めていく。
「ミリア、まさか最初からなのか。最初に俺のところに来たのは、あなたの婚約者に虐められているから助けて欲しいと、そういう相談をするためだったよな? まさか初めからずっと俺を騙していたのか? どうしてそんなことを? 俺が次期オットー伯爵になると思ったから? 自分が伯爵夫人の地位を手に入れるために……? そうなのかっ?!」
「騙しただなんて、そんなっ!」
ミリアは胸の前で両手を握りしめながら涙を流す。
「わたし、ただヴィルマー様に振り向いて欲しくて。好きだから、ヴィルマー様のことを好きになっちゃったから、だからエデルガルト様よりもわたしを見て欲しくて、優しくされたくて、つい嘘をついてしまっただけなんです」
「つい嘘を、だと?! それを騙したと言うんじゃないか! なんてことだ、この大嘘つきの性悪女め!!」
ヴィルマーは縋りつくミリアの肩を突き飛ばした。その衝撃でミリアは地面へと倒れ込んでしまう。けれどもすぐに体を起こし、涙の溢れる瞳でヴィルマーを見上げた。
「ヴ、ヴィルマー様……わたし、本当にヴィルマー様のことが好きで……」
「やめろ! その下劣な口で俺の名を呼ぶな!」
憎々し気に怒鳴りつけると、ヴィルマーはミリアに背中を向けた。そして足早にエデルガルトに近付くと、ことさらに悲しい顔をして見せる。
「エデルガルト、聞いていたならもう分かるな? 俺はミリアに騙されていた。まさか、ミリアがあんなに利己的で性根の腐った嘘つきとは思いもしなかった。それに簡単に騙された俺も情けない。不甲斐ない俺に呆れたか?」
「……まあ、そうですね。呆れたというよりは失望しましたし、正直、あまりの愚かさに一周回って笑いがでそうでしたわ」
歯に衣着せずにそう言い放ったエデルガルトに、ヴィルマーはうっと言葉を詰まらせた。
すがるような瞳で自分にしがみつく不安そうなミリアに、ヴィルマーは自信ありげに余裕の笑顔を見せた。
「心配しなくてもいい。廃嫡されているとはいえ俺が長男なんだ。エデルガルトとの婚約破棄を報告すれば、父上はすぐにでも俺を嫡子に戻してくれるに決まっている」
「それは無理ですわ」
意気揚々と答えたヴィルマーの言葉を、エデルガルトが即座に否定した。
「弟君のエルマー様が十四才になった時に、オットー家の嫡子としてのお披露目が既に済んでますもの。それにエルマー様が次期伯爵になることを前提に、名家のご令嬢との婚約も成立していることですし。今更嫡子交代なんてこと、他家とのしがらみもあって不可能です」
「ええ~~~~っ!」
ミリアはショックのあまり開けた口を閉じられない。
しかし、自分より顔色を悪くしているヴィルマーに気付くと、必死になって笑顔を作り、慰めるようにして声をかけた。
「だ、大丈夫ですよ、ヴィルマー様。考えようによっては平民になるのも悪くないですから! だって、ヴィルマー様が平民になって家を出る時には、きっとオットー家から相続分として大金が分配されますよね? 貴族としては些細な金額でも、平民だったら一生働かなくていいくらいの大金を!」
「…………」
「面倒な社交をしたり、領地運営に頭を悩ませるくらいなら、平民になって面白おかしく遊んで暮らした方が楽しいかも。うん、きっとそうよ! 二人で一生楽しく遊んで暮らしましょう!」
「……あ、ああ、うん、そうだな。それもいいかもしれないな」
茫然自失だったヴィルマーだが、ミリアの励ましで少し元気を取り戻したらしい。まだ顔色は悪く、ショックは隠しきれないが、必死になってミリアのために笑ってみせた。
「嫡子でなくとも、父上は俺のことを大切な息子として愛してくれている。無一文で追い出したりなどしないはずだ」
「そうですよ。だってヴィルマー様は素晴らしい人だもの、伯爵ご夫妻は自慢の息子のために、それ相応の財産を譲ってくださるに違いないわ!」
「そうだな、ミリア! 心配なんてすることないな!」
「はいっ!」
「あのー、お喜びのところ水を差すようで申し訳ないのですが、財産の分配も恐らく無理かと思います」
ヴィルマーとミリアの耳に、エデルガルトの無慈悲な声が突き刺さる。
「だって、オットー伯爵家は我がユルゲン侯爵家に多額の借金がありますもの。現在その借金は無利子になっていて、両家の共同事業で得た収益の中から月々返済されておりますが……」
エデルガルトが少しばかり憐れむような表情になる。
「それはわたくしたちの結婚の約束があった上でのことでした。けれども先ほどわたくしたちの婚約は破棄されましたでしょう? 恐らく両家の共同事業は凍結されることになります。となるとオットー家は別の方法で金銭を工面して、当家に借金を払わなければならなくなります。もちろん、利子込みで」
ふう、とエデルガルトはため息をついた。
「こう言ってはなんですが、オットー伯爵領にはこれといった資源もなければお金になる事業もありません。けれども借金は返さなければならない。ですから今後のオットー伯爵家の財政はかなり厳しくなるでしょう。家門の存続すらギリギリ、といったところではないでしょうか」
「そ、そんな、俺はそんなこと知らないぞ!」
「だって、ヴェルマー様はユルゲン侯爵家に婿入り予定でしたし。そこまで詳しく領の運営事情を話してもらえていなかったのでは?」
「…………」
黙り込んだヴェルマーを前に、エデルガルトが話を続ける。
「そういった事情もあることですし、今回ヴィルマー様がなさった身勝手な婚約破棄について、オットー伯爵は間違いなくお怒りになるはず。学院を卒業すると同時に完全に縁を切られて無一文で勘当されたとしても、わたくし少しも驚きませんわ」
エデルガルトはついでだと思い、今回の一方的な婚約破棄について、ヴィルマーに違約金を請求するつもりであることも告げた。婚約者である自分を蔑ろにし、学院中に知れ渡るほどおおっぴらに浮気されたために受けた心的外傷や名誉の棄損について、慰謝料を請求するつもりであることもしっかりと伝えたのである。
すると、果敢にもヴィルマーがエデルガルトを睨みながら言い返してきた。
「いや待て。今回の婚約破棄、瑕疵はそっちにあるだろう。君はミリアに酷い虐めを行っていたことにより、人間性の悪さを世間に露見させた。実際、それがなければ俺だって君との婚約破棄を決行することはなかったんだ」
そこでヴィルマーはなにかに気付いたらしく、瞳を輝かせてミリアを見た。
「慰謝料と言うのなら、ミリアにだって虐めに対する慰謝料をエデルガルトに請求する権利があるじゃないか! よし、ミリア、ユルゲン侯爵家に慰謝料の請求を行おう!」
「え? え、ええ……でもまあ、それは……うーん……」
意気揚々としたヴィルマーとは反対に、ミリアは気まずそうに目を泳がせた。
当然である。エデルガルトはミリアを虐めたりなどしていないのだから。
虐めがなかったことなど少し調べればすぐに分かる。ミリア自身そのことをよく分かっているからこそ、慰謝料を請求するといヴィルマーの意見に同意できずに言葉を濁しているのだ。
請求したところで相手にされるはずがない。むしろ名誉棄損の慰謝料を追加請求されかねない。
しかし、そんなことは知らないヴィルマーは、さかんに慰謝料の請求をミリアに促す。しかし、ミリアは消極的な言動を繰り返すばかり。
と、ここにきてさすがのヴィルマーもミリアの不審な態度に疑問を抱いたらしい。頭が珍しく「勘を働かせる」という仕事をしたようだ。
でも、しかし、いやまさかそんな。そうヴィルマーは自分の勘を必死で否定する。
ミリアが自分に嘘をつくなんて、そんなことをするわけがない。
そう自分に言い聞かせながら、ヴィルマーは縋るような思いでミリアに問いかけた。
「虐められたんだよな? 廊下で足を引っかけられたり、身分の低さを馬鹿にされたり、マナーの時間にドレスをワインで汚されたり、池に落とされたり、教科者を捨てられたり。階段から突き落とされて殺されそうになったこともあったんだよな? ミリア?」
「そ、それが実は……えっと、そのぉ……」
青褪めた顔で目を反らしたまま言葉を濁すミリアのその態度が、ヴィルマーに真実を悟らせた。
信じられない、といった引きつった顔で少し泣きそうになりながら、ヴィルマーはミリアを問い詰めていく。
「ミリア、まさか最初からなのか。最初に俺のところに来たのは、あなたの婚約者に虐められているから助けて欲しいと、そういう相談をするためだったよな? まさか初めからずっと俺を騙していたのか? どうしてそんなことを? 俺が次期オットー伯爵になると思ったから? 自分が伯爵夫人の地位を手に入れるために……? そうなのかっ?!」
「騙しただなんて、そんなっ!」
ミリアは胸の前で両手を握りしめながら涙を流す。
「わたし、ただヴィルマー様に振り向いて欲しくて。好きだから、ヴィルマー様のことを好きになっちゃったから、だからエデルガルト様よりもわたしを見て欲しくて、優しくされたくて、つい嘘をついてしまっただけなんです」
「つい嘘を、だと?! それを騙したと言うんじゃないか! なんてことだ、この大嘘つきの性悪女め!!」
ヴィルマーは縋りつくミリアの肩を突き飛ばした。その衝撃でミリアは地面へと倒れ込んでしまう。けれどもすぐに体を起こし、涙の溢れる瞳でヴィルマーを見上げた。
「ヴ、ヴィルマー様……わたし、本当にヴィルマー様のことが好きで……」
「やめろ! その下劣な口で俺の名を呼ぶな!」
憎々し気に怒鳴りつけると、ヴィルマーはミリアに背中を向けた。そして足早にエデルガルトに近付くと、ことさらに悲しい顔をして見せる。
「エデルガルト、聞いていたならもう分かるな? 俺はミリアに騙されていた。まさか、ミリアがあんなに利己的で性根の腐った嘘つきとは思いもしなかった。それに簡単に騙された俺も情けない。不甲斐ない俺に呆れたか?」
「……まあ、そうですね。呆れたというよりは失望しましたし、正直、あまりの愚かさに一周回って笑いがでそうでしたわ」
歯に衣着せずにそう言い放ったエデルガルトに、ヴィルマーはうっと言葉を詰まらせた。
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