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もう十年以上も前のことになる。
新規共同事業の話を進めるため、オットー伯爵が足しげくユルゲン侯爵邸を訪れていた時期がある。その何度目かになる訪問の際、伯爵はいずれ事業を継ぐことになる嫡子を侯爵に紹介するために、息子ヴィルマーを同行させた。
すると挨拶の場で、ヴィルマーは侯爵への挨拶もそこそこに、同席していたエデルガルトに向かて歓喜の声を上げたのである。
「うわぁ、なんてかわいいんだろう! こんなにカワイイ子、俺初めて会った! ねえ、エデルガルト嬢、俺のお嫁さんになってよ! 一生大切にするから、ねっ、お願いだよ!」
それはヴィルマーにとっての初恋だった。
当時はまだ五才と幼さかったせいか、ヴィルマーは心の赴くままにエデルガルトを熱烈に口説きまくった。オットー伯爵が仕事の話でユルゲン侯爵邸を訪れる際には必ずヴィルマーも付いていくようになり、エデルガルトに怒涛の如く愛を囁き続けたのである。
会えない時には下手な字ながらも一生懸命に手紙を書いて送り、恋人になって欲しい、結婚して欲しいとエデルガルトに熱い想いを伝え続けた。
子供のすることだからどうせすぐに飽きるだろうと静観していた両家の当主たちも、ヴィルマーのとどまることのない猛烈アプローチを二年近くも見続ける内に「こりゃ本気のやつだ」と認識を改めた。そして、子供たちの婚姻について真剣に考えるようになっていったのだった。
エデルガルトはというと、出会ったばかりの頃はヴィルマーのあまりの押しの強さに、正直かなり引いていた。しかし、時と共に少しずつ絆されていった。
プレゼントをくれたり手紙を送ってくれたり、会うたびに好きだ可愛い愛していると言われ続けたのだから、箱入り娘のエデルガルトが少しずつ心を動かされていったのも当然のことと言えるだろう。
そんなエデルガルトの心の揺らぎに気付いたのか、ある日、ユルゲン侯爵が愛娘にこう問いかけた。
「どうする? ヴィルマー君を将来の伴侶にするかどうか、エデルが決めていいよ。好きなら結婚してもいいし、嫌なら別の人と結婚すればいい」
「本当にわたくしが決めていいの?」
「もちろんさ。お父様にとってはエデルの気持ちこそが、なによりも一番大切なんだから」
父親から優しく頭を撫でられ、そこに確かな愛情を感じたエデルガルトは幸せな気分になった。そして、自分をこんなにも愛してくれる父親が結婚してもいいと言っている相手なのだからと安心し、笑顔でこう答えたた。
「じゃあ、わたくしはヴィルマー様と結婚する。ちょっと思い込みが激しそうだけど、良い人そうだし。あんなに好きだって言ってくれるんだもの、わたくしをずっと大切にしてくれそうだわ」
「だったら次にヴィルマー君と会った時、結婚してもいいよってエデルが自分で伝えてあげなさい。きっと喜ぶから」
「はい」
次に会った時のヴィルマーの喜びようは、筆舌に尽くしがたいほどのもので……。
両手を上げて大歓喜しながら飛び跳ねるヴィルマーの姿に、エデルがルドは照れくさそうに頬を赤らめたのだった。
そうやって二人の婚約は結ばれたのである。
「出会ったのが五才。婚約が正式に結ばれたのは二年後のことですわ。ヴィルマー様はすっかりお忘れのようですけど」
冷たい目をしたエデルガルトに昔話を聞かされて、ヴィルマーが気まずそうに目を泳がせた。すっかり忘れていた幼少期のできごとを、たった今思い出したのだ。
「そ、そう言えばそんなこともあったか、な」
「ともかく、わたくしたちの婚約は自由恋愛により成ったもの。ですから解消も破棄も白紙に戻すのも、すべてわたくしたち二人の気持ち一つで済むのです」
「ってことは、二人の婚約はもう既に破棄されてるって考えてもいいのね?」
ミリアの弾む声に、エデルガルトが肯定する。
「その通りですわ。今はまだ正式な書類を交わす前ですが、あなたが証人になってくれるのであれば、もう確定です。なにも問題ありませんわ」
「きゃーっ、やったぁ!!! なりますなります、わたし証人になります!」
満面の笑みで飛び跳ねながらミリアが歓喜の声を上げた。
「ヴィルマー様っ、これでもう誰に後ろ指差されることなく、わたしたちは本物の恋人同士ですね! 嬉しいっ、すごく嬉しいです!!」
ミリアのあまりの喜びように、ヴィルマーも幸せそうに微笑みを返す。
「俺も嬉しいよ。ミリア、学院を卒業したらすぐに結婚しよう!」
「はい! ヴィルマー様はオットー伯爵家のご長男。ということは、わたしが未来の伯爵夫人になれるのね! うわー、なんだか夢みたい!!」
「ミリアのような可愛い人が妻になってくれるなら、父上も母上も喜んでくれるに違いない」
「ご両親に気に入ってもらえるように、わたし、精一杯がんばります!!」
ヴィルマーとミリアがはしゃぐ中、エデルガルトが首を捻りながら不思議そうな顔をした。
「あの、お二人ともなにを言ってらっしゃるの? ミリア様はオットー伯爵夫人にはなれませんわよ?」
「は? 君こそなにをバカなことを言っているんだ」
不愉快そうにヴィルマーがエデルガルトを睨む。
「君との婚約は破棄され、今はミリアが俺の婚約者になった。であれば、ミリアが次期オットー伯爵夫人になるのは当たり前のことじゃないか」
「そうよそうよ!」
ミリアも頬を膨らませてエデルガルトに文句を言う。
「どうしてそんな意地悪言うんですか?! ヴィルマー様に愛されてるわたしのことが羨ましくて憎いからですか?! でも、もうダメですからね、わたしが伯爵夫人になるんですからっ! ヴィルマー様は返しませんよ!!」
「そうだ、俺の愛はすべてミリアのものだ」
ぎゃんぎゃん吠え立てる二人を前に、エデルガルトは心底呆れたように大きなため息を吐く。
「ヴィルマー様はわたくしとの婚約が成立した七才の時に廃嫡されております。今は弟君であるエルマー様がオットー伯爵家のご嫡子ですわ。貴族院にも書類が提出され、既に受理されておりましてよ」
ハッとヴィルマーが青褪めて息を飲んだ。
「え、なに? どういうこと?!」
ミリアがぽかんと首を傾げる。
「既に廃嫡……? どうして? だってヴィルマー様はオットー家の長男じゃない。廃嫡なんてあり得ないわ」
「それがあり得るのです。わたくしはユルゲン侯爵家の一人娘。そのわたくしと婚姻するということは、すなわちユルゲン侯爵家に婿入りするということ。わたくしの婚約者になった時、ヴィルマー様はオットー家を継ぐ資格を放棄しているのです」
「だったらオットー伯爵になれないヴィルマー様は、今後どうなるの? なにになるのよ?!」
「そうですねぇ……普通、家を継げない男性は結婚と同時に家を出されて平民になるんじゃないかしら。その後は能力に応じて騎士になったり文官になったりして、自分の力で身を立てるのが一般的ですわね」
「ええ――――っ?! うそでしょう!!!」
辺りにミリアの絶叫が響き渡った。
新規共同事業の話を進めるため、オットー伯爵が足しげくユルゲン侯爵邸を訪れていた時期がある。その何度目かになる訪問の際、伯爵はいずれ事業を継ぐことになる嫡子を侯爵に紹介するために、息子ヴィルマーを同行させた。
すると挨拶の場で、ヴィルマーは侯爵への挨拶もそこそこに、同席していたエデルガルトに向かて歓喜の声を上げたのである。
「うわぁ、なんてかわいいんだろう! こんなにカワイイ子、俺初めて会った! ねえ、エデルガルト嬢、俺のお嫁さんになってよ! 一生大切にするから、ねっ、お願いだよ!」
それはヴィルマーにとっての初恋だった。
当時はまだ五才と幼さかったせいか、ヴィルマーは心の赴くままにエデルガルトを熱烈に口説きまくった。オットー伯爵が仕事の話でユルゲン侯爵邸を訪れる際には必ずヴィルマーも付いていくようになり、エデルガルトに怒涛の如く愛を囁き続けたのである。
会えない時には下手な字ながらも一生懸命に手紙を書いて送り、恋人になって欲しい、結婚して欲しいとエデルガルトに熱い想いを伝え続けた。
子供のすることだからどうせすぐに飽きるだろうと静観していた両家の当主たちも、ヴィルマーのとどまることのない猛烈アプローチを二年近くも見続ける内に「こりゃ本気のやつだ」と認識を改めた。そして、子供たちの婚姻について真剣に考えるようになっていったのだった。
エデルガルトはというと、出会ったばかりの頃はヴィルマーのあまりの押しの強さに、正直かなり引いていた。しかし、時と共に少しずつ絆されていった。
プレゼントをくれたり手紙を送ってくれたり、会うたびに好きだ可愛い愛していると言われ続けたのだから、箱入り娘のエデルガルトが少しずつ心を動かされていったのも当然のことと言えるだろう。
そんなエデルガルトの心の揺らぎに気付いたのか、ある日、ユルゲン侯爵が愛娘にこう問いかけた。
「どうする? ヴィルマー君を将来の伴侶にするかどうか、エデルが決めていいよ。好きなら結婚してもいいし、嫌なら別の人と結婚すればいい」
「本当にわたくしが決めていいの?」
「もちろんさ。お父様にとってはエデルの気持ちこそが、なによりも一番大切なんだから」
父親から優しく頭を撫でられ、そこに確かな愛情を感じたエデルガルトは幸せな気分になった。そして、自分をこんなにも愛してくれる父親が結婚してもいいと言っている相手なのだからと安心し、笑顔でこう答えたた。
「じゃあ、わたくしはヴィルマー様と結婚する。ちょっと思い込みが激しそうだけど、良い人そうだし。あんなに好きだって言ってくれるんだもの、わたくしをずっと大切にしてくれそうだわ」
「だったら次にヴィルマー君と会った時、結婚してもいいよってエデルが自分で伝えてあげなさい。きっと喜ぶから」
「はい」
次に会った時のヴィルマーの喜びようは、筆舌に尽くしがたいほどのもので……。
両手を上げて大歓喜しながら飛び跳ねるヴィルマーの姿に、エデルがルドは照れくさそうに頬を赤らめたのだった。
そうやって二人の婚約は結ばれたのである。
「出会ったのが五才。婚約が正式に結ばれたのは二年後のことですわ。ヴィルマー様はすっかりお忘れのようですけど」
冷たい目をしたエデルガルトに昔話を聞かされて、ヴィルマーが気まずそうに目を泳がせた。すっかり忘れていた幼少期のできごとを、たった今思い出したのだ。
「そ、そう言えばそんなこともあったか、な」
「ともかく、わたくしたちの婚約は自由恋愛により成ったもの。ですから解消も破棄も白紙に戻すのも、すべてわたくしたち二人の気持ち一つで済むのです」
「ってことは、二人の婚約はもう既に破棄されてるって考えてもいいのね?」
ミリアの弾む声に、エデルガルトが肯定する。
「その通りですわ。今はまだ正式な書類を交わす前ですが、あなたが証人になってくれるのであれば、もう確定です。なにも問題ありませんわ」
「きゃーっ、やったぁ!!! なりますなります、わたし証人になります!」
満面の笑みで飛び跳ねながらミリアが歓喜の声を上げた。
「ヴィルマー様っ、これでもう誰に後ろ指差されることなく、わたしたちは本物の恋人同士ですね! 嬉しいっ、すごく嬉しいです!!」
ミリアのあまりの喜びように、ヴィルマーも幸せそうに微笑みを返す。
「俺も嬉しいよ。ミリア、学院を卒業したらすぐに結婚しよう!」
「はい! ヴィルマー様はオットー伯爵家のご長男。ということは、わたしが未来の伯爵夫人になれるのね! うわー、なんだか夢みたい!!」
「ミリアのような可愛い人が妻になってくれるなら、父上も母上も喜んでくれるに違いない」
「ご両親に気に入ってもらえるように、わたし、精一杯がんばります!!」
ヴィルマーとミリアがはしゃぐ中、エデルガルトが首を捻りながら不思議そうな顔をした。
「あの、お二人ともなにを言ってらっしゃるの? ミリア様はオットー伯爵夫人にはなれませんわよ?」
「は? 君こそなにをバカなことを言っているんだ」
不愉快そうにヴィルマーがエデルガルトを睨む。
「君との婚約は破棄され、今はミリアが俺の婚約者になった。であれば、ミリアが次期オットー伯爵夫人になるのは当たり前のことじゃないか」
「そうよそうよ!」
ミリアも頬を膨らませてエデルガルトに文句を言う。
「どうしてそんな意地悪言うんですか?! ヴィルマー様に愛されてるわたしのことが羨ましくて憎いからですか?! でも、もうダメですからね、わたしが伯爵夫人になるんですからっ! ヴィルマー様は返しませんよ!!」
「そうだ、俺の愛はすべてミリアのものだ」
ぎゃんぎゃん吠え立てる二人を前に、エデルガルトは心底呆れたように大きなため息を吐く。
「ヴィルマー様はわたくしとの婚約が成立した七才の時に廃嫡されております。今は弟君であるエルマー様がオットー伯爵家のご嫡子ですわ。貴族院にも書類が提出され、既に受理されておりましてよ」
ハッとヴィルマーが青褪めて息を飲んだ。
「え、なに? どういうこと?!」
ミリアがぽかんと首を傾げる。
「既に廃嫡……? どうして? だってヴィルマー様はオットー家の長男じゃない。廃嫡なんてあり得ないわ」
「それがあり得るのです。わたくしはユルゲン侯爵家の一人娘。そのわたくしと婚姻するということは、すなわちユルゲン侯爵家に婿入りするということ。わたくしの婚約者になった時、ヴィルマー様はオットー家を継ぐ資格を放棄しているのです」
「だったらオットー伯爵になれないヴィルマー様は、今後どうなるの? なにになるのよ?!」
「そうですねぇ……普通、家を継げない男性は結婚と同時に家を出されて平民になるんじゃないかしら。その後は能力に応じて騎士になったり文官になったりして、自分の力で身を立てるのが一般的ですわね」
「ええ――――っ?! うそでしょう!!!」
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