お義兄様に一目惚れした!

よーこ

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27 四年振りの再会

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 言葉もなく立ちすくむわたしをお義兄様が抱きしめた。

「ああ、クリス! クリステル!! やっとだ……やっと見つけた!」
「お、お義兄様……」
「温かい……夢じゃないんだ……」

 泣いているかのようなお義兄様の震える声。
 力強い腕の中で感じる温かい体温と懐かしい匂い。

「探した。この四年間ずっと探し続けた。生きていると信じていた。会いたかった、クリス」
「わたしも、わたしもお会いしたかったです」

 突然現れたお義兄様に驚くよりも、愛する人に久し振りに会えた喜びが勝った。
 嬉しくて心が歓喜に震えた。堪えきれず、わたしの瞳から涙が零れ落ちる。

「ずっと探して下さっていたのですか?」
「ああ。国内のすべての修道院を回り、その後は町や村をひとつひとつ探して回った。でもまさか、こんなに近くにいたなんて……」

 と、その時。

「お母さん、その人だぁれ?」

 背中からユリウスの声が聞こえた。抱きしめられたまま慌てて後ろを振り返る。
 わたしの視線を追うように、お義兄様の視線もユリウスへと動いた。

「お母さん? ……まさか、クリスのことか」

 首を傾げるユリウスと、驚愕に瞳を揺らすお義兄様。

 い、いけない!!!
 なにか……なにか上手いことを言って早く誤魔化さなければ!
 そう思うのに、焦って言葉が出てこない。

 動転のあまり真っ白になりそうな頭を必死で落ちつかせて、わたしは懸命に考えた。

 ユリウスがお義兄様の子供だと知られてはいけない。
 そんなことになれば、次期ギレンセン侯爵であるお義兄様に迷惑をかけることになる。

 ならば、こう言うしかない。
 ユリウスはお義兄様の知らないの男性の子だと、この町で出会った人の子だと、そう言おう。

 そう思って口を開きかけた時、ユリウスとお義兄様が同時に言った。

「もしかして、俺の子か?!」
「もしかして、僕のお父さん?!」
「ふえ?!」

 驚きで変な声が出てしまう。

 え、なんで?!
 どうして二人はそう思ったの?!?!
 どうしてそんなに瞳をキラキラさせて互いを見つめ合っているの?!?!?!

「なっ、なな、な、なにを言っているの、二人とも!! ち、ちょっと、お、おお、落ち着いて。そそ、そんなワケないじゃな――」
「クリス、俺の息子の名は?」
「ユリウスです……って、違います! あの子の父親は他に――あ、ちょっと、お義兄様?!」

 わたしを抱きしめていた腕を解いたお義兄様が、長い足を颯爽と動かしてユリウスの元へと近付いていく。そして、ユリウスの目の前まで歩くと、その場で跪いて両手を広げた。

「おいで、ユリウス、君のお父様だ」
「お父さ……ん? ま? お父様!!」

 満面の笑みを浮かべたユリウスが、お義兄様に飛びつく。

「お父様! 会いたかった!!!!!」
「ああ、俺も会えてとても嬉しいよ」
「僕、いつかお父様と会えるって信じてたんだ! 嬉しい!!」

 満面の笑みで抱き合う二人。

 ええええええっっ?!
 二人とも、どうしてそんなに簡単にお互いを受け入れられるの?!?!


 こんなの絶対におかしいわ!!


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