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22話
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※残酷な描写が入ります。
気がつくと、アリアは暗い場所に立っていた。ここは何処だろうとアリアが辺りを見渡せば、仄かな灯りを放つランタンが壁にかかっていた。
壁から下ろせば、手元を照らせそうだとアリアがそちらに行こうとすれば、規則的に並んだ冷たい細い柱が行く手を阻む。
「これ…は……」
無機質にアリアの声だけが響く冷たい空間を、アリアはよく知っていた。理解した瞬間に体が一気に冷たくなって、ガンガンと頭が痛くなる。
「どうして…?」
思わず一歩後ずらせば、ピチャ…という水音が聞こえる。思わず視線を下げようとするけれど、何故か体が動かない。と言うより動かしたくない。
足底に広がるこの水は、恐らく地下牢に溜まったただの雨水や地下水だろう。それが染み出したかなにかのはず。前回アリアはそれを舐めて喉の乾きを潤したことさえある。なのに、必死になってそう理由づけるアリアの頭を、冷静な自分が違うよと笑う。
「ぉ……じょう、さ……」
「この声……ミーシャ!?ミーシャ!居るの!?居るのなら姿を見せなさい!?」
微かに聞こえた声は、いつも自分を嬉しそうに呼ぶ声のはずだ。なのに、今は随分と掠れていて元気がない。子猫のようにお嬢様!と言って自分に駆け寄るはずなのに、その明るい笑顔は、暗い牢屋の中では見えなかった。
「お…嬢様……」
「ミーシャ!…どこ、何処にいるの…お願い、姿を見せてちょうだい……」
アリアが呼びかけたからか、今度は幾分かハッキリした声が再度聞こえる。けれどやはり見えないその姿に不安になり、震える声でアリアがミーシャに訴える。
「あ……なたの…お傍に……」
「いいえ、いない、いないわ……そうよ、だって来るはずがないもの…貴方は……だって貴方は……ヒィッ!」
私が解雇したのだもの…そう続けようとしたけれど、アリアの声は続かなかった。俯いたその視線の先が、足元にある水の正体を捉えてしまったからだ。
既に体は冷えきっているはずなのに、更に心臓が凍り付く。体が震えて、足に力すら入らず地面にへたり込む。パチャっと浅く溜まった水に着地する音が響いて、来ているドレスが水よりも重たい液体を吸い込んでいく。
「み…ミーシャ?…なんで、どうして……そんな…」
「おじょう…さま…」
アリアが視界にとらえたのは、地面に倒れ込んだミーシャだった。腹部にはアリアの記憶に焼き付いた、命を奪うナイフが生えており、いつも血色の良い肌は青白くなって、綺麗に結い上げられた髪は乱雑にその地面に広がっている。
そして何よりも、いつも無邪気にアリアを見つめてくれていた瞳は、光の無い空虚な瞳でアリアを見上げていた。
「ミーシャ…みーしゃ、嫌よ…」
何度も壊れたようにお嬢様…と繰り返すミーシャを見つめることしか出来ないアリア。幼子が母を追い求めるかのように伸ばされた、ミーシャの手を握り返すことすら出来ずにただ涙をこぼす。
どれほどの時間が経ったのか、暗い地下牢では分からない中、カツン、と誰かが地下牢に降りてくる音が聞こえる。
「…っ!」
ヴィノスだ。何故か分からないけれどアリアはそう察した。早く、早く逃げないと、と思うけれど地下牢に逃げ場など存在しない。それに、足元に倒れたミーシャを放って逃げるなど、アリアには出来なかった。
「お嬢。」
「あ……ヴィ、ノス……」
目の前に誰かが立ち、ランタンの仄暗い灯りが遮られる。見上げれば、逆行となって顔の見えないヴィノスがたっていた。顔が見えないはずなのに、その感情を映さない瞳だけが、何故か鮮明に見える。
「恨むなよ、お嬢。」
「やめて……お願い、殺さないで……」
地下牢を開いて、へたり込んだアリアにヴィノスが近づく。ミーシャをこんな姿にしたのも、ヴィノスなのだろうか。だとしたらなぜミーシャまで巻き込んだのか。自分のせいなのか。
ミーシャが足元に倒れている衝撃のせいか、あの時の恐怖からかドクドクと全身が心臓になったかのように脈打っている。
「お願い……やだ、死にたくないの……」
「自分の実力不足を恨めよな。」
ヴィノスがその手に握った鈍色のナイフを振り上げる。あの時のように、アリアの必死の命乞いに耳を傾けることなどなく、無情に、ただ機械的にそのナイフを振り下ろす。
「ヒッ……いやぁぁぁぁ!!!」
「お嬢様!!!」
次の瞬間、ミーシャの声に意識が戻る。目を開くと入学式の時のように見覚えのある天蓋が目に映る。冷たい地下牢の痕跡など、そこには何も無かった。
「お嬢様!目を覚ましたのですか!?」
「…あ、みー、しゃ……?」
「はい、あなたのメイドのミーシャです。お気分はどうですか?」
アリアの顔を覗き込んだのはミーシャで、タオルでアリアの顔に浮かんだ冷や汗を拭いながら、アリアの体を起こす。差し出された水と薬をされるがままに飲み込めば、冷たい水が熱の篭った体を冷やしてくれる。
「……私は…?」
「熱を出されていたのですよ。過去お嬢様が出したことの無いような酷い熱で、主治医も慌てておりました。」
「……熱?」
アリアは自分が熱を出したことが信じられないと、目を見開く。しかしだるい体と回らない頭が何よりもの証拠で、そういえば前日の夜は布団に入らずに眠りについた記憶もあった。
「情けないものね…」
「いいえ、お嬢様は常日頃頑張っておいででした。疲れが溜まってしまわれたのでしょう。少しおやすみくださいませ…」
自嘲するアリアに、心底心配そうにしたミーシャが言葉を重ねる。その瞳は、夢で見た無機質な瞳とは違う、優しい感情を宿していた。
「お嬢様、お食事の方は……?」
「頂くわ…早めに治してしまわないと。」
「でしたらご用意致します。何かあればヴィノスに申し付けください。」
「……え。」
思わず弾かれたように顔を上げる。すると、たしかに扉付近には、ヴィノスが壁に寄りかかってこちらを見ていた。
先程の夢のせいで、アリアは息を忘れたような引きつった呼吸をした。
気がつくと、アリアは暗い場所に立っていた。ここは何処だろうとアリアが辺りを見渡せば、仄かな灯りを放つランタンが壁にかかっていた。
壁から下ろせば、手元を照らせそうだとアリアがそちらに行こうとすれば、規則的に並んだ冷たい細い柱が行く手を阻む。
「これ…は……」
無機質にアリアの声だけが響く冷たい空間を、アリアはよく知っていた。理解した瞬間に体が一気に冷たくなって、ガンガンと頭が痛くなる。
「どうして…?」
思わず一歩後ずらせば、ピチャ…という水音が聞こえる。思わず視線を下げようとするけれど、何故か体が動かない。と言うより動かしたくない。
足底に広がるこの水は、恐らく地下牢に溜まったただの雨水や地下水だろう。それが染み出したかなにかのはず。前回アリアはそれを舐めて喉の乾きを潤したことさえある。なのに、必死になってそう理由づけるアリアの頭を、冷静な自分が違うよと笑う。
「ぉ……じょう、さ……」
「この声……ミーシャ!?ミーシャ!居るの!?居るのなら姿を見せなさい!?」
微かに聞こえた声は、いつも自分を嬉しそうに呼ぶ声のはずだ。なのに、今は随分と掠れていて元気がない。子猫のようにお嬢様!と言って自分に駆け寄るはずなのに、その明るい笑顔は、暗い牢屋の中では見えなかった。
「お…嬢様……」
「ミーシャ!…どこ、何処にいるの…お願い、姿を見せてちょうだい……」
アリアが呼びかけたからか、今度は幾分かハッキリした声が再度聞こえる。けれどやはり見えないその姿に不安になり、震える声でアリアがミーシャに訴える。
「あ……なたの…お傍に……」
「いいえ、いない、いないわ……そうよ、だって来るはずがないもの…貴方は……だって貴方は……ヒィッ!」
私が解雇したのだもの…そう続けようとしたけれど、アリアの声は続かなかった。俯いたその視線の先が、足元にある水の正体を捉えてしまったからだ。
既に体は冷えきっているはずなのに、更に心臓が凍り付く。体が震えて、足に力すら入らず地面にへたり込む。パチャっと浅く溜まった水に着地する音が響いて、来ているドレスが水よりも重たい液体を吸い込んでいく。
「み…ミーシャ?…なんで、どうして……そんな…」
「おじょう…さま…」
アリアが視界にとらえたのは、地面に倒れ込んだミーシャだった。腹部にはアリアの記憶に焼き付いた、命を奪うナイフが生えており、いつも血色の良い肌は青白くなって、綺麗に結い上げられた髪は乱雑にその地面に広がっている。
そして何よりも、いつも無邪気にアリアを見つめてくれていた瞳は、光の無い空虚な瞳でアリアを見上げていた。
「ミーシャ…みーしゃ、嫌よ…」
何度も壊れたようにお嬢様…と繰り返すミーシャを見つめることしか出来ないアリア。幼子が母を追い求めるかのように伸ばされた、ミーシャの手を握り返すことすら出来ずにただ涙をこぼす。
どれほどの時間が経ったのか、暗い地下牢では分からない中、カツン、と誰かが地下牢に降りてくる音が聞こえる。
「…っ!」
ヴィノスだ。何故か分からないけれどアリアはそう察した。早く、早く逃げないと、と思うけれど地下牢に逃げ場など存在しない。それに、足元に倒れたミーシャを放って逃げるなど、アリアには出来なかった。
「お嬢。」
「あ……ヴィ、ノス……」
目の前に誰かが立ち、ランタンの仄暗い灯りが遮られる。見上げれば、逆行となって顔の見えないヴィノスがたっていた。顔が見えないはずなのに、その感情を映さない瞳だけが、何故か鮮明に見える。
「恨むなよ、お嬢。」
「やめて……お願い、殺さないで……」
地下牢を開いて、へたり込んだアリアにヴィノスが近づく。ミーシャをこんな姿にしたのも、ヴィノスなのだろうか。だとしたらなぜミーシャまで巻き込んだのか。自分のせいなのか。
ミーシャが足元に倒れている衝撃のせいか、あの時の恐怖からかドクドクと全身が心臓になったかのように脈打っている。
「お願い……やだ、死にたくないの……」
「自分の実力不足を恨めよな。」
ヴィノスがその手に握った鈍色のナイフを振り上げる。あの時のように、アリアの必死の命乞いに耳を傾けることなどなく、無情に、ただ機械的にそのナイフを振り下ろす。
「ヒッ……いやぁぁぁぁ!!!」
「お嬢様!!!」
次の瞬間、ミーシャの声に意識が戻る。目を開くと入学式の時のように見覚えのある天蓋が目に映る。冷たい地下牢の痕跡など、そこには何も無かった。
「お嬢様!目を覚ましたのですか!?」
「…あ、みー、しゃ……?」
「はい、あなたのメイドのミーシャです。お気分はどうですか?」
アリアの顔を覗き込んだのはミーシャで、タオルでアリアの顔に浮かんだ冷や汗を拭いながら、アリアの体を起こす。差し出された水と薬をされるがままに飲み込めば、冷たい水が熱の篭った体を冷やしてくれる。
「……私は…?」
「熱を出されていたのですよ。過去お嬢様が出したことの無いような酷い熱で、主治医も慌てておりました。」
「……熱?」
アリアは自分が熱を出したことが信じられないと、目を見開く。しかしだるい体と回らない頭が何よりもの証拠で、そういえば前日の夜は布団に入らずに眠りについた記憶もあった。
「情けないものね…」
「いいえ、お嬢様は常日頃頑張っておいででした。疲れが溜まってしまわれたのでしょう。少しおやすみくださいませ…」
自嘲するアリアに、心底心配そうにしたミーシャが言葉を重ねる。その瞳は、夢で見た無機質な瞳とは違う、優しい感情を宿していた。
「お嬢様、お食事の方は……?」
「頂くわ…早めに治してしまわないと。」
「でしたらご用意致します。何かあればヴィノスに申し付けください。」
「……え。」
思わず弾かれたように顔を上げる。すると、たしかに扉付近には、ヴィノスが壁に寄りかかってこちらを見ていた。
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