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ヴィノスは本来、この学園に通う資格を持っていない。学園の学費は高く、貴族か、裕福な商家出ないと通えず、特別待遇を得るためにはリリーのように、王族達が受けるような高等教育にも劣らない学力が必要だ。
しかし、アリアのように、三人までであれば歳の近い使用人を同じ学生として入学させることが出来る。とはいえ、専属の使用人を子息令嬢が持つような家は多くなく、上流貴族の中でも数えるくらいしかいない。その上、上流貴族の使用人は基本それ相応の身分を持っている。
「……案の定、浮いてるわね。」
つまり何が言いたいかというと、元々捨て子で、アリアのきまぐれによって拾われたヴィノスはこの学園では浮いているということだ。
「そりゃ俺みたいな野良犬連れてる物好きなんてお嬢ぐらいだぜ?」
入学式を終え教室に向かう道のりで、突き刺さる不躾な視線にアリアはうんざりしたようにため息を吐いた。隣に居るだけでこれなのだ、当の本人はもっと落ち着かないだろうに、ヴィノスは飄々とした笑みを浮かべたままアリアの1歩後ろを歩き続ける。
「……そうだわヴィノス。これをつけていなさい。」
そう言ってアリアは自分の胸元に着けていたブローチを外して渡す。それは金色の台座にペリドットがはめ込まれており、そのペリドットには金でクラレンス家の家紋が入っている。金に黄緑、それは間違いなくアリアの髪と瞳の色だった。
見るものが見れば、一目でアリアを思い出すような品である。これは遠い北の国の技術を使った特別な品であり、その価値はちょっとやそっとの貴族では手出しできない。
「え、何お嬢。これ売ってもいい」
「売ったりなんてしたら即座に貴方の首が飛ぶわよ。」
食い気味に告げられた忠告に、ヴィノスは渋々と言った風に胸につける。一目でアリアのものとわかるそれをつけていれば、ヴィノスに対して何かよからぬことをする輩などそういない。
誰しも、次期王妃のいる今どんどん力を伸ばしているクラレンス家になど、喧嘩など売りたくないのだ。
「何かあったらすぐに言いなさいね。」
「それはお願い?」
「いいえ命令。」
御意。という端的な質問がかえってくる。基本命令をしないアリアだからこそ、ヴィノスはアリアの命令には忠実に従う。といっても、ちゃんと主従としての利害関係が完成している間のみだが。
もちろん、アリアだって考えもなしにそのブローチを渡したわけではない。さっきも言ったとおり、アリアが渡したブローチはアリア・クラレンスをありありと示すものだ。それを付けている者は、後ろにアリア・クラレンスがいるという無言の牽制になるのだ。
つまり、アリアがヴィノスにブローチを渡したのは、後ろ盾のないヴィノスを守る為だった。
「あぁ、まあでも、もし私の身に何かあったら売るのも手ね。きっと言い値で売れるわ。」
「うわ、お嬢までミーシャみたいな嫌味言うのかよ。はいはい、上げてもらったチップ分ぐらいはしっかり働くっての。」
もし、アリアが前回のように投獄されたり、逃げたりするような場合、アリアにヴィノスの給料は払えなくなる。つまるところ、ヴィノスを逃亡の為に連れて行くことはできないのだ。それであるならば、解雇の手切れ金としてそのブローチは十分な価値を帯びている。結局のところ手切れ金の前払いなのだ。
「じゃあお嬢。授業が終わり次第俺が教室に迎えに来るから。」
「えぇ、わかったわ。」
ヴィノスは正しい年齢も誕生日もわからないが、アリアと同じくらいなため、同い年として同時期に入学した。しかし、成績でクラス分けされるシステムにはあらがえなかった。成績トップクラスのアリアと、満足な教育を受けられてなかったヴィノスとではクラスは離れてしまったのだ。
久しぶりの教室の風景が懐かしく、思わずはしたなくもきょろきょろしてしまった。しばらくして、担任が入ってきて、クラス内挨拶が始まった。
「ヴィルヘルム・オズワルドだ。この国には恥じぬよう、皆と切磋琢磨していきたいと思っている。」
一番最初に王太子であるヴィルヘルム・オズワルドが前に立って挨拶をする。前回では、婚約者である彼の為なら他はどうでもいいと思うほどに彼を愛していた。しかし、今回はどれだけ彼の事を考えても、前のように熱く燃えるような思いは湧いてこなかった。
ふと、彼と目があったけれど、彼はすぐに少し眉間にしわを寄せて視線をそらしてしまった。随分ときらわれてしまったものだ。いつからか彼への思いが行き過ぎて、もう取り戻せないほどに嫌われてしまった。だからこそ、彼にはああやって殺されてしまったのだ。
ぼーっと、前回と全く一緒の挨拶口上を聞き流して、自分の番になった。私はすぐに前へ行って、前回とは全く違う挨拶を述べる。
「アリア・クラレンスと申します。私は、今この恵まれた状況に感謝し、これからも国に貢献するためにこの学園で学びたいと考えています。」
しん、と一瞬静まり返る。きっと誰もが、アリアは別のことを言うと思っていたのだろう。実際、前回のアリアは、みんなの予想通り、自分がヴィルヘルムの婚約者であること、次期王妃として恥じぬ行動をとろうと考えている事、自分というものがありながらヴィルヘルムに手を出そうと考えている者に容赦はしないという旨を伝えた。
そして最後に、よく街でみる茶色の髪と、空のように美しい水色の瞳を持った愛らしい少女が前に立つ。
「リリー・フローレスです!まだマナーも何もわかっておりませんが失礼のないよう、過ごしていきたいと思ってます!よろしくおねがいします。」
ペコっと頭を下げるリリー。それをみて、ひそひそとした声が教室内に響く。それはまるで伝染するかのように全体に広まっていく。「この場にいること自体が失礼。」「礼儀のなっていない平民。」「貴族界を何も知らない無礼者。」そんな心のない言葉が聞こえてくる。前回のアリアも、似たようなことを言った覚えがあった。
しかし、ここで庇う義理は、アリアにはない。
勘違いしてはいけない、アリアは別に前回のようにリリーを虐げるつもりはないが、別にリリーの事が好きなわけではない、むしろ嫌いなのだ。だから、ここでリリーを庇うつもりはアリアにはなかった。
「ねぇ、アリア様もそう思いません?」
「いいえ、まったく。むしろこのように陰口を言うことこそ失礼ではしたないことをしているわ。」
しかし、ここでアリアに話題が振られるのであれば別だ。ここで無視することも、同調することも得策ではない。
「そんなことを言っている暇があるのならば、彼女に負けぬように次の考査へのスケジュールでも考えるべきね。…ちがう?」
「…そう、ですね。」
アリアは話題を振ってきた隣の席の令嬢に対して、笑顔で返す。すると、彼女は少し引きつりながらも同意してかえした。彼女は確か伯爵令嬢だ。対してクラレンス家は公爵家。異を唱えることなどできないだろう。
アリアはゆっくりと、周りの陰口に対して不安げにうつむいていたリリーに目を向ける。すると、リリーも驚愕に目を見開いてアリアを見ていた。どうやら、思ったよりもアリアの言葉は教室に響いていたようだ。
「リリー様も、せいぜい足元をすくわれないように頑張ってくださいまし。私も、次は絶対に負けないように努力いたしますので。」
アリアは態と丁寧に、高圧的に言う。自分は彼女よりも強いのだと、今度こそ、貴方になど負けないと。そう宣言するかのようにリリーを見つめて、悠然と笑う。
その日は何とも言えぬ空気のまま、初日が解散となった。
間違いなく、前回とは大きく変わっていた。
しかし、アリアのように、三人までであれば歳の近い使用人を同じ学生として入学させることが出来る。とはいえ、専属の使用人を子息令嬢が持つような家は多くなく、上流貴族の中でも数えるくらいしかいない。その上、上流貴族の使用人は基本それ相応の身分を持っている。
「……案の定、浮いてるわね。」
つまり何が言いたいかというと、元々捨て子で、アリアのきまぐれによって拾われたヴィノスはこの学園では浮いているということだ。
「そりゃ俺みたいな野良犬連れてる物好きなんてお嬢ぐらいだぜ?」
入学式を終え教室に向かう道のりで、突き刺さる不躾な視線にアリアはうんざりしたようにため息を吐いた。隣に居るだけでこれなのだ、当の本人はもっと落ち着かないだろうに、ヴィノスは飄々とした笑みを浮かべたままアリアの1歩後ろを歩き続ける。
「……そうだわヴィノス。これをつけていなさい。」
そう言ってアリアは自分の胸元に着けていたブローチを外して渡す。それは金色の台座にペリドットがはめ込まれており、そのペリドットには金でクラレンス家の家紋が入っている。金に黄緑、それは間違いなくアリアの髪と瞳の色だった。
見るものが見れば、一目でアリアを思い出すような品である。これは遠い北の国の技術を使った特別な品であり、その価値はちょっとやそっとの貴族では手出しできない。
「え、何お嬢。これ売ってもいい」
「売ったりなんてしたら即座に貴方の首が飛ぶわよ。」
食い気味に告げられた忠告に、ヴィノスは渋々と言った風に胸につける。一目でアリアのものとわかるそれをつけていれば、ヴィノスに対して何かよからぬことをする輩などそういない。
誰しも、次期王妃のいる今どんどん力を伸ばしているクラレンス家になど、喧嘩など売りたくないのだ。
「何かあったらすぐに言いなさいね。」
「それはお願い?」
「いいえ命令。」
御意。という端的な質問がかえってくる。基本命令をしないアリアだからこそ、ヴィノスはアリアの命令には忠実に従う。といっても、ちゃんと主従としての利害関係が完成している間のみだが。
もちろん、アリアだって考えもなしにそのブローチを渡したわけではない。さっきも言ったとおり、アリアが渡したブローチはアリア・クラレンスをありありと示すものだ。それを付けている者は、後ろにアリア・クラレンスがいるという無言の牽制になるのだ。
つまり、アリアがヴィノスにブローチを渡したのは、後ろ盾のないヴィノスを守る為だった。
「あぁ、まあでも、もし私の身に何かあったら売るのも手ね。きっと言い値で売れるわ。」
「うわ、お嬢までミーシャみたいな嫌味言うのかよ。はいはい、上げてもらったチップ分ぐらいはしっかり働くっての。」
もし、アリアが前回のように投獄されたり、逃げたりするような場合、アリアにヴィノスの給料は払えなくなる。つまるところ、ヴィノスを逃亡の為に連れて行くことはできないのだ。それであるならば、解雇の手切れ金としてそのブローチは十分な価値を帯びている。結局のところ手切れ金の前払いなのだ。
「じゃあお嬢。授業が終わり次第俺が教室に迎えに来るから。」
「えぇ、わかったわ。」
ヴィノスは正しい年齢も誕生日もわからないが、アリアと同じくらいなため、同い年として同時期に入学した。しかし、成績でクラス分けされるシステムにはあらがえなかった。成績トップクラスのアリアと、満足な教育を受けられてなかったヴィノスとではクラスは離れてしまったのだ。
久しぶりの教室の風景が懐かしく、思わずはしたなくもきょろきょろしてしまった。しばらくして、担任が入ってきて、クラス内挨拶が始まった。
「ヴィルヘルム・オズワルドだ。この国には恥じぬよう、皆と切磋琢磨していきたいと思っている。」
一番最初に王太子であるヴィルヘルム・オズワルドが前に立って挨拶をする。前回では、婚約者である彼の為なら他はどうでもいいと思うほどに彼を愛していた。しかし、今回はどれだけ彼の事を考えても、前のように熱く燃えるような思いは湧いてこなかった。
ふと、彼と目があったけれど、彼はすぐに少し眉間にしわを寄せて視線をそらしてしまった。随分ときらわれてしまったものだ。いつからか彼への思いが行き過ぎて、もう取り戻せないほどに嫌われてしまった。だからこそ、彼にはああやって殺されてしまったのだ。
ぼーっと、前回と全く一緒の挨拶口上を聞き流して、自分の番になった。私はすぐに前へ行って、前回とは全く違う挨拶を述べる。
「アリア・クラレンスと申します。私は、今この恵まれた状況に感謝し、これからも国に貢献するためにこの学園で学びたいと考えています。」
しん、と一瞬静まり返る。きっと誰もが、アリアは別のことを言うと思っていたのだろう。実際、前回のアリアは、みんなの予想通り、自分がヴィルヘルムの婚約者であること、次期王妃として恥じぬ行動をとろうと考えている事、自分というものがありながらヴィルヘルムに手を出そうと考えている者に容赦はしないという旨を伝えた。
そして最後に、よく街でみる茶色の髪と、空のように美しい水色の瞳を持った愛らしい少女が前に立つ。
「リリー・フローレスです!まだマナーも何もわかっておりませんが失礼のないよう、過ごしていきたいと思ってます!よろしくおねがいします。」
ペコっと頭を下げるリリー。それをみて、ひそひそとした声が教室内に響く。それはまるで伝染するかのように全体に広まっていく。「この場にいること自体が失礼。」「礼儀のなっていない平民。」「貴族界を何も知らない無礼者。」そんな心のない言葉が聞こえてくる。前回のアリアも、似たようなことを言った覚えがあった。
しかし、ここで庇う義理は、アリアにはない。
勘違いしてはいけない、アリアは別に前回のようにリリーを虐げるつもりはないが、別にリリーの事が好きなわけではない、むしろ嫌いなのだ。だから、ここでリリーを庇うつもりはアリアにはなかった。
「ねぇ、アリア様もそう思いません?」
「いいえ、まったく。むしろこのように陰口を言うことこそ失礼ではしたないことをしているわ。」
しかし、ここでアリアに話題が振られるのであれば別だ。ここで無視することも、同調することも得策ではない。
「そんなことを言っている暇があるのならば、彼女に負けぬように次の考査へのスケジュールでも考えるべきね。…ちがう?」
「…そう、ですね。」
アリアは話題を振ってきた隣の席の令嬢に対して、笑顔で返す。すると、彼女は少し引きつりながらも同意してかえした。彼女は確か伯爵令嬢だ。対してクラレンス家は公爵家。異を唱えることなどできないだろう。
アリアはゆっくりと、周りの陰口に対して不安げにうつむいていたリリーに目を向ける。すると、リリーも驚愕に目を見開いてアリアを見ていた。どうやら、思ったよりもアリアの言葉は教室に響いていたようだ。
「リリー様も、せいぜい足元をすくわれないように頑張ってくださいまし。私も、次は絶対に負けないように努力いたしますので。」
アリアは態と丁寧に、高圧的に言う。自分は彼女よりも強いのだと、今度こそ、貴方になど負けないと。そう宣言するかのようにリリーを見つめて、悠然と笑う。
その日は何とも言えぬ空気のまま、初日が解散となった。
間違いなく、前回とは大きく変わっていた。
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