俺の相棒は元ワニ、今ドラゴン！？元飼育員の異世界スローライフ

第49話 遅くなった帰り道

リタと一緒にお祭りを楽しむことにしたオレたちは、賑やかな会場をさらに見て回った。

リタも徐々に元気を取り戻し、少しずつ笑顔が増えてきた。

「リタ、どう？王都の祭り、楽しんでる？」オレは彼女に問いかけた。

「うん！やっぱり王都ってすごいね…
さっきまで気持ちが沈んでたけど、今は楽しいよ。ありがとう、ダイ。」
リタは少し照れたように微笑みながら答えた。

ゴロウも嬉しそうに、オレの肩の上で尻尾を振りながらテレパシーで話しかけてきた。
「ダイ、リタが元気になってよかったね！お祭りってすごい力があるね！」

オレも笑顔で頷いた。
「そうだね、みんなで楽しめるといいね。」

お祭りの喧騒の中、オレたちはお菓子を食べたり、
パフォーマンスを見たりしながら、しばしの間楽しい時間を過ごした。
リタは少しずつ王都の活気に溶け込んでいくように見え、もうさっきのような不安そうな表情は消えていた。



「今日は本当にありがとう、ダイ。おかげで気持ちが楽になったよ。」
リタは満足そうに言った。


「こちらこそ、リタと一緒に回れて楽しかったよ。
王都の生活はこれから始まったばかりだから、無理せずやっていこうね。」

リタは少し顔を赤らめながら恥ずかしそうに
「なんだかダイって私より小さいのになんだか大人っぽいよね」

オレはドキッとしながら
「えへへ、そうかな？うちには兄もいるからその影響かも・・・」

まぁほんとは大人だし、元の世界の年齢と足すとおじさんに片足を踏み入れている
年齢となるからな・・・

リタは府には落ちていない表情だったが
「フーンまぁそうなのかもね。」
と深くは考えなかったようだ。


「まだ僕もしばらく王都に居るからまたどこかで合えるよね、その時はよろしくね、リタ！」

「うん、あっまずい、宿の夕食の時間に間に合わなくなっちゃう！
ダイ今日はありがとう！また会おうね！」
リタは明るく手を振り、颯爽と宿へと帰っていった。

オレもそろそろ戻らないと…と思ったが、
ふと空を見ると、すでに日はすっかり沈み、
王都の街はランプの明かりで照らされている。

「やばい、遅くなっちゃった！」

バルシュに怒られるかも…
オレは慌ててゴロウにテレパシーで言いながら、宿へ向けて急いで歩き出した。

「ダイ、急いで戻ろう！父様、怖い顔して待ってるかも！」
ゴロウも焦りながらオレの肩にしがみついた。


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宿に着くと、案の定バルシュとレオンナンドが食堂で待っていた。
バルシュは腕を組み、レオンナンドは静かに立っている。

「ダイ、遅かったな。」バルシュが低い声で言った。
いつもの優しい雰囲気とは打って変わって、厳しい表情だ。


「す、すみません…お祭りが楽しくて、つい時間を忘れてしまいました…」
オレは言い訳がましく答えたが、バルシュの視線は鋭いままだ。

「無事で何よりだが・・・言っておいたはずだ。王都にはまだ慣れていないし、危険なことも多いんだ」
バルシュの声には静かな怒りが込められていた。

レオンナンドも一言、「王都は広い分、油断すれば危険に巻き込まれる可能性があるのです。
ダイ様、これからは気をつけてください。」
と、冷静な口調で付け加えた。いつものような、キランと光る歯は見られない・・・

オレは小さく頷き、「はい、次からは気をつけます…」と反省しながら返事をした。


バルシュは ふぅと息を吐くと

「わかったならもう良い。これからはもっと注意を払いなさい。
はらも減っているだろう。夕食を食べたら風呂に入りすぐに寝なさい。」


「はい。心配かけてごめんなさい。明日からはもっと気を付けます！」
心配をかけたことを本当に申し訳けなく思った。

それと同時に心配してくれている人がいることをうれしく思った。