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第38話 王都への準備

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レオンナンドとの訓練が続いていたが、
魔力のコントロールはまだ思うようにいかない。
ゴロウの力を完全に制御するには、もっと鍛錬が必要だ。
正直王都へ行く前にもっと精度を高めておきたいと思い焦りがあった


訓練を終えると、バルシュから自室に来るように呼ばれた。
オレは汗を拭い、着替えをすました後バルシュの部屋へと向かった。
コンコンコン
「ダイです、入ります。」

部屋に入ると、バルシュは書類を手にしながら
「ダイ、準備が整ったぞ。王都への出発は5日後だ。」

オレは一瞬驚いたが、いよいよ旅立ちの日が近づいてきたことを実感した。
「はい」と返事をしたが、内心あと5日の訓練で納得がいく状態になるかは不安だった。
せめていざという時に出せる技があればいいけど・・・

オレの返事を聞きバルシュは続けた。
「マヨネーズの商談という表向きの理由は万全に整えてある。
だが、本当の目的はゴロウの力に関する調査だ。
レオンナンドも同行する予定だが、ゴロウのことは誰にも知られてはならない。慎重に行動するぞ。」

「はい、父様」






翌日から、王都への旅の準備が本格的に始まり屋敷全体が忙しさに包まれていた。

「ダイ様、こちらは旅用の衣装でございます。丈夫な生地で作られておりますので、
どのような状況でも問題なく着られます。」

エリーがオレのために旅用の衣装を用意してくれていた。
袖を通してみると吸い付くようなフィット感。
良い生地で縫製されているのはわかるが、なんといってもサイズがぴったり。
まるで服を着れいることを忘れてしまうような感覚だ

「すごいよエリー、ピッタリ!見た目もかっこいいしこれなら商談の時でもばっちりだよ。ありがとう!」キラン
レオンナンド直伝のスマイルが炸裂してしまった。

「いえ、これくらい メイドですので」
いつものように謙遜はしていたが、耳は赤くなっていた。


一方で、バルシュは旅の詳細をまとめ、
旅路で会う貴族や商人との商談に向けた準備を進めてくれていた。
旅の準備は着々と進む中、家族はあくまでマヨネーズの商談が主な理由だと信じている。
母のメリッサや兄のフレットも、王都でのオレの活躍に期待を寄せていた。

ジョージだけは未だに羨ましそうに「お土産は忘れずに頼むぞ、ダイ!」と言っている。

家族がオレの王都行きを応援してくれるのは嬉しいが、
オレの心の中には別の思いがあるので
家族に本当の目的を言えないもどかしさがある。
しかし、ゴロウの力が狙われる可能性を考えれば、誰にも知られないようにすることが最善だ。



ついに出発の日が訪れた。

バルシュとオレ、ゴロウは馬車に乗り込み、王都へ向かう準備が整った。

そしてレオンナンドが護衛と御者を担ってくれる。

辺境伯の移動としてはかなり異例の人数だが
王都での動きやすさとゴロウの秘匿性を考えての人数のようだ。


家族みんなが俺たちを見送りに来てくれている。
メリッサは少しなきそうだった。

「ダイ危険なところには行っちゃだめだからね。
王都では絶対に一人で行動しない事!
あなた、ダイから目を離してはいけませんよ
レオンナンドも護衛をよろしくお願いしますね。」
メリッサはハンカチを目にあてながらみんなに伝える

「はい、ありがとうございます。母様。」

その後にフレットが
「だい、気負付けてね。帰ってきたら王都の話聞かせてね!」

「はい、フレット兄さま!」

ジョージは相変わらず
「お土産忘れるなよ」

「はい、ジョージ兄さま。」

一通りみんなとの別れの挨拶をしたところでバルシュが
「それでは、留守を頼むぞ レオンナンド出してくれ」

レオンナンドは「はッ」と返事をして
馬を動かす。

オレも最後に
「それでは行ってまいります!」
といい手を振った。

関についたオレにバルシュは改めて
「ダイ、王都では商談が中心になるが、ゴロウの調査も忘れるな。
特に、エンシェントドラゴンに関する文献を手に入れるのは最優先だ。」

オレは真剣な表情で「はい」頷いた。
バルシュが言うように、ゴロウの力についての情報は今後のオレたちの運命に大きく関わる。


「ダイ様、旅路では私が護衛を務めますが、訓練も怠らず続けましょう。
ゴロウ殿との同調を強化するための特別訓練も考えております。」

馬に乗り馬車を引いてくれているレオンナンドが

オレは笑顔で頷いた。訓練も大切だが、王都での出会いや冒険がどんなものになるのか、
不安と期待が入り混じっている

「分かりました。王都に着いたら、まずはマヨネーズの商談を、
少し落ち着いた頃にゴロウの調査をしっかり進めます。」


こうして、オレたちは王都へと旅立った。
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