雨晒し

隠された本音

６

榛名くんもあたしに負けないくらいにキョトンとした顔をして「…辻本？」って名前を呼んでくる。


「な、何してるの？こんなとこで」


動揺を隠し切れないままそう問いかければ、榛名くんはゆっくりとその唇を動かした。



「…いや、担任に“学年イチのバカの補講に付き合ってやってくれ”って呼び出されたんだけど…学年イチのバカって辻本だったの？」


なんだよ、学年イチのバカって。まぁ、あながち間違いじゃないかもしないけど、それにしても失礼すぎる。

いつもなら「はぁ！？」って噛みつくところだけど、今はそんな事すらも聞き流せるほど衝撃を食らっていた。

だって、担任に呼び出されたって事はやっぱり“子羊ちゃん”は榛名くんだったって事で、



そうなれば榛名くんは――…





「榛名くんって…ゲイだったの？」


そういう事にしかならなくない？




「…はぁ？」


あたしの質問に思い切り眉を寄せた榛名くんは、



「…質問の意図が全く見えないんだけど」



肩に掛けていたスクールバックを机の上に置きながら、そう言葉を続けた。

そのままあたしの向かいに腰かけた榛名くんに「だって！」と食い気味に切り出す。



「あの担任が言ってたもん！“俺の可愛い子羊ちゃん”だって！」

「…子羊？なにそれ」

「あたしも知らないけど、つまり担任と榛名くんは禁断のアレみたいなソレじゃないの！？」

「…なんでそうなるの」



うんざりした表情でハァ…と溜め息を吐いた榛名くんは再び口を開く。