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揺れる黒と、広がる赤
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しおりを挟むあたしの目元を覆う温かい手の感触に、微かに鼓動が早くなるのを感じた。
…ああ、そうだった。
確か“あの日”もこうやって、榛名くんに目隠しされたんだっけ。
「…そうだね、“あの日”と同じだ」
「……」
「…ていうか今榛名くんの顔が赤かったのは夕陽のせいでしょ?なら隠すことないじゃん」
「……」
「ねーえ、聞いてる?ほら、早く手離してよ」
痺れを切らして少し大きな声であたしがそう言った後、
「…髪」
ポツリと呟くようにそう言った榛名くんの声が聞こえて思わず「え?」と間抜けな声が出た。
「…髪、暗くしたんだ」
「…え、あ…うん」
コクリと小さく頷いたところで、ようやく目元を覆っていた榛名くんの手がふっと離れていった。
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