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三章
95 二つの選択
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武器を回収された後、宿の主人も戻ってきた。
こっちは先払いで貰っているというと、宿から追い出す事もなく食事も出してくれる事になった。
「じゃ、食べ終わったみたいだし始めるわよ」
食堂には、僕とフローレンスお嬢様を含め、さらに第七部隊の聖騎士が全員がそろっている、マリエルとファー、ミントだけは前に立ち全員を見る形だ。
「と、言う事で、命令書になると第七部隊は解散となりました。
ぱちぱちぱちぱち」
マリエル一人だけが拍手して、他は誰も拍手していない。
ファーが小さい咳払いをする。
「場を和ませようと思ったんだけど外したかな」
「ええ……、皆さんも知っている通りマキシムが死にました」
ファーがみんなに、これまでの事を説明する。
そして、息子の命なぞ微塵も思っていないようなマイボル大臣の……、いやもはや国王代理と言う形で送ってきた、理不尽な命令書。
誰も声を出そうとしない、それを破ったのはナナだった。
「おねーさま、聖騎士を辞めろって命令に従うんですかっ!?」
「命令だし。
正直、マキシムが殺されたって聞いて先を越されたかって思ったぐらいよ。
そのハグレがやったか知らないけど、花を贈りたいぐらいね」
物騒な事を言うマリエルに、隣のファーは二度目の咳払いをする。
「っと、本題にもどるわね。
時期が来たら皆にも言おうと思っていたんだけど……、ごたごたが片付いたら私は聖騎士を辞めるつもりは合ったのよ」
数日前にチラっと聞いていた話だ。
それでも、他の人は聞いてなかったので食堂がさらにざわつく。
ナナの体がビクビクと震え始めた。
「な、なななななっ」
ナナが可呼吸になってきた、直ぐ隣のコーネリアがその背中をやさしくなでる。
深呼吸をして、息が整った所で僕を指差した。
「辞めるって、この男のせいなんですかっ!」
マリエルは僕を見ると、平然な顔でコーネリアを見て、そうよと言い出した。
いや、やっぱそうなんだよね……。
喉がかわき、水を口に入れる。
「認めませんっ! おねーさまは、おねーさまで、隊長だから辞めるべきじゃないです!! こんなちんちくりんな男のせいでっ、男の何所がいいんですかっ!」
「でも、ヴェルは結構なモノを下半身にぶら下げているわよ」
ぶーーーーげほ、げほっ。
今、口に入れた水を吐き出しそうになった。
「ちょっと、ヴェル大丈夫?」
フローレンスお嬢様が僕の背中をさすってくる。
何人かの声で、確かに……や、あれは中々のモノだったわよなど。
男性のプライバシーはないんだろうか。
その間にもナナはマリエルに詰め寄る。
「あ、あたしも生やせば彼女にしてくれますかっ!」
そういう問題じゃないだろうし、無理だろ。
いや、もしかしたら僕が知らないだけで聖騎士の力見たく出来るのかもしれない……。
ファーの咳払いが一際大きくなった後、淡々と口を開く。
「マリエル隊長、ヘビ料理がご所望と……」
「ファー冗談よ、冗談。
ね、軽いスキンシップみたいな物、ナナはからかうと面白くて、じゃっ真面目な話をするわね。
上層部は思ったよりも腐ってるのよ……。
例えば、普段食べている食事に毒を盛られて、ハグレとみなされ殺されるぐらいにね。
で、外から圧力をかけていこうかなーって思っていたんだけどねぇ」
騒いでいたナナも顔面が引きつり言葉が出ない。
僕が知っている世界での、第七部隊最後の話だ。
カーヴェの町で帝国と手を組んだ罪でマリエル達は殺された。
じゃぁどうすればいいと、誰も答えは出ない。
「とりあえず、カーヴェの町へ向かいますー。
あそこは商業都市でもあるけど、その昔は砦の役割もあったから、ある程度は隠れれるし。
で、ここからが本題。
命令に逆らうとハグレとみなされて、殺される可能性大アリ。
それだけならまだしも、家族や友人を人質に取られる、コーネリアにアデーレは同じ村出身よね。
村が酷い目にあう可能性もあるし、フレイミンは彼氏と彼氏の家族が罪に問われるかも、ええっとメイリンとパンシーは……」
隊員一人一人に注意していく。
全員分が終わる頃には、半数以上の隊員が青い顔をしていた。
「こんな馬鹿げた命令書送るぐらいだもん、やってくるわよ。
それでも、聖騎士だから、命令に納得いかないって人は明け方に練習場に集合。
個人の考えで決め手ほしい」
アデーレが小さく手を上げる。
「隊長は?」
「そうね、ここで言うのは皆の決心が変わると思うから言わない予定だったけど……」
「おねーさまの意見を聞きたいです!」
その意見はわかる、隊長のマリエルの一声で残るか残らないかを決める人が多いだろう。
「宿に残るわよ」
短く言う答えに、食堂の空気がざわざわとなる。
以外だった……。
マリエルは一人でも戦いそうな感じだったし。
「こういう空気になるから言いたくなかったのよね……。
命大事によ、でも、私がそう思っても皆は違う。
本来はもう隊長でもないんだし、だから皆がどんな考えでも、それは裏切りなどでは無い、そこだけは約束してね」
マリエルの話では、明日からこの宿は監視対象になり出入りを制限されるらしい。
篭手の回収を拒否した結果であり、後で回収する人間が城からくるようになるでしょうと。
潜伏先の行き方と資金は、これから練習場に置いて来るという。
他言はしない、しないけど、ファーランスやミントが居るとは思わない事と念押しをした。
後は、最後に部屋割り変え、各自一人で考えられるようにしたからと付け加えた。
パンパンと手を叩いて解散の合図をする。
僕とフローレンスお嬢様の所へよってくる。
「こんな調子だったら、ヴェルが聖騎士になるなんて無理ね。
国外にツテがあるから、その人に向かえに来てもらう事にしよっか。
フローレンスちゃんは、村に帰ったほうがいいわね」
「マリエルは……今後は?」
「ヴェルはわかると思うけど、救えた命無駄にしたくないの」
じゃ、おやすみーと、いうとマリエルは地図を埋めに外へ出て行く。
他の隊員も何人かに固まったり、彼氏に会ってくる……など散っていく。
「わたし達も部屋いこっか……、何か大変な事になったよね」
「そうですね……。
僕の今後の事も考えますし部屋にいきましょうか」
「ヴェルはわたしと一緒に……」
「何か言いました?」
「なんでもなーい」
僕もフローレンスお嬢様と階段を上がっていく、新しい部屋割りでは聖騎士の皆が個室になっていたのだけど、部屋数が足りなく僕とフローレンスお嬢様だけが同室だった。
あまりの室内で絶句する。
部屋の広さは一人用の部屋よりはやや広い程度。
何が絶句かというと、赤いレースの垂れ幕がついたベッドが中央に置かれている。
「こ、こ、これって」
どう見ても新婚部屋である。
いくら空きが無かったからといってこの部屋はまずいでしょ……。
こっちは先払いで貰っているというと、宿から追い出す事もなく食事も出してくれる事になった。
「じゃ、食べ終わったみたいだし始めるわよ」
食堂には、僕とフローレンスお嬢様を含め、さらに第七部隊の聖騎士が全員がそろっている、マリエルとファー、ミントだけは前に立ち全員を見る形だ。
「と、言う事で、命令書になると第七部隊は解散となりました。
ぱちぱちぱちぱち」
マリエル一人だけが拍手して、他は誰も拍手していない。
ファーが小さい咳払いをする。
「場を和ませようと思ったんだけど外したかな」
「ええ……、皆さんも知っている通りマキシムが死にました」
ファーがみんなに、これまでの事を説明する。
そして、息子の命なぞ微塵も思っていないようなマイボル大臣の……、いやもはや国王代理と言う形で送ってきた、理不尽な命令書。
誰も声を出そうとしない、それを破ったのはナナだった。
「おねーさま、聖騎士を辞めろって命令に従うんですかっ!?」
「命令だし。
正直、マキシムが殺されたって聞いて先を越されたかって思ったぐらいよ。
そのハグレがやったか知らないけど、花を贈りたいぐらいね」
物騒な事を言うマリエルに、隣のファーは二度目の咳払いをする。
「っと、本題にもどるわね。
時期が来たら皆にも言おうと思っていたんだけど……、ごたごたが片付いたら私は聖騎士を辞めるつもりは合ったのよ」
数日前にチラっと聞いていた話だ。
それでも、他の人は聞いてなかったので食堂がさらにざわつく。
ナナの体がビクビクと震え始めた。
「な、なななななっ」
ナナが可呼吸になってきた、直ぐ隣のコーネリアがその背中をやさしくなでる。
深呼吸をして、息が整った所で僕を指差した。
「辞めるって、この男のせいなんですかっ!」
マリエルは僕を見ると、平然な顔でコーネリアを見て、そうよと言い出した。
いや、やっぱそうなんだよね……。
喉がかわき、水を口に入れる。
「認めませんっ! おねーさまは、おねーさまで、隊長だから辞めるべきじゃないです!! こんなちんちくりんな男のせいでっ、男の何所がいいんですかっ!」
「でも、ヴェルは結構なモノを下半身にぶら下げているわよ」
ぶーーーーげほ、げほっ。
今、口に入れた水を吐き出しそうになった。
「ちょっと、ヴェル大丈夫?」
フローレンスお嬢様が僕の背中をさすってくる。
何人かの声で、確かに……や、あれは中々のモノだったわよなど。
男性のプライバシーはないんだろうか。
その間にもナナはマリエルに詰め寄る。
「あ、あたしも生やせば彼女にしてくれますかっ!」
そういう問題じゃないだろうし、無理だろ。
いや、もしかしたら僕が知らないだけで聖騎士の力見たく出来るのかもしれない……。
ファーの咳払いが一際大きくなった後、淡々と口を開く。
「マリエル隊長、ヘビ料理がご所望と……」
「ファー冗談よ、冗談。
ね、軽いスキンシップみたいな物、ナナはからかうと面白くて、じゃっ真面目な話をするわね。
上層部は思ったよりも腐ってるのよ……。
例えば、普段食べている食事に毒を盛られて、ハグレとみなされ殺されるぐらいにね。
で、外から圧力をかけていこうかなーって思っていたんだけどねぇ」
騒いでいたナナも顔面が引きつり言葉が出ない。
僕が知っている世界での、第七部隊最後の話だ。
カーヴェの町で帝国と手を組んだ罪でマリエル達は殺された。
じゃぁどうすればいいと、誰も答えは出ない。
「とりあえず、カーヴェの町へ向かいますー。
あそこは商業都市でもあるけど、その昔は砦の役割もあったから、ある程度は隠れれるし。
で、ここからが本題。
命令に逆らうとハグレとみなされて、殺される可能性大アリ。
それだけならまだしも、家族や友人を人質に取られる、コーネリアにアデーレは同じ村出身よね。
村が酷い目にあう可能性もあるし、フレイミンは彼氏と彼氏の家族が罪に問われるかも、ええっとメイリンとパンシーは……」
隊員一人一人に注意していく。
全員分が終わる頃には、半数以上の隊員が青い顔をしていた。
「こんな馬鹿げた命令書送るぐらいだもん、やってくるわよ。
それでも、聖騎士だから、命令に納得いかないって人は明け方に練習場に集合。
個人の考えで決め手ほしい」
アデーレが小さく手を上げる。
「隊長は?」
「そうね、ここで言うのは皆の決心が変わると思うから言わない予定だったけど……」
「おねーさまの意見を聞きたいです!」
その意見はわかる、隊長のマリエルの一声で残るか残らないかを決める人が多いだろう。
「宿に残るわよ」
短く言う答えに、食堂の空気がざわざわとなる。
以外だった……。
マリエルは一人でも戦いそうな感じだったし。
「こういう空気になるから言いたくなかったのよね……。
命大事によ、でも、私がそう思っても皆は違う。
本来はもう隊長でもないんだし、だから皆がどんな考えでも、それは裏切りなどでは無い、そこだけは約束してね」
マリエルの話では、明日からこの宿は監視対象になり出入りを制限されるらしい。
篭手の回収を拒否した結果であり、後で回収する人間が城からくるようになるでしょうと。
潜伏先の行き方と資金は、これから練習場に置いて来るという。
他言はしない、しないけど、ファーランスやミントが居るとは思わない事と念押しをした。
後は、最後に部屋割り変え、各自一人で考えられるようにしたからと付け加えた。
パンパンと手を叩いて解散の合図をする。
僕とフローレンスお嬢様の所へよってくる。
「こんな調子だったら、ヴェルが聖騎士になるなんて無理ね。
国外にツテがあるから、その人に向かえに来てもらう事にしよっか。
フローレンスちゃんは、村に帰ったほうがいいわね」
「マリエルは……今後は?」
「ヴェルはわかると思うけど、救えた命無駄にしたくないの」
じゃ、おやすみーと、いうとマリエルは地図を埋めに外へ出て行く。
他の隊員も何人かに固まったり、彼氏に会ってくる……など散っていく。
「わたし達も部屋いこっか……、何か大変な事になったよね」
「そうですね……。
僕の今後の事も考えますし部屋にいきましょうか」
「ヴェルはわたしと一緒に……」
「何か言いました?」
「なんでもなーい」
僕もフローレンスお嬢様と階段を上がっていく、新しい部屋割りでは聖騎士の皆が個室になっていたのだけど、部屋数が足りなく僕とフローレンスお嬢様だけが同室だった。
あまりの室内で絶句する。
部屋の広さは一人用の部屋よりはやや広い程度。
何が絶句かというと、赤いレースの垂れ幕がついたベッドが中央に置かれている。
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