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181 番外初夢
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☆番外です、時系列は年末にディーオ君と町の汚い酒場に行った翌日になります
眼が覚めるとディーオの部屋に居た。
なぜディーオの部屋なのかわかるかというと、簡素であるけど大きいセミダブルベッド。
そして部屋にはぎっしりと詰まった本に、男性特有のちょっとすえた匂い。
って、誰に説明してるんだこれ。
とりあえずベッドから出て部屋の扉をあける。
一階へ続く階段があり、手すりを使って降りた。
小さい間取りでディーオの姿は居ない。
「ディーオ!」
ん?
いや。
落ち着けエルン。
「私はエルン・カミュラーヌだ!」
……………………。
「偶然かしら、ディーオの声しか聞こえないんですけど……」
私は急いで二階へと戻る。
どこかに鏡ぐらいはあるでしょうに、棚や引き出しを開けて手鏡を見つけた。
急いで覗き込むとディーオの顔がそこにはあった。
「なんじゃこりゃああああああああああああ」
鏡の中のディーオは叫んでいるし、私の耳にもディーオの叫び声が聞こえている。
私が叫んでるのにだ。
これって入れ替わりって奴じゃ!?
どどどど、どうしよう。
落ち着けエルン。
ディーオの体になって何をしたらいいの!
◇◇◇
階段を下りて一階でひとまず深呼吸をする。
手を綺麗に洗って手鏡で顔を確認すると、やっぱりディーオの顔がそこにある。
さて…………こまったわね。
ドンドンドンと扉が叩かれる音が聞こえた。
「誰ようるさいな……はい、今開けますわよー……じゃない今開ける!」
普段どおりの喋り方をしているとディーオがお釜になったみたいでキモイ。
玄関の扉を開けると、富士山が二つあった。
もとい、大きな胸がある。
思わず揉んで見ると、やはり柔らかい。
感触を堪能した所で顔を見た。
美しい切れ目の瞳に、黒艶のある長い髪。
赤い唇がピクピクと震えている。
右肩には大きな鳥が留まっている、確か鷹とかそんなような名前。
「何をしている……エルン・カミュラーヌ!」
「ちょっと、私の声で呼び捨てにしないでよ。中身ディーオよね?
ええっと、肩のはカー助?」
カラスではなくて鷹がピィェー! と、二回鳴くと羽ばたき私かっこディーオの肩に留まってくる。
「まったく夢の中でも君は迷惑をかける」
「あっこれって夢?」
「当たり前だろう、なんでボクと君の体が入れ替わらないといけない!」
そういえば、明日は新年。
いい初夢を見れるように賢者の石を握りながら寝たような気がする。
「解決方法は?」
「ボクが聞きたい……とはいえ、こういう事は書物で読んだ事がある。
夢の中で寝ると現実に戻れるらしい。
逆に夢の中で死ぬと、現実では永眠という事も聞いた事ある。
錬金術書物第二十八巻夢見草の――――」
「あーもう、夢の中までウンチクはやめてよ!」
「君こそボクの顔で女性喋り早めて欲しい!」
言い争う事数時間。
夢の中なので時間がよくわからないけど、時計は数時間たっていた。
味のしない水を飲んで私とディーオは寝る事となった。
「で、ディーオは何所で寝るの?」
「君は二階のベッドで寝るといい。ボクはその辺で寝る」
「ちょっと……私の体なんだから変な場所で寝ないでよ」
「またその話か……だったら何所で寝れば」
「んーー一緒に寝る?」
どうせセミダブルのベッドだ二人で寝ても狭くない。
「君は本気で言ってるのか?」
「本気よ? それに夢なんだし……あっもしかしてエッチな事考えてる? ちょっと、露骨にため息を出さないでよ……優しさよ優しさ」
「君の優しさは迷惑になる場合もあると、考えたほうがいい」
結局ディーオの体にいる私は二階で寝て、エルンの体にいるディーオは一階で寝る事になった。
――――。
――――――。
目が覚めると自室の天井が見えた。
そういえば、昨夜はディーオと散々飲んだわね。
寒い! 寒くて死ぬ。
何か変な夢を見たような…………いや見たわね。
一富士、ニ鷹、三茄子だっけ?
富士は私の胸として、鷹はカー助。なすびは……うん。こっそり見たけど大きかったわね。
私は頭を振って考えを切り替える。
「さて、今年もいい年にしたいわね! っと」
眼が覚めるとディーオの部屋に居た。
なぜディーオの部屋なのかわかるかというと、簡素であるけど大きいセミダブルベッド。
そして部屋にはぎっしりと詰まった本に、男性特有のちょっとすえた匂い。
って、誰に説明してるんだこれ。
とりあえずベッドから出て部屋の扉をあける。
一階へ続く階段があり、手すりを使って降りた。
小さい間取りでディーオの姿は居ない。
「ディーオ!」
ん?
いや。
落ち着けエルン。
「私はエルン・カミュラーヌだ!」
……………………。
「偶然かしら、ディーオの声しか聞こえないんですけど……」
私は急いで二階へと戻る。
どこかに鏡ぐらいはあるでしょうに、棚や引き出しを開けて手鏡を見つけた。
急いで覗き込むとディーオの顔がそこにはあった。
「なんじゃこりゃああああああああああああ」
鏡の中のディーオは叫んでいるし、私の耳にもディーオの叫び声が聞こえている。
私が叫んでるのにだ。
これって入れ替わりって奴じゃ!?
どどどど、どうしよう。
落ち着けエルン。
ディーオの体になって何をしたらいいの!
◇◇◇
階段を下りて一階でひとまず深呼吸をする。
手を綺麗に洗って手鏡で顔を確認すると、やっぱりディーオの顔がそこにある。
さて…………こまったわね。
ドンドンドンと扉が叩かれる音が聞こえた。
「誰ようるさいな……はい、今開けますわよー……じゃない今開ける!」
普段どおりの喋り方をしているとディーオがお釜になったみたいでキモイ。
玄関の扉を開けると、富士山が二つあった。
もとい、大きな胸がある。
思わず揉んで見ると、やはり柔らかい。
感触を堪能した所で顔を見た。
美しい切れ目の瞳に、黒艶のある長い髪。
赤い唇がピクピクと震えている。
右肩には大きな鳥が留まっている、確か鷹とかそんなような名前。
「何をしている……エルン・カミュラーヌ!」
「ちょっと、私の声で呼び捨てにしないでよ。中身ディーオよね?
ええっと、肩のはカー助?」
カラスではなくて鷹がピィェー! と、二回鳴くと羽ばたき私かっこディーオの肩に留まってくる。
「まったく夢の中でも君は迷惑をかける」
「あっこれって夢?」
「当たり前だろう、なんでボクと君の体が入れ替わらないといけない!」
そういえば、明日は新年。
いい初夢を見れるように賢者の石を握りながら寝たような気がする。
「解決方法は?」
「ボクが聞きたい……とはいえ、こういう事は書物で読んだ事がある。
夢の中で寝ると現実に戻れるらしい。
逆に夢の中で死ぬと、現実では永眠という事も聞いた事ある。
錬金術書物第二十八巻夢見草の――――」
「あーもう、夢の中までウンチクはやめてよ!」
「君こそボクの顔で女性喋り早めて欲しい!」
言い争う事数時間。
夢の中なので時間がよくわからないけど、時計は数時間たっていた。
味のしない水を飲んで私とディーオは寝る事となった。
「で、ディーオは何所で寝るの?」
「君は二階のベッドで寝るといい。ボクはその辺で寝る」
「ちょっと……私の体なんだから変な場所で寝ないでよ」
「またその話か……だったら何所で寝れば」
「んーー一緒に寝る?」
どうせセミダブルのベッドだ二人で寝ても狭くない。
「君は本気で言ってるのか?」
「本気よ? それに夢なんだし……あっもしかしてエッチな事考えてる? ちょっと、露骨にため息を出さないでよ……優しさよ優しさ」
「君の優しさは迷惑になる場合もあると、考えたほうがいい」
結局ディーオの体にいる私は二階で寝て、エルンの体にいるディーオは一階で寝る事になった。
――――。
――――――。
目が覚めると自室の天井が見えた。
そういえば、昨夜はディーオと散々飲んだわね。
寒い! 寒くて死ぬ。
何か変な夢を見たような…………いや見たわね。
一富士、ニ鷹、三茄子だっけ?
富士は私の胸として、鷹はカー助。なすびは……うん。こっそり見たけど大きかったわね。
私は頭を振って考えを切り替える。
「さて、今年もいい年にしたいわね! っと」
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