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84.5 捕らえられた男の話(暗めで真面目な物語
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初めてソレを見た時は驚いた。
滅多に帰って来ない王に呼び出された僕達は、小さな赤ん坊を見せられた。
赤ん坊なんて何度も見てきたはずなのに驚いた理由は別にある。
その頭には小さな耳がついており、誰かみても亜人というのがわかったからだ。
背後で小さな悲鳴が聞こえたような気がしたが、俺はそれよりも小さい亜人に興味が沸いた。
僕の母親や姉が、僕の服を引っ張った。
無意識に跳ね除けると、その赤ん坊へと近づく。
王や兵士が俺の前へと立つと道をふさいだ、それを大丈夫ですよと伝えてくれたのはパトラ第一女王だた一人。
子供の僕でもわかるちゃらんぽらんな王から……父上から声がかかった。
「ガルドよ、母は違えとお前の妹だ。私が諸国にいる間も守ってくれるかな?」
「僕が……良いんですか……?」
「よい、そなたも我が大事な息子だ」
僕はそっと、小さな赤ん坊を触ろうとした。
その小さな手が僕の指を先に掴んで笑う。亜人の子、周りからは忌み子と言われていた種族、その笑顔に俺の何かか壊れた気がした。
これは夢だ。
俺があの時に思った夢、そうあの時に誓ったはずだ。
◇◇◇
薄暗い部屋で目が覚めた。
体を動かそうとすると両腕に力をいれるが動かない。
「頭は動くようだな……」
なるほどな……牢獄だ。
両手を天井に向けて固定されている、足のほうは固定されてないが座る事もできない。
思い出せ……昨夜はシンシアを城に連れて行く途中に呼び止められたのだ。
滅多に聞かない人物の声に驚き振り返ったのは覚えている。
警戒はしていたはずだ。
しかし俺自身に何かをする人間ではないので、油断していた。
クソッ!
何が親衛隊隊長だ……。
「誰か居ないかっ!」
俺は大声を叫ぶ。
声が反響した……となると地下か、それに近い場所。
コツコツと足音が聞こえてくる。
その音が大きくなり人影が見えて来た。
「お目覚めになりましたか?」
見知った女の声が俺の耳に届いた。
「久しぶりに良く眠れた気がする感謝を、姉上」
「それは良かったですわ、欲しい物などあれば……おお、怖い怖いそんなにらみ付けるようなお顔をしないでください。可愛い弟なんですから」
「俺の言いたい事はわかるだろう」
「ええ。亜人の護衛など嫌な仕事を、貴方は王子なんですから」
「…………俺の王位継承権は既に無い」
「なぜですの? わたくしは第二王女として席はありますわよ。ですから彼方にもあるはずです」
昔とさほど変わらない顔で俺に喋りかけてくる。
どの口が言うんだ……。
ああ、そうさ。
確かに姉上は第二王女としての席はある
国外追放された第二女王が泣いて頼んだからな。
「シンシア姫は無事なのか?」
「まぁ…………忌み子をまだ姫というのですか? 弟ながらお優しいですね」
「生憎と、王位継承権は返したので失礼をマーズ姫」
俺の嫌味を聞いて、顔が苦虫を潰したようになっている、ざまあみろ。
「いやはや、時期王としては教育がなってませんな」
姉の背後から、男が一人出てきた。
顔に見覚えはないが、姉の新しい彼氏だろう。
だから女王に言ったんだ、さっさと姉の王位も剥奪して追放しろと。
「姉の趣味にしては貧相な男だな」
軽い挑発に、男は鼻の先で笑う。
「お初にお目にかかる、錬金術師のパペットと申します」
「俺が時期王ならば、もう少し待遇をよくして欲しいもんだ」
鎖に繋がれた腕を見せ付ける。
パペットは唇へと手をやると、薄汚く笑い出す。
「コレは失礼、まだ親衛隊隊長という事でしたので、なにコトが終われば王として頂点にたって貰いますゆえ、失礼」
「ねぇガルド、偽女王ばかり贅沢な暮らしって不幸と思わない? 私も彼方も正当な王の血筋があるのよ。この国を作り直しましょう?」
「シンシア姫は無事か?」
俺の言葉を聞いて姉上は黙り込む。
薄汚い錬金術師という奴が横から口を出して来た。
「大事な商品ですから無事でございます、未来の王よ。それではマーズ行きましょうか、数ヶ月もすれば考えも代わるでしょう」
「そうね……良い返事を待っているわ」
コツコツコツと二人が足音を立てて遠ざかる。
俺はその音を静に聞く。
「忌み子に王。それに血筋か……」
俺の母親は元第二夫人だった。元というのは追放された、今はどこかで幽閉でもされているのか、生きているのかも謎。
事の発端は、シンシアが生まれた時だ。
シンシアの体は亜人だった、王家には過去に亜人の血が混ざっている。何代かに数人そういう人間が生まれてくるのは知っていた。
当然姉も母もそれは習っていったはずだ。が、俺の母親は習っていなかったのかもしれない。
王が諸国にいる間に、第一女王であるパトラに不義理をしたと訴えたのだ。
簡単だ、諸国を検分している王は人間と変わらない。亜人の子など生まれるはずが無いと言うだけである。
つまり亜人と不貞儀を起したと広めたのだ。
結果どうなったかと言うと、俺の母親は国外追放。
幸い子である俺や姉はパトラ女王の計らいで国にとどまる事が出来た。
俺は元から姉や母みたく王位なんぞに興味はない、あの時見たシンシアの顔を守りたいと思ったのを伝え、面倒な王位など返上した後に兵士へとなった。
姉であるマーズはパトラ女王やその子供達を憎んでいる。
幸い第一王女は王と一緒に国外にいる、だから城で声を掛けられた時俺は何故こんな場所に姉がいるんだと、一瞬思考が停止してしまったのだ。
後は黒い霧に包まれて気づけばか……。
情報が欲しい。
シンシアは絶対に助ける。
滅多に帰って来ない王に呼び出された僕達は、小さな赤ん坊を見せられた。
赤ん坊なんて何度も見てきたはずなのに驚いた理由は別にある。
その頭には小さな耳がついており、誰かみても亜人というのがわかったからだ。
背後で小さな悲鳴が聞こえたような気がしたが、俺はそれよりも小さい亜人に興味が沸いた。
僕の母親や姉が、僕の服を引っ張った。
無意識に跳ね除けると、その赤ん坊へと近づく。
王や兵士が俺の前へと立つと道をふさいだ、それを大丈夫ですよと伝えてくれたのはパトラ第一女王だた一人。
子供の僕でもわかるちゃらんぽらんな王から……父上から声がかかった。
「ガルドよ、母は違えとお前の妹だ。私が諸国にいる間も守ってくれるかな?」
「僕が……良いんですか……?」
「よい、そなたも我が大事な息子だ」
僕はそっと、小さな赤ん坊を触ろうとした。
その小さな手が僕の指を先に掴んで笑う。亜人の子、周りからは忌み子と言われていた種族、その笑顔に俺の何かか壊れた気がした。
これは夢だ。
俺があの時に思った夢、そうあの時に誓ったはずだ。
◇◇◇
薄暗い部屋で目が覚めた。
体を動かそうとすると両腕に力をいれるが動かない。
「頭は動くようだな……」
なるほどな……牢獄だ。
両手を天井に向けて固定されている、足のほうは固定されてないが座る事もできない。
思い出せ……昨夜はシンシアを城に連れて行く途中に呼び止められたのだ。
滅多に聞かない人物の声に驚き振り返ったのは覚えている。
警戒はしていたはずだ。
しかし俺自身に何かをする人間ではないので、油断していた。
クソッ!
何が親衛隊隊長だ……。
「誰か居ないかっ!」
俺は大声を叫ぶ。
声が反響した……となると地下か、それに近い場所。
コツコツと足音が聞こえてくる。
その音が大きくなり人影が見えて来た。
「お目覚めになりましたか?」
見知った女の声が俺の耳に届いた。
「久しぶりに良く眠れた気がする感謝を、姉上」
「それは良かったですわ、欲しい物などあれば……おお、怖い怖いそんなにらみ付けるようなお顔をしないでください。可愛い弟なんですから」
「俺の言いたい事はわかるだろう」
「ええ。亜人の護衛など嫌な仕事を、貴方は王子なんですから」
「…………俺の王位継承権は既に無い」
「なぜですの? わたくしは第二王女として席はありますわよ。ですから彼方にもあるはずです」
昔とさほど変わらない顔で俺に喋りかけてくる。
どの口が言うんだ……。
ああ、そうさ。
確かに姉上は第二王女としての席はある
国外追放された第二女王が泣いて頼んだからな。
「シンシア姫は無事なのか?」
「まぁ…………忌み子をまだ姫というのですか? 弟ながらお優しいですね」
「生憎と、王位継承権は返したので失礼をマーズ姫」
俺の嫌味を聞いて、顔が苦虫を潰したようになっている、ざまあみろ。
「いやはや、時期王としては教育がなってませんな」
姉の背後から、男が一人出てきた。
顔に見覚えはないが、姉の新しい彼氏だろう。
だから女王に言ったんだ、さっさと姉の王位も剥奪して追放しろと。
「姉の趣味にしては貧相な男だな」
軽い挑発に、男は鼻の先で笑う。
「お初にお目にかかる、錬金術師のパペットと申します」
「俺が時期王ならば、もう少し待遇をよくして欲しいもんだ」
鎖に繋がれた腕を見せ付ける。
パペットは唇へと手をやると、薄汚く笑い出す。
「コレは失礼、まだ親衛隊隊長という事でしたので、なにコトが終われば王として頂点にたって貰いますゆえ、失礼」
「ねぇガルド、偽女王ばかり贅沢な暮らしって不幸と思わない? 私も彼方も正当な王の血筋があるのよ。この国を作り直しましょう?」
「シンシア姫は無事か?」
俺の言葉を聞いて姉上は黙り込む。
薄汚い錬金術師という奴が横から口を出して来た。
「大事な商品ですから無事でございます、未来の王よ。それではマーズ行きましょうか、数ヶ月もすれば考えも代わるでしょう」
「そうね……良い返事を待っているわ」
コツコツコツと二人が足音を立てて遠ざかる。
俺はその音を静に聞く。
「忌み子に王。それに血筋か……」
俺の母親は元第二夫人だった。元というのは追放された、今はどこかで幽閉でもされているのか、生きているのかも謎。
事の発端は、シンシアが生まれた時だ。
シンシアの体は亜人だった、王家には過去に亜人の血が混ざっている。何代かに数人そういう人間が生まれてくるのは知っていた。
当然姉も母もそれは習っていったはずだ。が、俺の母親は習っていなかったのかもしれない。
王が諸国にいる間に、第一女王であるパトラに不義理をしたと訴えたのだ。
簡単だ、諸国を検分している王は人間と変わらない。亜人の子など生まれるはずが無いと言うだけである。
つまり亜人と不貞儀を起したと広めたのだ。
結果どうなったかと言うと、俺の母親は国外追放。
幸い子である俺や姉はパトラ女王の計らいで国にとどまる事が出来た。
俺は元から姉や母みたく王位なんぞに興味はない、あの時見たシンシアの顔を守りたいと思ったのを伝え、面倒な王位など返上した後に兵士へとなった。
姉であるマーズはパトラ女王やその子供達を憎んでいる。
幸い第一王女は王と一緒に国外にいる、だから城で声を掛けられた時俺は何故こんな場所に姉がいるんだと、一瞬思考が停止してしまったのだ。
後は黒い霧に包まれて気づけばか……。
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