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72 ぶっとんだ物を貰えそう
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数日後、船の準備が出来たと知らせがあった。
港まで見送りに来てくれるのは、マギナさんと、その息子夫婦。コタロウは来ていない。
「あれ、コタロウは?」
「今朝から姿がみえませんね、ちょっと用事があるとかなんとか……コレをお二人のお土産と預かっております」
私は小さい箱を受け取った。
その間にマギナさんは、アマンダにも同じ箱を手渡す。
箱の紐を解いて中身を見ると白い布が見えた。
手触りは良く触り心地もよい。
「へぇ、綺麗なハンカ…………チじゃないわねこれ」
普通ハンカチは四角である、でもそれは三角形をしており、蝶のような形だ。
左右に紐が付いており。
私もマギナさんも無言だ。
黙って箱にいれてポケットにしまった。
「にゃはは、セクシー下着だにゃ」
隣でお土産の布をヒラヒラさせているアマンダが箱の中身を言う。
「あーもう、なんで直ぐそういう事を言うの!」
「減るもんじゃにゃいなー」
「コタロウと会ったらよーく言い聞かせてください」
青い顔のマギナさんが平謝りしてくる。
周りから見ると領主を謝らせてる人間に見えるので直ぐに、辞めて貰った。
背後から、出向するから乗ってくれーと船員に言われる。
「それじゃ……手紙の事はお願いします」
「もちろんです、コンタル家全力を尽くして手紙を王都へお届けしますので」
手紙というのは、ナナとノエ宛だ。
変わりないわよという近状報告と、周りの世話。
問題は無いと思うけど万が一を考えて、カー助も残してきている。緊急時にはヘルンやカイン、ディーオなどに連絡するようにと教え込んできた。
出向するぞーと、もう一度大きな声が掛かったので、深くお辞儀をしてマギナさん達と別れた。
この船は大きく客船と貨物船を併用していると聞いた。
なんでも何も無ければ二泊三日で付くらしく、天候もいいしもっと早くつくだろうと、事前に調べてある。
天気は晴れ、絶好の出発だ。
甲板から船内へ入り、指定された窓付きの客室へと向かう。
ベッドが二つあり中々の絶景だ。
お値段なんと金貨二十枚。
「疲れた」
「そうにゃ?」
「こっちも貴族とはいえ、気づかれもあるわよ。コタロウは何かにつけて胸を見てくるのよ。そりゃチラチラみるよりはいいんだけど、いや良くないわね」
「でも、お風呂とかは覗いてこなかったにゃ」
「あー……そういうのは変態のする事だって言ってたよ。お土産に下着渡すのも変態とも思うけど」
変な所で男というか、まぁエロイけど憎めない奴であった。
絶対に彼氏にしたくは無いけど……ってか、もてたいならまず痩せよう。
いやでも、ぽっちゃりが好きな人も居るからそうでもないわね。
って、なんでコタロウの事を考えないといけないのよ。
「あーもうっ! 寝る」
「はいはい」
◇◇◇
目が覚めると窓から月の光が見えた。
日本で見た時より何倍も大きい月が見える、同じ月ではないが月を見ると心が安らぐ。
「やだ、アマンダ起きてたのっ」
「寝る時間でもにゃいからねー」
「なんかごめん」
そうか……良く考えればアマンダは常に側にいてくれるし守ってくれている。
護衛としての仕事はしっかりして……あれ、お酒臭いわね。
「えるんちゃーん、お酒からっぽ」
せっかく、こういう所が大人の女性なのよねと、思ったらこれだ。
でも、それすらも何か嬉しく思う。
「はいはい、酒場へ行きましょう、もちろん出すわよ」
「ありがとーだから、えるんちゃんすきー」
「誰かの物まねをしないっ!」
客室の上は軽い酒場になっており二十四時間いつでも食事が出来る、もちろんその分お金は港で食べる五倍ほどのお値段だ。
私とアマンダは客室を出ると上のフロアへと向かった。
数十人は入れる広さのフロアに、カウンターがあった。
その横では小さいステージがあり、弦楽器を弾いている男性がいる。
私達がカウンターへ行くと、こわもての男性が見知った男の胸倉を掴んでいた。
「払えねえってどういう事だ!」
「ぼ、暴力は行けないでござるよ! 財布をすられたでござる」
「こっちも一品二品なら文句もわねえよ? お前が食ったのは合計十六品と酒が五本。しかも払う人間が来るからと、もう何時間ここにいるんと思っているんだ」
「だから、もうすぐ来るっていっているでござる」
私が百八十度反転した所で、背後から声がかかった。
「おや、そこにいるのは錬金術師のエルン殿ですな、待っていたでござる」
私の背中に周りの視線が突き刺さる。
仕方がなく振り返った。
「おい、確か一等客室のお嬢さんだったよな、コイツと知り合いか?」
「知らない、全然まったく知らない人です。はい」
「酷いでござる、あっそうだ。スケスケのパンティーは着けてござるか? エルン殿の趣味に合うようにと思って奮発したでござる」
「だれが、あんなので喜ぶのよっ趣味じゃないしっ! はっ…………」
「よーし、嬢ちゃん悪いがコイツの代金払ってくれねえか」
言い逃れ出来ないぐらいに反応してしまった。
結局金貨六枚を失った。
◇◇◇
船の酒場で私は酒を飲む、隣に居るアマンダも飲み、なぜかコタロウも飲む。
「なんで船にいるのよ」
「拙者、家に居場所がないでござる」
う、いきなり重い話だ。
「それに、もう直ぐ義姉上殿に子が生まれるでござる。そうなると出来損ないの拙者は家にはお荷物でござる」
「確かに」
「「………………」」
「続けていいわよ?」
「そ、そうでござるな。丁度エルン殿がガーランドに行くと聞いて拙者も新天地に向かったでござるよ」
「で、お金が無いのはなんで?」
「それが本当に盗られたでござる。バーに来て隣に女性がご一緒にと来たでござる。そして飲んでいるうちに眠くなり、気づいたら財布が無かったでござる」
うわーボッタクリバーもびっくりの古典的な方法じゃないの。
騙されるなとは言えないけど。
「そうでござるっ!」
「却下」
「いや、まだ」
「却下」
「何も」
「却下」
コタロウは今度はアマンダへと振り向く。
「アマンダ殿、是非旅に一緒に」
「にゃはー、えるんちゃんがOKださないと無理」
「文無しの人を連れて行くほど、優しくもないわよ」
「わかったでござる、エルン殿は錬金術師と聞いているでござる。コレを譲るのでどうでござるか?」
コタロウは小さい黒い石ころをテーブルに出す。
「何これ?」
私はその石ころを手に取ると眺めながら、お酒を口にいれる。
「賢者の石でござる!」
ブウーーーーーーーーーーっ!
思わず口に入れたお酒を、コタロウの顔へとぶちまけた。
港まで見送りに来てくれるのは、マギナさんと、その息子夫婦。コタロウは来ていない。
「あれ、コタロウは?」
「今朝から姿がみえませんね、ちょっと用事があるとかなんとか……コレをお二人のお土産と預かっております」
私は小さい箱を受け取った。
その間にマギナさんは、アマンダにも同じ箱を手渡す。
箱の紐を解いて中身を見ると白い布が見えた。
手触りは良く触り心地もよい。
「へぇ、綺麗なハンカ…………チじゃないわねこれ」
普通ハンカチは四角である、でもそれは三角形をしており、蝶のような形だ。
左右に紐が付いており。
私もマギナさんも無言だ。
黙って箱にいれてポケットにしまった。
「にゃはは、セクシー下着だにゃ」
隣でお土産の布をヒラヒラさせているアマンダが箱の中身を言う。
「あーもう、なんで直ぐそういう事を言うの!」
「減るもんじゃにゃいなー」
「コタロウと会ったらよーく言い聞かせてください」
青い顔のマギナさんが平謝りしてくる。
周りから見ると領主を謝らせてる人間に見えるので直ぐに、辞めて貰った。
背後から、出向するから乗ってくれーと船員に言われる。
「それじゃ……手紙の事はお願いします」
「もちろんです、コンタル家全力を尽くして手紙を王都へお届けしますので」
手紙というのは、ナナとノエ宛だ。
変わりないわよという近状報告と、周りの世話。
問題は無いと思うけど万が一を考えて、カー助も残してきている。緊急時にはヘルンやカイン、ディーオなどに連絡するようにと教え込んできた。
出向するぞーと、もう一度大きな声が掛かったので、深くお辞儀をしてマギナさん達と別れた。
この船は大きく客船と貨物船を併用していると聞いた。
なんでも何も無ければ二泊三日で付くらしく、天候もいいしもっと早くつくだろうと、事前に調べてある。
天気は晴れ、絶好の出発だ。
甲板から船内へ入り、指定された窓付きの客室へと向かう。
ベッドが二つあり中々の絶景だ。
お値段なんと金貨二十枚。
「疲れた」
「そうにゃ?」
「こっちも貴族とはいえ、気づかれもあるわよ。コタロウは何かにつけて胸を見てくるのよ。そりゃチラチラみるよりはいいんだけど、いや良くないわね」
「でも、お風呂とかは覗いてこなかったにゃ」
「あー……そういうのは変態のする事だって言ってたよ。お土産に下着渡すのも変態とも思うけど」
変な所で男というか、まぁエロイけど憎めない奴であった。
絶対に彼氏にしたくは無いけど……ってか、もてたいならまず痩せよう。
いやでも、ぽっちゃりが好きな人も居るからそうでもないわね。
って、なんでコタロウの事を考えないといけないのよ。
「あーもうっ! 寝る」
「はいはい」
◇◇◇
目が覚めると窓から月の光が見えた。
日本で見た時より何倍も大きい月が見える、同じ月ではないが月を見ると心が安らぐ。
「やだ、アマンダ起きてたのっ」
「寝る時間でもにゃいからねー」
「なんかごめん」
そうか……良く考えればアマンダは常に側にいてくれるし守ってくれている。
護衛としての仕事はしっかりして……あれ、お酒臭いわね。
「えるんちゃーん、お酒からっぽ」
せっかく、こういう所が大人の女性なのよねと、思ったらこれだ。
でも、それすらも何か嬉しく思う。
「はいはい、酒場へ行きましょう、もちろん出すわよ」
「ありがとーだから、えるんちゃんすきー」
「誰かの物まねをしないっ!」
客室の上は軽い酒場になっており二十四時間いつでも食事が出来る、もちろんその分お金は港で食べる五倍ほどのお値段だ。
私とアマンダは客室を出ると上のフロアへと向かった。
数十人は入れる広さのフロアに、カウンターがあった。
その横では小さいステージがあり、弦楽器を弾いている男性がいる。
私達がカウンターへ行くと、こわもての男性が見知った男の胸倉を掴んでいた。
「払えねえってどういう事だ!」
「ぼ、暴力は行けないでござるよ! 財布をすられたでござる」
「こっちも一品二品なら文句もわねえよ? お前が食ったのは合計十六品と酒が五本。しかも払う人間が来るからと、もう何時間ここにいるんと思っているんだ」
「だから、もうすぐ来るっていっているでござる」
私が百八十度反転した所で、背後から声がかかった。
「おや、そこにいるのは錬金術師のエルン殿ですな、待っていたでござる」
私の背中に周りの視線が突き刺さる。
仕方がなく振り返った。
「おい、確か一等客室のお嬢さんだったよな、コイツと知り合いか?」
「知らない、全然まったく知らない人です。はい」
「酷いでござる、あっそうだ。スケスケのパンティーは着けてござるか? エルン殿の趣味に合うようにと思って奮発したでござる」
「だれが、あんなので喜ぶのよっ趣味じゃないしっ! はっ…………」
「よーし、嬢ちゃん悪いがコイツの代金払ってくれねえか」
言い逃れ出来ないぐらいに反応してしまった。
結局金貨六枚を失った。
◇◇◇
船の酒場で私は酒を飲む、隣に居るアマンダも飲み、なぜかコタロウも飲む。
「なんで船にいるのよ」
「拙者、家に居場所がないでござる」
う、いきなり重い話だ。
「それに、もう直ぐ義姉上殿に子が生まれるでござる。そうなると出来損ないの拙者は家にはお荷物でござる」
「確かに」
「「………………」」
「続けていいわよ?」
「そ、そうでござるな。丁度エルン殿がガーランドに行くと聞いて拙者も新天地に向かったでござるよ」
「で、お金が無いのはなんで?」
「それが本当に盗られたでござる。バーに来て隣に女性がご一緒にと来たでござる。そして飲んでいるうちに眠くなり、気づいたら財布が無かったでござる」
うわーボッタクリバーもびっくりの古典的な方法じゃないの。
騙されるなとは言えないけど。
「そうでござるっ!」
「却下」
「いや、まだ」
「却下」
「何も」
「却下」
コタロウは今度はアマンダへと振り向く。
「アマンダ殿、是非旅に一緒に」
「にゃはー、えるんちゃんがOKださないと無理」
「文無しの人を連れて行くほど、優しくもないわよ」
「わかったでござる、エルン殿は錬金術師と聞いているでござる。コレを譲るのでどうでござるか?」
コタロウは小さい黒い石ころをテーブルに出す。
「何これ?」
私はその石ころを手に取ると眺めながら、お酒を口にいれる。
「賢者の石でござる!」
ブウーーーーーーーーーーっ!
思わず口に入れたお酒を、コタロウの顔へとぶちまけた。
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