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65 旅は道連れ、その相手
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私がナナから説明を受け終わると、待っていたようにガール補佐官が入ってきた。ノックもなしに。
マナーの一つ無くズンズンと入ってくる姿に、蹴りでも入れたいけど地位も名誉もあちらのほうが上なので一歩引く。
手には小振りの木箱を持っており中身は見えない。
私とナナの近くにあるテーブルに置くと、こっちに来い! と呼びつけた。
「これが……銀水晶が入っている箱?」
「もちろんだ!」
私はその箱を持ち上げる、意外に軽く重さは感じない。
「馬鹿物! 不用意に触るなっ!」
「ひゃ」
思わず手を離す。
箱はテーブルに落ちると、反動をつけてテーブルから落ちた。
ガシャンという嫌な音を響かせ、辺りを静かにさせる。
「おまっおまっ!」
「だ、大丈夫! きっと壊れてないわよ、ないわよね……ナナっ」
「わ、わたしに聞かれても」
「ごめん! 本当にごめん! 壊れていたらカミュラーヌ家で買い取るから。いや買い取らせてください」
私はガール補佐官様へ手を合わせ許しを請う。
口をパクパクさせたままのガール補佐官様は、大きく深呼吸をして口を開く。
「まったく本物だったら、ソチの首を跳ねても怒りが収まらぬ所だ」
「え、偽物?」
「当たり前だ、家宝の奴をポンポンと持ってこれるかっ! これはダミーだ、本物はあっちの鞄よ」
先に言え! 心臓が飛び出るかと思ったわよ。
ガール補佐官が出入り口に向き直ると、小さい旅行鞄を持った老人がいる。
身なりからして、どこかの執事、この場にいるガール補佐官の執事でしょうね。
「お前は、あれをもってひっそりと国を出ろ。本物に見せかけた偽物は盛大な護衛をつけて運ぶ」
「なるほど…………狙われるのを防止するってわけね」
「中々頭が回るようだな」
偽物に護衛をつけると、万が一襲われても被害は無い。
まさか本物は私が持っているとは誰も気づかないだろうし。
「今回の任務は王の計らいだ! いいか、絶対に失くすなよ! あと任務が終わったら帰って来なくてもいい。忌々しい錬金術師どもめ……」
「絶対かえりますのでご安心を」
執事の横からヘルン王子の顔が出てきた。
執事は慌てて礼をすると一歩下がる。私もナナも、隣にいるガール補佐官も嫌な顔をしたままであるが頭を下げた。
「僕らに礼儀は今更だ。それよりもエルン、君に話がある」
ちらっとガール補佐官をみると、手でシッシとしてくる、私は犬じゃないんだけどー。
「今行きますわ、ヘルン王子様」
「うわー…………その態度。まぁそれぐらいで怒る王子じゃないからね。ガール補佐官、手配のほうは頼んだよ。
あと錬金術師ナナ君、弟が依頼の事で探してた、もう少しここで待っていてくれ」
それぞれに命令を下すと、私を連れて廊下を歩く。
私は黙ってその後に続くだけ。
時おり兵士が緊張した顔でヘルン王子に敬礼をする所をみると……。
「ちゃらんぽらんでもやっぱり王子なのよね」
「エルン君、聞こえているんだけど」
「……………………空耳と思いますわ」
「今更ネコかぶらなくても、熊の手で一緒に飲んだ仲じゃないか、別に普通でいいよ」
「そうはいってもね…………城の中だから雰囲気が違うというか」
倉庫みたいな部屋に通された。
そこには先ほどみた旅行鞄がある
「はいこれ」
「これって?」
「銀水晶の偽物が入った鞄」
あれ、でも私が持っていくのって本物って、あれ??
本物を私がもって、偽物を護衛。
それで私が偽物あれれ。
「ああ、補佐官の説明と違うって?」
「そう」
「君に本物を持たせたら……何があるかわからないって保険だよ。万が一落として壊したら大変だ」
「どういう意味かしら」
「顔が怖いって。王は思いました、どうせ君の事だろうから報奨金が金貨十枚とかみみっちいって思ってるんじゃないかって、そこで王が公費で旅でもして貰おうととっさに考えた案だよ」
え、案外色々考えてくれてたのね。
確かにみみっちいとは思ったけど、別に顔に出した記憶はないわよ、無いわよね……?
「やーねぇ、そんなみみっちい事考えるわけないじゃないっ!」
「補佐官には君が出発した後に、本当の銀水晶は護衛付きのほうだって知らせておくよ。
今の所知らないのは補佐官本人だけだからね」
ヘルンが、小さく笑い出す。
その顔が邪悪の笑みに見えて一歩引いてしまった。
「失礼、権力や賄賂に汚くても、アレは一応補佐官だからね。
認めたくは無いけど騎士団継続にはまだいて貰わないといけない、たまの嫌がらせぐらい僕もして良いと思うんだ」
あまり、政治的な事には関わりたくない。
だって、一歩間違えたら、可憐で美しい私なんかあっというまに捕らえられちゃうし。
「とは言え護衛はつける」
驚く私に、当然の顔でヘルン王子は言う。
「え。折角の一人旅なのに!?」
「君、仮にも貴族で十六才の女性だよね? 一般庶民や冒険者じゃないんだ護衛もつけないでどうするんだい……」
「十七、十七になったし」
「…………一年しか違わない」
「護衛を連れていたら緊張した仕事になるじゃない」
「一応公務だよ」
だめだ、ヘルン王子は一歩も譲る気はない。
羽も何も伸ばせないじゃないの……。
「わかったわよ。護衛の人は誰? これでカインだったら髪の毛引き抜くわよ」
どうも、おせっかいな王とヘルンは私とカインをくっ付けたいような気がする。
別に嫌いじゃないけど、無口の弟って感じなのよ。
「女性の長旅に男性を選ぶほど愚かじゃない」
「そう、何かごめん」
「僕のサポートをして貰ってるアマンダだ、君も酒場で見た事はあるだろ?」
アマンダ、元冒険者で現在は城勤めの女性騎士。ヘルン王子ともども良く熊の手にいるのは知っている。
けど、特に仲良く話した事はない。
「知ってはいるけどぉ……」
「彼女も中々の酒豪でね、あと、鞄の銀水晶は偽物だけど持って行って貰いたいのはあるから、一応ガーランドの姫に渡して」
それじゃ話は終わりと、言うとさっさと小部屋から出て行った。
私は次に指定された待合室にいくと、偽鞄をもってアマンダさんを待つのであった。
マナーの一つ無くズンズンと入ってくる姿に、蹴りでも入れたいけど地位も名誉もあちらのほうが上なので一歩引く。
手には小振りの木箱を持っており中身は見えない。
私とナナの近くにあるテーブルに置くと、こっちに来い! と呼びつけた。
「これが……銀水晶が入っている箱?」
「もちろんだ!」
私はその箱を持ち上げる、意外に軽く重さは感じない。
「馬鹿物! 不用意に触るなっ!」
「ひゃ」
思わず手を離す。
箱はテーブルに落ちると、反動をつけてテーブルから落ちた。
ガシャンという嫌な音を響かせ、辺りを静かにさせる。
「おまっおまっ!」
「だ、大丈夫! きっと壊れてないわよ、ないわよね……ナナっ」
「わ、わたしに聞かれても」
「ごめん! 本当にごめん! 壊れていたらカミュラーヌ家で買い取るから。いや買い取らせてください」
私はガール補佐官様へ手を合わせ許しを請う。
口をパクパクさせたままのガール補佐官様は、大きく深呼吸をして口を開く。
「まったく本物だったら、ソチの首を跳ねても怒りが収まらぬ所だ」
「え、偽物?」
「当たり前だ、家宝の奴をポンポンと持ってこれるかっ! これはダミーだ、本物はあっちの鞄よ」
先に言え! 心臓が飛び出るかと思ったわよ。
ガール補佐官が出入り口に向き直ると、小さい旅行鞄を持った老人がいる。
身なりからして、どこかの執事、この場にいるガール補佐官の執事でしょうね。
「お前は、あれをもってひっそりと国を出ろ。本物に見せかけた偽物は盛大な護衛をつけて運ぶ」
「なるほど…………狙われるのを防止するってわけね」
「中々頭が回るようだな」
偽物に護衛をつけると、万が一襲われても被害は無い。
まさか本物は私が持っているとは誰も気づかないだろうし。
「今回の任務は王の計らいだ! いいか、絶対に失くすなよ! あと任務が終わったら帰って来なくてもいい。忌々しい錬金術師どもめ……」
「絶対かえりますのでご安心を」
執事の横からヘルン王子の顔が出てきた。
執事は慌てて礼をすると一歩下がる。私もナナも、隣にいるガール補佐官も嫌な顔をしたままであるが頭を下げた。
「僕らに礼儀は今更だ。それよりもエルン、君に話がある」
ちらっとガール補佐官をみると、手でシッシとしてくる、私は犬じゃないんだけどー。
「今行きますわ、ヘルン王子様」
「うわー…………その態度。まぁそれぐらいで怒る王子じゃないからね。ガール補佐官、手配のほうは頼んだよ。
あと錬金術師ナナ君、弟が依頼の事で探してた、もう少しここで待っていてくれ」
それぞれに命令を下すと、私を連れて廊下を歩く。
私は黙ってその後に続くだけ。
時おり兵士が緊張した顔でヘルン王子に敬礼をする所をみると……。
「ちゃらんぽらんでもやっぱり王子なのよね」
「エルン君、聞こえているんだけど」
「……………………空耳と思いますわ」
「今更ネコかぶらなくても、熊の手で一緒に飲んだ仲じゃないか、別に普通でいいよ」
「そうはいってもね…………城の中だから雰囲気が違うというか」
倉庫みたいな部屋に通された。
そこには先ほどみた旅行鞄がある
「はいこれ」
「これって?」
「銀水晶の偽物が入った鞄」
あれ、でも私が持っていくのって本物って、あれ??
本物を私がもって、偽物を護衛。
それで私が偽物あれれ。
「ああ、補佐官の説明と違うって?」
「そう」
「君に本物を持たせたら……何があるかわからないって保険だよ。万が一落として壊したら大変だ」
「どういう意味かしら」
「顔が怖いって。王は思いました、どうせ君の事だろうから報奨金が金貨十枚とかみみっちいって思ってるんじゃないかって、そこで王が公費で旅でもして貰おうととっさに考えた案だよ」
え、案外色々考えてくれてたのね。
確かにみみっちいとは思ったけど、別に顔に出した記憶はないわよ、無いわよね……?
「やーねぇ、そんなみみっちい事考えるわけないじゃないっ!」
「補佐官には君が出発した後に、本当の銀水晶は護衛付きのほうだって知らせておくよ。
今の所知らないのは補佐官本人だけだからね」
ヘルンが、小さく笑い出す。
その顔が邪悪の笑みに見えて一歩引いてしまった。
「失礼、権力や賄賂に汚くても、アレは一応補佐官だからね。
認めたくは無いけど騎士団継続にはまだいて貰わないといけない、たまの嫌がらせぐらい僕もして良いと思うんだ」
あまり、政治的な事には関わりたくない。
だって、一歩間違えたら、可憐で美しい私なんかあっというまに捕らえられちゃうし。
「とは言え護衛はつける」
驚く私に、当然の顔でヘルン王子は言う。
「え。折角の一人旅なのに!?」
「君、仮にも貴族で十六才の女性だよね? 一般庶民や冒険者じゃないんだ護衛もつけないでどうするんだい……」
「十七、十七になったし」
「…………一年しか違わない」
「護衛を連れていたら緊張した仕事になるじゃない」
「一応公務だよ」
だめだ、ヘルン王子は一歩も譲る気はない。
羽も何も伸ばせないじゃないの……。
「わかったわよ。護衛の人は誰? これでカインだったら髪の毛引き抜くわよ」
どうも、おせっかいな王とヘルンは私とカインをくっ付けたいような気がする。
別に嫌いじゃないけど、無口の弟って感じなのよ。
「女性の長旅に男性を選ぶほど愚かじゃない」
「そう、何かごめん」
「僕のサポートをして貰ってるアマンダだ、君も酒場で見た事はあるだろ?」
アマンダ、元冒険者で現在は城勤めの女性騎士。ヘルン王子ともども良く熊の手にいるのは知っている。
けど、特に仲良く話した事はない。
「知ってはいるけどぉ……」
「彼女も中々の酒豪でね、あと、鞄の銀水晶は偽物だけど持って行って貰いたいのはあるから、一応ガーランドの姫に渡して」
それじゃ話は終わりと、言うとさっさと小部屋から出て行った。
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