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56.5 ある男性の日記01 (ショート・ショート
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古い日記帳を一つ手に取った。
これはボクが学生時代に書いた物。あの腐れ縁と出合ってから書いた日記にである。
いやな記憶が段々と……
◇◇◇
ボクは学園の廊下で女性とぶつかった。
天才のボクを転ばすとは…………ふん、身なりからして平民。特別入学者か、ここで怒るほどボクは気が短くない。
「おい、大丈夫か平民」
「いたたた、大丈夫! よかったねーぶつかったのがアタシで、君一生もてなさそうだし女の子触ったの初めてなんじゃない?」
この赤毛女は何を言っているんだ?
理解するまで数秒かかった。
「下らん妄想は辞めて貰おう、ボクの名は――」
「知ってるよ? ディーオ・クライマーでしょ。攻略対称の一人でキザったらしい貴族の少年。親が病気で治すために錬金科に入ったとか、将来の夢は錬金術師の教師になる事っ! あっこれまだ内緒の話だった。ま、またね!」
赤毛の女は言うだけ言うと走っていく。
「おいまてっ!」
なぜボクの名を? いや、それよりも両親の病気はまだ非公開だ。
ボクの後ろに人の気配がした。振り返ると長身の女性が立っている、確かこの人の名前は…………。
「ゴホ、ゴホッ……ディーオ君ね。連金術科の教師をしているエレファント、エレ先生って呼んで頂戴、ゴホ」
口から血がドバーと滝のように出てくる。
思わず身をかわす。血溜りが床に出来ていく、なんなんだこの学園はっ!
◇◇◇
ボクは日記帳を戻して回想を振り切る。
確かに自身の夢である錬金術師になれたのに胃が痛い日が続くのはなぜだ。
これはボクが学生時代に書いた物。あの腐れ縁と出合ってから書いた日記にである。
いやな記憶が段々と……
◇◇◇
ボクは学園の廊下で女性とぶつかった。
天才のボクを転ばすとは…………ふん、身なりからして平民。特別入学者か、ここで怒るほどボクは気が短くない。
「おい、大丈夫か平民」
「いたたた、大丈夫! よかったねーぶつかったのがアタシで、君一生もてなさそうだし女の子触ったの初めてなんじゃない?」
この赤毛女は何を言っているんだ?
理解するまで数秒かかった。
「下らん妄想は辞めて貰おう、ボクの名は――」
「知ってるよ? ディーオ・クライマーでしょ。攻略対称の一人でキザったらしい貴族の少年。親が病気で治すために錬金科に入ったとか、将来の夢は錬金術師の教師になる事っ! あっこれまだ内緒の話だった。ま、またね!」
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口から血がドバーと滝のように出てくる。
思わず身をかわす。血溜りが床に出来ていく、なんなんだこの学園はっ!
◇◇◇
ボクは日記帳を戻して回想を振り切る。
確かに自身の夢である錬金術師になれたのに胃が痛い日が続くのはなぜだ。
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