1 / 209
01 悪役錬金術師令嬢へと転生しました。
しおりを挟む
現在の時刻は午前二時。
私はと言うと下は真っ黒な海で上は星空、そう崖から落ちている最中だ。
何の事かといわれたら、私にもわからない。
可愛い弟のために合格祈願を願えば良く効くという崖で、必死に祈った。
もっとご利益があるように前にある柵を越えたら落ちただけ。
そうそう、なんで深夜かというと飲み会の帰りだったからである。
いやいやいやいやいや、ちょっと待ってよっ!
一気に酔いが醒める。
これじゃ、勝手に自殺しに来た人でしょうがっ。
しかも季節は一月、海に落ちただけでショック死の可能性大。
こんな事なら、お姉ちゃん家でゲームしとくんだったよ……。
お姉ちゃん、ぬいぐるみ集め以外でも、こう見えてもゲームが好きでね、育成ゲームとか、経営ゲームとか、そうそう、十…………いいえ。うん年前、学生時代に初めて買ったのは錬金術のゲームでね。
痛っ!
背中が痛い、水面に強打した。寒い、冷たいっ、水が口にっ。
私およげっ泳げばっおよげ……。
◇◇◇
私の体が突然浮き上がる。
目の前に金髪を濡らした青い瞳の青年が私の顔を覗きこんでいる。
「大丈夫?」
日本語ではない気がするけど、私には伝わる。
「助けに来るのか遅くなってすまないとは思っている。エルン許して欲しい」
エルン。
そう、それが私の名前だ。
信条は楽して暮らす、私は絶対一番だったわよね?
季節は二月ではなくて、四月に入ったばかりで春の風が心地よい。
今日は学園で嫌な事があった日、婚約者のリュートに命令して海へと遊びに来た。
「リュート……?」
リュートは静かに頷く。
金色の濡れた髪を手で無造作整えると、相変わらずのイケメン顔を私へと向けてくる。 そして、このイケメン顔で、心の中では私を殺そうと思っている事。
理由は簡単で、私の我侭な性格についてこれなくなったから、それと別な娘を虐めているのを我慢が出来なくなったからだ。
実際に二年ぐらい後に殺される。
その黒い心を取り除くのが、私の大嫌いな錬金術見習いのナナで、個別ENDでは罪を犯したリュートを十年先ぐらいに妻として支える。
なんで知ってるかと言えばゲーム、錬金術師のナナというゲームをクリアしたから。
まって、頭が混乱してる。
あれ、私って弟の合格祈願で崖から落ちたのよね。
でも、水面に映る姿は、腰まである黒髪で眉間に皺を寄せた細目。
元の姿はこんなに美人ではない。
いや訂正しよう、美人だった。
「エルン?」
「え? ああ……助けてくれてありがとうございます」
「えっ」
イケメンの表情が少し動いた。
何を驚いて……、ああそうね。
普段礼なんて言わなかったもんね。
この記憶って前世……?。
いいえ、お姉ちゃん知ってるよ異世界転生ってやつよね。
でもって、エルンとして過ごした十六年間も忘れては居ない。
さっきから頭が痛いし、濡れた服も気持ち悪い。
「とりあえず浜辺へもどりましょう」
「すまない。そうだな」
気づいたら足はつくし、何でこんな浅瀬で溺れたのかも良くわからない。
体が重く、頭が痛い。
一歩前に進んだところで私の意識は無くなった。
私はと言うと下は真っ黒な海で上は星空、そう崖から落ちている最中だ。
何の事かといわれたら、私にもわからない。
可愛い弟のために合格祈願を願えば良く効くという崖で、必死に祈った。
もっとご利益があるように前にある柵を越えたら落ちただけ。
そうそう、なんで深夜かというと飲み会の帰りだったからである。
いやいやいやいやいや、ちょっと待ってよっ!
一気に酔いが醒める。
これじゃ、勝手に自殺しに来た人でしょうがっ。
しかも季節は一月、海に落ちただけでショック死の可能性大。
こんな事なら、お姉ちゃん家でゲームしとくんだったよ……。
お姉ちゃん、ぬいぐるみ集め以外でも、こう見えてもゲームが好きでね、育成ゲームとか、経営ゲームとか、そうそう、十…………いいえ。うん年前、学生時代に初めて買ったのは錬金術のゲームでね。
痛っ!
背中が痛い、水面に強打した。寒い、冷たいっ、水が口にっ。
私およげっ泳げばっおよげ……。
◇◇◇
私の体が突然浮き上がる。
目の前に金髪を濡らした青い瞳の青年が私の顔を覗きこんでいる。
「大丈夫?」
日本語ではない気がするけど、私には伝わる。
「助けに来るのか遅くなってすまないとは思っている。エルン許して欲しい」
エルン。
そう、それが私の名前だ。
信条は楽して暮らす、私は絶対一番だったわよね?
季節は二月ではなくて、四月に入ったばかりで春の風が心地よい。
今日は学園で嫌な事があった日、婚約者のリュートに命令して海へと遊びに来た。
「リュート……?」
リュートは静かに頷く。
金色の濡れた髪を手で無造作整えると、相変わらずのイケメン顔を私へと向けてくる。 そして、このイケメン顔で、心の中では私を殺そうと思っている事。
理由は簡単で、私の我侭な性格についてこれなくなったから、それと別な娘を虐めているのを我慢が出来なくなったからだ。
実際に二年ぐらい後に殺される。
その黒い心を取り除くのが、私の大嫌いな錬金術見習いのナナで、個別ENDでは罪を犯したリュートを十年先ぐらいに妻として支える。
なんで知ってるかと言えばゲーム、錬金術師のナナというゲームをクリアしたから。
まって、頭が混乱してる。
あれ、私って弟の合格祈願で崖から落ちたのよね。
でも、水面に映る姿は、腰まである黒髪で眉間に皺を寄せた細目。
元の姿はこんなに美人ではない。
いや訂正しよう、美人だった。
「エルン?」
「え? ああ……助けてくれてありがとうございます」
「えっ」
イケメンの表情が少し動いた。
何を驚いて……、ああそうね。
普段礼なんて言わなかったもんね。
この記憶って前世……?。
いいえ、お姉ちゃん知ってるよ異世界転生ってやつよね。
でもって、エルンとして過ごした十六年間も忘れては居ない。
さっきから頭が痛いし、濡れた服も気持ち悪い。
「とりあえず浜辺へもどりましょう」
「すまない。そうだな」
気づいたら足はつくし、何でこんな浅瀬で溺れたのかも良くわからない。
体が重く、頭が痛い。
一歩前に進んだところで私の意識は無くなった。
0
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」
隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。
「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」
三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。
ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。
妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。
本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。
随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
私があなたを好きだったころ
豆狸
恋愛
「……エヴァンジェリン。僕には好きな女性がいる。初恋の人なんだ。学園の三年間だけでいいから、聖花祭は彼女と過ごさせてくれ」
※1/10タグの『婚約解消』を『婚約→白紙撤回』に訂正しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる