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第一生 龍影の賢者 ラウス・テオルア

第7話 これまでの開発と村の発展

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前回スキルチェックをしてから、更に2年の時間が経過した。
かなりざっくりと時間が経過したように感じるかも知れないが、この2年は新しい物は何も作らずひたすら狩りに狩った2年だった。
なぜなら、収納魔法に入れたモノは時間の経過によって劣化しない、腐らないのだ!
それを知ってしまった俺は見事にヒャッハーしてしまい、旨い肉を求め強者の森を徘徊した。
つい先日、リーアから怒られるまで強者の森の奥にある覇者の山の手前まで足を伸ばしていたのである。
それに気づいたリーアに一晩泣きながら説教をされてしまい、しばらくは狩りは控える事にした。
正直、20年分くらいはマルシアの村を賄う事は出来そうなくらい俺は収納魔法に肉を溜め込んでいる。
止められるまで4日か5日に1回のペースで肉祭りを開催してかなりの人数がメタボに悩んでいるらしい。
これ程の肉狩りを行い、森の生態系を危ぶむかも知れないがそこは異世界!もといここがファンタジー!この森の栄養価はあらゆる動植物において恐ろしく高いらしい。
例えばボアという猪のような魔物がいる訳だが、その普通の種類は前にも少し説明したが精々地球の熊、もしくは虎と同じぐらいの大きさで止まるはずである。
この世界ののサイズが地球の熊や虎と同じ大きさな為である。
だが、この強者の森に住むボアは際限なくでかくなる。
しかも成長速度もかなり早くなる上に全体的に種としての能力も上がる。
強者の森の反対にある普通の森に行ったら小さい上に動きが鈍いからかなりの違和感をその時覚えた。
その違和感を解明する為に俺はここ2年強者の森に連日通いつめた。
その結果判明したのが強者の森は、強者が森ではなく、強者を森だと判明した。
他の森まで正確に調査した訳ではないから、いまいち信憑性に欠けるかも知れないが、さっき言ったボアでサイズ違いの同じ種を発見した。
普通の茶色のボアの事をワイルド・ボアという。
対して、強者の森にいる巨大なのボアの事を、ギガント・ボアという。
この2つの種は大きさが違うだけで、体の部位まで全て同じだったのである。
故にこの森に巨大化の秘密があると、子供心にロマンを感じてしまったのが暴走の原因である。
先程説明した通り栄養価が高い為、繁殖もかなり早いペースで行われているようである。
ギガント・ボアの交尾は正直見たくはなかった・・・
そんな感じで強者の森を毎日調べて歩いた2年でほったらかしになってしまったリーアがひどくご立腹で、しばらくは森に行く事が出来なくなってしまった為、ここ最近は新規開発に勤しんでいる。
といっても地球の便利製品を異世界で再現しようとするだけなんだけどな、けどまぁ、一からの開発だから戦争の原因にならないように自重しながら開発しなければならないのだけど。
それでとりあえず作ってみたのが、ソファーとトイレそれにお風呂。
理由は、ソファーはスキルの練習として、トイレは、お風呂は母さんやばあちゃんにリーア女性陣の悩みを聞いたのがきっかけになって、それぞれその様な理由で作ってみた。

まずはソファーだが、これはとりあえず木材を用意して工作魔法で加工して骨組みを作る所から始めた。
骨組みを作ったら今度はクッションを同じように魔法で様々なサイズで作り、背もたれや座椅子の部分にはめる。
その後、手触りのいい布で全体をくるんで、最後はしっかりと縫って出来上がり。
まぁ、ほとんど思いつきで作ったにしてはかなりいい出来だと思う。
作った時の歳は6才だったはず・・・かなり早い段階で作ってみたやつだ。
正直な話、改良の余地はかなりあるだろうがそれはこの世界の職人達に出来れば考えて貰いたい、全てを俺が考えて作っただとからな。

トイレに関して言えば・・・まぁ他に転生したやつがいるかはわからないが、家の中の匂いといえばわかるはずだ・・・
匂いが臭くて堪らなかったのだ!
他の村や町、王都のトイレがどのようなものかは、知らないのだがうちの村は穴を掘ったボットンかただ外でして犬みたく埋めるだけだ。
そのせいでけっこー、いや、かなり臭っていた為、かなりの急ピッチで製作作業に入った。
とりあえずこの辺りの魔物からは魔石が普通に取れるので、それに魔法を込めれるかの実験から着手。
後は魔石に錬成魔法と付与魔法を使い、半永久的に魔石に込められた魔法が使える事を、分析と解析のスキルを使って確認し、後は他のみんなに協力してもらって魔力を込めれば誰でも使える事を確認した後、トイレの製作と各家の工事に着手した。
トイレに使う魔石には最初水が流れるように水の魔法を込めようと思ったんだけど、それはそれで上下水道の工事が必須になってくる為、すぐに完成させる事は難しくなってくるので、浄化槽を作成する事にした。
そして、浄化槽の中にスライムを入れ、魔石に込められた魔法で汚物を浄化し、その他の不純物をスライムに分解してもらう仕組みを作った。
給水の魔道具も開発して排水口も改造し浄化の魔道具を途中につけることで匂いが逆流しないように工夫を施した。
村の畑の傍や少し離れた所に田畑用と家畜用ため池があり、最初はそちらに混ざる事がないように全く関係ない所にため池を一つ作り、浄化した水の成分に解析と分析のスキルを実施した後、問題が無いことを確認した為本格的に村全体に浄化槽の導入を開始した。
その後、現在進行形で上下水道の工事が続いている。
この工事が終われば畑仕事等の作業が更に捗るし、村の清潔感にも一役買うはずだ。

そして、日本人の魂・・・お風呂・・・
魔法によりある程度の身嗜みを整える事は出来るが、それでもやはり物足りない。
それはこの世界の女性なら誰しもが思っていた事で、自前で作ってみた人もいる程だ。
だが、それは覗きにくる男共馬鹿共と熾烈な争いであり、自らの女房を守ろうと旦那は修羅になる。
安全、安心、快適に安らげるお風呂が欲しいとリーアや家族含めて村の女性達みんなから頼まれた為、銭湯と各家にお風呂場を設置する事にした。
銭湯も作った理由は、俺が色々と作った物を買いに来たり、2、3年前に出来た各ギルドの影響がある。
俺が狩りに出るようになったら村に住んでいる人も恐ろしく増えた。
正直、もう村の規模ではなく町と言っていいだろう。
なので、現在マルシアのになるくらいに人口の増加が著しい事を国に報告申請等の手続きしているそうだが連絡手段が手紙しかなく、更に人の手によって運ばれるのでまだまだ時間がかかるようだ。
この人口の増加が上下水道の工事が終わらない理由の一つで問題も色々あるのだが、それは別の機会にしよう。
ギルドは色々と種類があって、当然だが各ギルドで扱っているモノは違う。

まずは、❴商業ギルド❵、文字通りに主に商売をする人の後ろ楯になったり、または違反者等の違法取引を取り締まったり或いは、珍しい商品や品物やの情報を扱ったりする組織だ。
取締りは普通自警団とかがやるモノかもしれないが、備えあれば憂いなしとばかりに多少の戦力を有しているらしい。

次に❴狩猟ギルド❵
主に狩った魔物や採取した薬草類を扱っているギルドだ。
解体についての指導もしており、更に美味しい肉の調理法等の研究もしている。
そのせいか、見た目がゴツいおっちゃんが料理について語ってきた時は目を疑ってしまった、世界は不思議な事で溢れている・・・
買い取った肉等はそのまま商業ギルドに売ったり、或いは狩猟ギルド内にある調理して出したりと意外に、いやかなり器用な組織となっている。

当然、❴農業ギルド❵もある。
こちらでも薬草類を取り扱っているが、こちらはあくまで農家が栽培した物に限る。
野菜系統も栽培しているが、更に家畜等の飼育にも着手しており、牛から乳を絞ったりして商業ギルドに卸したりもしている。
こちらは動植物の生態に対する研究をしており、犬や猫等の動物に対する研究も手掛けている、最近は鳥の卵に着目しているらしい。

今はまだ村に出来ていないが、❴鍛工ギルド❵というのもある。
このギルドは鉱石の製鉄や加工が主に行われている。
農家が使う鍬や鎌、或いは剣に槍など鎧まで手掛けている。
このギルド、服飾や製紙なども手掛けているのだが布を作る技術はかなり高度な為、あまり結果を残せていないらしい。
麻や絹の代わりになる物の材料を探す事に余念がなく、商業ギルドと同じぐらいに情報収集にも余念が無い。
魔法研究にも着手し始めたという噂も、近年ちらほらと出ているらしい。

最後に❴魔導ギルド❵
正式な名前は、母さんやばあちゃんも所属していた魔導研究機関。
このギルドは名前の通り、研究している。
狩りや調理、農業にと全てのギルドに手を貸しながら研究をしているらしい。
ある意味、人材派遣ギルドと言っても過言ではない。
魔法全般を研究しているのは先程言ったが、中でも最近、力を入れて研究しているのが、すなわちであるらしい。
現在、世界には様々な原因不明の病が存在している。
それらの治療法の一つとして魔法で治療する方法を研究開発しようとしているらしい。
一応、ファンタジーらしく万能薬や霊薬の類いもあるらしいが値段云々の前に材料がかなり希少らしく救える患者が恐ろしく少ない為、魔法での治療法を模索しているらしい。
もちろん、義手や義足などの魔道具を作れないかも研究している。

以上の組織がこの村に新しく拠点を作ったり、他の町や都に存在している組織だ。
もちろん想心教の教会も変わらずにある。
一応、月に一回くらいの割合でお祈りには行っている。
とりあえず今日はこの後、村の中を見て回ってからリーアの家に行く予定なので確認を終えたら向かうとしよう。

リーアの家に着いてベル呼び鈴を鳴らすと、リーアのお母さんのキルア・エルジアが家から顔を出した。
「は~い、あら?ラウス君いらっしゃい、今日はどうしたの?」
「こんにちは、キルアおばさん。今日は村長のおじさんと長のおじいちゃんに呼ばれて来たのだけど、二人ともいるかな?」
そう言われたおばさんは首をひねり、
「ん~、書斎の方にいたと思うから案内してあげるから御上がり。」
なんというか、首をひねる動作がそのままリーアと一緒だ、さすがに親子だ。
「お邪魔します。」
そう言って俺はリーアの家に上がった。
「あなた~、お義父さ~ん、ラウス君が来たわよ~」
力が抜けそうな声を出しつつキルアさんは、俺を書斎へ案内した。
「いらっしゃい、ラウス、今日はよろしく頼むよ。」
長のじいちゃん、ロエル・エルジアと村長でリーアのお父さんのリゲル・エルジアが椅子に座りながら書斎で俺を出迎えてくれた。
「こんにちは、おじさん、長のじいちゃん、今日は何か相談があるって言ってたけど、どんな問題が起きたの?」
俺が早速、俺を呼んだ理由を問うと、
「あぁ、実はな、この村の人口が増えたせいで王都の方で水が不足しないか懸念されているんだ。」
言われて俺は納得した。
「確かにこのまま増えると色々と問題になりそうだよね・・・」
「だが、水がなければこちらも生きてはいけない、だからラウス君には魔道具を開発出来ないか聞きたかったから今日は来てもらったのだよ。」
「う~ん、ちょっと色々試さないと答えれないかな、とりあえずすぐには作れないかな。」
「そうか、それでもいいから是非作ってみてくれないかい?」
「わかったよ、出来る限りでやってみる!大きさとかでかくなりそうだったら相談しに来るね!」
それを聞いた二人は安堵した表情で、
「そうか!けどまぁそんなにすぐに問題になる事はないからのゆっくりとやってみておくれ。」
「わかった!じゃあ早速色々試してみるね!じゃあね、おじさん、長のじいちゃん!」
話を聞き終わるや否や俺は走って書斎を飛び出し、最近作った物置小屋に真っ直ぐ走っていき、嬉々として実験を始めた。
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