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決勝編
ハリケーンズ・バム
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“神”と呼ばれる者が口を開いた。
「やあやあ、子国の諸君、優勝おめでとう」
拍手しながら微笑む神。しかし、その姿と動きは人間のそれにしか見えない。
「俺っちの名はヤンセ・ライマン!全ての宇宙を造りし者だ。“機鋼救星ムスメサイア”と“格ゲー転生”、“聖犬伝説”を読んだ皆にはお馴染みだな!何!?まだ読んでない?じゃあエピソードの最後の方にURLを貼っておいてやるから読みとうなれコラ!!」
「何だ?何を言ってやがるんだコイツは……?」
テルは目の前でわけの解らない事を喋り始めたヤンセに初めて畏怖の念を抱く。
「よう、アトラス星野!俺っちはお前のファンなんだぜ?お前が真日プロの2006年島根県くにびきメッセ大会でコスチュームを滞在先のホテルに忘れて急遽ジャージで出た試合、アレには驚いたが大爆笑したぞ」
「何でそんなテレビ放送もしなかった地方巡業の試合を知ってやがる……」
「フフン、言ったろ?俺は全ての宇宙を造った者だ。お前のいた地球もな!」
ヤンセの眼光が鋭くなる。そしてようやく目前の男が、ただ人の姿をしているだけの超次元的存在である事を実感した。
「さて、まずはウスマよ、汝をパントドンの覇者と認定するとともに、副特典として、何か願いを叶えてやろう!何がいい?」
願いを叶えるなどと大それた事を、ましてや副賞などと平然と言ってのけるヤンセに戸惑いつつも、ウスマは口を開いた。
「では……ワシは、『パントドンにおける如何なる国家間の争いの禁止』を願います」
「ほーう、って事は……」
「干支乱勢大武繪も、今回で最後。次回以降は永遠に廃止でございます!」
ウスマの発言に会場内がどよめく。
「待たれよウスマ老!おぬし、正気か!?」
リングサイドで先ほど退場したはずのイルコ女王が吠える。
「無論じゃ。代理戦争とはいえ、争いがこのパントドンを狂わせる!ワシらネズミ達は常に争いの犠牲者だったのだ。これは数千年に及ぶ子国の悲願なんじゃあ!!」
力説するウスマに対し、手を挙げる者がリングサイドに二人増えていた。
「ウスマ老、あなたの考えは解りましたわ。でも、その平和主義を他の十一国が素直に守ると思いますの?」
と、辰国女王アンフィーは魚になったマイが入ったバケツを持ちながら言う。
「そうですぞ!仮に貴国以外の十一国が結託して貴国に攻め入ったらどうするおつもりですかな?」
酉国首相ササミはヒヨコになったリコを抱えながら。
「ああ、それなら心配すんな。おい、ゴーレム達!」
「何でしょう、ヤンセ様」
ジャガー・ハトリ、カッツェ・シバタ、ブルーソックス・ウミノの三体は揃ってヤンセの側に侍う。
「こいつら“護隷武”は調和と平定を目的にこさえた存在だ。故に大会の審判を任せてきた。だが、これからの任務はパントドンにおいて戦争を仕掛けた国と応えた国に対して実力を行使し止めさせる“喧嘩両成敗”の役目を負わせる。その気になればこいつら1体で国一つ簡単に滅ぼせるからな!」
ヤンセはさらりと恐ろしい事を言ってのけると同時に、何千年と続いたとされる伝統行事にして国家間の取り決めをすんなりと終わらせる。地球で言えばオリンピックを終わらせるようなものである。
「さて、お次は星野輝臣。お前を元の世界に生き返らせる約束だったな」
ヤンセがテルに向かって右手をかざし何らかの不思議パワーを発動させようとしたその時だった。
「待ってくれや、神さんよ」
「何だ?というか俺っちの事はヤンセでいいぜ」
テルは続ける。
「ヤンセ、あんたは何だって出来る力があるみてえだな。じゃあ、俺だけでなく12人の干支乱勢全員を元の世界に生き返らせてくれよ」
───────────────────────
※本エピソードに登場したヤンセというキャラクターですが、筆者の別作品『機鋼救星ムスメサイア』等複数作品に跨いで登場するキャラクターです。
気になった方は詳細はそれらの作品を参照して下さい。
機鋼救世ムスメサイア
https://kakuyomu.jp/works/16816700429577434741
聖犬伝説(ひじりいぬレジェンズ)
https://kakuyomu.jp/works/16817330647531283486
人類最強格闘家、格ゲー最弱キャラに転生!?天才ゲーマー女子と一緒に最強を目指します! https://kakuyomu.jp/works/16817330659231403629
「やあやあ、子国の諸君、優勝おめでとう」
拍手しながら微笑む神。しかし、その姿と動きは人間のそれにしか見えない。
「俺っちの名はヤンセ・ライマン!全ての宇宙を造りし者だ。“機鋼救星ムスメサイア”と“格ゲー転生”、“聖犬伝説”を読んだ皆にはお馴染みだな!何!?まだ読んでない?じゃあエピソードの最後の方にURLを貼っておいてやるから読みとうなれコラ!!」
「何だ?何を言ってやがるんだコイツは……?」
テルは目の前でわけの解らない事を喋り始めたヤンセに初めて畏怖の念を抱く。
「よう、アトラス星野!俺っちはお前のファンなんだぜ?お前が真日プロの2006年島根県くにびきメッセ大会でコスチュームを滞在先のホテルに忘れて急遽ジャージで出た試合、アレには驚いたが大爆笑したぞ」
「何でそんなテレビ放送もしなかった地方巡業の試合を知ってやがる……」
「フフン、言ったろ?俺は全ての宇宙を造った者だ。お前のいた地球もな!」
ヤンセの眼光が鋭くなる。そしてようやく目前の男が、ただ人の姿をしているだけの超次元的存在である事を実感した。
「さて、まずはウスマよ、汝をパントドンの覇者と認定するとともに、副特典として、何か願いを叶えてやろう!何がいい?」
願いを叶えるなどと大それた事を、ましてや副賞などと平然と言ってのけるヤンセに戸惑いつつも、ウスマは口を開いた。
「では……ワシは、『パントドンにおける如何なる国家間の争いの禁止』を願います」
「ほーう、って事は……」
「干支乱勢大武繪も、今回で最後。次回以降は永遠に廃止でございます!」
ウスマの発言に会場内がどよめく。
「待たれよウスマ老!おぬし、正気か!?」
リングサイドで先ほど退場したはずのイルコ女王が吠える。
「無論じゃ。代理戦争とはいえ、争いがこのパントドンを狂わせる!ワシらネズミ達は常に争いの犠牲者だったのだ。これは数千年に及ぶ子国の悲願なんじゃあ!!」
力説するウスマに対し、手を挙げる者がリングサイドに二人増えていた。
「ウスマ老、あなたの考えは解りましたわ。でも、その平和主義を他の十一国が素直に守ると思いますの?」
と、辰国女王アンフィーは魚になったマイが入ったバケツを持ちながら言う。
「そうですぞ!仮に貴国以外の十一国が結託して貴国に攻め入ったらどうするおつもりですかな?」
酉国首相ササミはヒヨコになったリコを抱えながら。
「ああ、それなら心配すんな。おい、ゴーレム達!」
「何でしょう、ヤンセ様」
ジャガー・ハトリ、カッツェ・シバタ、ブルーソックス・ウミノの三体は揃ってヤンセの側に侍う。
「こいつら“護隷武”は調和と平定を目的にこさえた存在だ。故に大会の審判を任せてきた。だが、これからの任務はパントドンにおいて戦争を仕掛けた国と応えた国に対して実力を行使し止めさせる“喧嘩両成敗”の役目を負わせる。その気になればこいつら1体で国一つ簡単に滅ぼせるからな!」
ヤンセはさらりと恐ろしい事を言ってのけると同時に、何千年と続いたとされる伝統行事にして国家間の取り決めをすんなりと終わらせる。地球で言えばオリンピックを終わらせるようなものである。
「さて、お次は星野輝臣。お前を元の世界に生き返らせる約束だったな」
ヤンセがテルに向かって右手をかざし何らかの不思議パワーを発動させようとしたその時だった。
「待ってくれや、神さんよ」
「何だ?というか俺っちの事はヤンセでいいぜ」
テルは続ける。
「ヤンセ、あんたは何だって出来る力があるみてえだな。じゃあ、俺だけでなく12人の干支乱勢全員を元の世界に生き返らせてくれよ」
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※本エピソードに登場したヤンセというキャラクターですが、筆者の別作品『機鋼救星ムスメサイア』等複数作品に跨いで登場するキャラクターです。
気になった方は詳細はそれらの作品を参照して下さい。
機鋼救世ムスメサイア
https://kakuyomu.jp/works/16816700429577434741
聖犬伝説(ひじりいぬレジェンズ)
https://kakuyomu.jp/works/16817330647531283486
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