干支乱勢(えとらんぜ)~12人のおじさん格闘家、ケモミミ少女に異世界転生しバトルトーナメントに挑みます!~

たかはた睦

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大会編

Holy war

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─『神域』

 パントドンの中心部に位置する小さな孤島。そこは12国のいずれにも属さず、干支乱大武檜をパントドンの支配権を手にした国ですら手出し出来ぬ場所である。 そして、彼の島に、この世界を創りし神が降臨する神殿『殺試合夢 (ころしあむ)』 が在る。それが干支乱勢大武檜の舞台なのだ。


「でけえな。東京ドームよりでかいぞ」

 会場の外から殺試合夢を見上げて、テルは言った。

「トーキョードーム……お主が死んだ場所の名じゃな?」



 テルの横に付き添うウスマが言う。その隣にはモルモの姿もある。試合に臨む干支乱勢はセコンドを2名まで帯同可能となっており、子ゲッシの国からは長老のウスマとその側近であるモルモが赴く事となったのだ。

「ああ。 あそこで俺はレスラー人生に輝きを取り戻す為に闘ったが、人生そのものを失った……だが、今こうして失った人生を取り戻すチャンスを掴んだ!」

 拳を握り、 目に闘志を燃やすテル。

「テルさん……あなたには子国の未来も懸かっています。必ず優勝してくださいね?」

 モルモに対し、テルは答える。

「その昔、俺の憧れた偉大なレスラーはこう言ったよ。『元気があれば、何でも出来る』ってな」

 そして、その男─アントニウス稲城はこうも言った。

「戦う前から負ける事を考える奴がいるかバカヤロー!」

 突然受け口になりながら叫んだテルに、ウスマとモルモは驚く。

「言葉の意味は深く解らんが、とにかく自信があるという事じゃな?」

 ウスマの問いに、テルはただ一言で答える。

「ああ、任しとけ!一番強ぇえのは、プロレスなんだ!!」

 そして、3人のネズミ達は殺試合夢に足を踏み入れた。最弱の獣である鼠は、最強の獣を決める闘いに、今こそ挑む。





 殺試合夢の中央には、対角線までが4メートル程ある六角形の舞台と、各角に固い金属、そして柱と柱を3本の縄で結んだものが堂々と置かれていた。大武檜の試合場『 輪愚(りんぐ)』である。そのリングの中央にメガネを掛け、タキシードを着たカエルの獣人が拡声器マイクを構えて立っている。



「御来場の皆様、お待たせ致しました。これより試合に先立ちましてトーナメントを戦い抜く、12名の干支乱勢を紹介します……全干支乱勢、入場ッッ!!」



 殺試合夢の観客席を埋め尽くす獣人達の歓声が響いた。
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