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番外編2
十四夜月-5 晴斗
しおりを挟むつい調子に乗って意識が飛ぶほど激しくしてしまったことを後悔しながら、晴斗は横たわった恋人の髪を撫で続けていた。
あと何度、こうしてふたりで記念日を迎えることができるのだろう。
ふとそんなことを考えてしまい、嫌な思考を追い払おうと視線を窓の外に移す。
夜空に浮かぶ三日月。いつだったか、月と地球の関係をふたりに当てはめてみたことがあったな、と思い出す。恋人は照れたように笑って、なにも言うことはなかったけれど。
「ハルトさん……?」
その声に顔を戻すと、うっすらと目を開けた晶と目が合った。
月明かりに浮かぶしろい肌に指を這わせると、愛らしいため息が漏れる。
「お前は……ほんとうに、綺麗だね」
ぽつりとつぶやくと、驚いた表情の晶が手を伸ばしてきた。
そっと頬に触れる指先が、ひんやりとつめたい。
「ハルトさんのほうが、ずっと」
温めるようにその手を取って、続く言葉を塞ぐようにくちづけた。
起き抜けの舌たらずな声も、ふわふわとした愛らしい姿も、知っているのは僕だけでいい。
うつくしい君を見守る存在は、ずっと僕だけでいいから。
体温と一緒にこの秘めた想いも伝わるようにと、繋いだ手にぎゅっとちからを込める。
「ずっと、傍にいてあげるから……おやすみ、」
額にキスを落とせば、ふんわりとやわらかな笑みを浮かべる愛しいひと。
そっと抱きしめて目を閉じると、まぶたの裏に綺麗な青が広がった。
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