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消えた友人
◆真相
しおりを挟む「……いやあ、無事解決して良かったですねえ。一時はどうなることかと思いましたけど」
結局、教頭が闘志を失意した後すぐに警察が呼ばれ、彼は連行されていった。監禁されていた生徒達も、時政の言っていた通り、もう使われていない、取り壊し予定の体育館倉庫の中から発見され、無事保護された。全身打撲で酷い状態だったが、命に別状はないという。不幸中の幸いだ。
そして、何故校長がタイミング良くあの場に現れたのかというと、なんと時政が事前に接点を作り、始終携帯電話を繋いでいたのだという。……つまり、時政の推理も、僕の情けない泣き言も、全て筒抜けだった訳だ。
……明日からどんな顔して校長先生に会えばいいんだ……。
ちなみにその僕達はというと、何故か解決した現在もこっそりと校舎内に隠れている。何でも、警察に捕まると事情聴取やら何やらで物凄く面倒な事態になってしまうらしい。
「はああ。疲れた。あの、いつまで隠れてるんですか? 僕、早く帰って寝たいんですけど」
「……おい」
「もう、一週間分くらい運動した気分。絶対寿命縮んでるよこれ」
「……おい。お前本気で忘れてないか?」
「は?」
「佐竹」
…………あ。
◆◆◆
「いやあ、ほんっとーに佐竹は可哀想なやつだなあ。こんな厄介事に巻き込まれるし」
「…………」
「挙げ句の果てには、友人に存在を忘れられるし?」
「…………」
「しかも本気で。可哀想だなあー。ああ、可哀想だ」
「……っもういいでしょうそれは! ちゃんと反省してますよッ!」
ううう……っ
僕はさっきからずっとこんな調子でからかわれている。
もういいじゃないかその話はああ……!
ニヤニヤとバカにした笑みを浮かべる時政が、今はひどく憎らしい。自業自得ですけれど!
「……あ、そういえば、子供の噂って結局なん――――――……あ、れ?」
***
「……こっちか」
泣き声が聞こえる。
たすけて、たすけて、と溢すか細い少女の声が。
恐らく聞こえているのは俺だけだ。
それが、俺の“チカラ”――忌々しい、呪いだ。
早く、早く、伝えなければ。
もう大丈夫だと。泣く必要はないのだと。
彼女は一人で訴え続けていた。
たすけて。――彼を、たすけて、と。
「――ああ、助けてやる」
だから、……もう泣くな。
「……ん?」
ふと気が付いた。
「…………あのガキどこいった」
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