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消えた友人
陸
しおりを挟む「な、っにを言っている! 俺が押しただあ!? どこにそんな証拠があるんだ!」
「証拠ならあるさ。その現場を目撃したやつがいる。――佐竹がな」
ハッとした。
そっか……! 確か佐竹は女の子を助けようとして……
「ックソ! やっぱり見てやがったかあのガキ! もっと早く口封じ――」
「……てのは嘘で」
「「っ!?」」
「今あんたが口を滑らした、――それが証拠だ」
(っうわあ……)
ニヤリ、としてやったり顔で笑う時政は、ゾクゾクする程格好良かった。
「今みたいに、佐竹に見られた事を危惧したあんたは、口封じのためにもなんとか佐竹を問い質そうとした。ま、実際は残念な事に佐竹は助けようとするのに必死で、あんたの事なんか一ミリも見ちゃいなかったがな」
時政の語りは、殆んどが断定されたものだ。それは、押し付けではなく、ただただ『事実』だから。
「しかし、中々タイミングが掴めない。そんなある時、こんな話が飛び込んできた。“佐竹が夜の学校に忍び込むらしい”、てな。これはまたとないチャンスだ。浮かれたあんたは早速実行に移した。大方、先日捕まえた不良共と同じように気絶させて、目が覚めたところを脅す気だったんだろう。が、計画は大失敗。なぜかって? ――佐竹が消えちまったからだよ。自分が手を下す前にな」
淡々と告げられる温度のない言葉に頭がクラクラする。
じゃあ、結局佐竹はどこに?
「……おい、なんでこいつが佐竹が忍び込む事を知ったかわかるか?」
「えっ!? あ、えと、誰かから聞いたから……?」
混乱しているところに急に声を掛けられ、思わずビクリと身体を震わせた。
……あ、良かった。あの冷たい視線じゃない。
「そう。では誰から聞いたのか。……最後のヒントだ。その溺れ死んだ少女の名は―――――」
「「島命」」
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