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消えた友人
漆
しおりを挟む「僕は、島先生が怪しいと思います」
「何故?」
「だって、明らかに様子がおかしかったし……」
それにあの時島はなんと言った?
――『余計な詮索すんな』
「……島先生は、僕が色々調べているのを知っていました」
何故知っている? 僕を監視していた? 何故?
考えれば考える程、島への不信感が明確な形になっていく。
「……なるほどな。じゃあ次、お前結局佐竹の事この担任に話せてないよな?」
「……あ。」
忘れてた。
しまった、と頬を引くつかせる僕に、何故か時政は笑みを浮かべた。
「いや、それでいい。ナイスだ」
ニヤリとさらに笑みを深める時政。
……いやいや、だから不気味ですって。
「次、噂の件だが、この男の噂が出始めたのが一週間くらい前なんだよな」
「あ、はい。らしいです」
後藤から話を聞いた後、その他の聞き込みの内にあった筈だ。
「んで、男だけじゃなく子供が出るという噂もあった……」
「あ、それなんですけど、たぶん忍び込んだ生徒の事だと思います」
多分だけど。
「……ああ。俺もそう思う、が、……………、」
何か思うところがあるのか、難しい顔をして考え込む時政。
余計な事言っちゃったかな……。
素人の意見なんて当てにならないだろう。意味もなく混乱させてしまったかも知れない。
「あの……!」
「……なあ、この佐竹が見た、つう事故だが、一ヶ月くらい前のやつだよな」
「え、あ、はい。たぶん」
今は五月中旬で、そして後藤さんの話では事故があったのが四月下旬頃だった筈だから、きっとそのくらいだ。一ヶ月未満、かな。
「子供、事故、酒癖、男、噂、失踪……。なんとなく繋がってきたがどうも動機が見えない。……なあ、この失踪した先輩たちだが、どんな奴等だった?」
眉根を寄せたまま唸る時政だが、その言葉に僕は驚愕した。
動機――て、もう犯人わかってるの!?
「え、えっと、確か有名な不良グループの人らだったと思います。先生方とかにもよく反抗したり……」
と、言うのも、実は以前教頭へ罵倒していたというのがこの不良達なのだ。
そこまで話して、ようやく時政は顔を上げた。
「――くくっ、なぁるほどな。繋がった。でも証拠が足んねぇな。レコーダーだけじゃ心許ねぇし……。小型ビデオでも持たせときゃ良かったか」
そう呟いた時政の言葉に僕はハッとする。
繋がった、て……! いや、その前に――
「ああ! ビデオ!」
「あ?」
「すいません! 実は佐竹のやつビデオ録ってて、僕それ拾ったんですけど、すっかり忘れてました!」
「おまっ、それを早く言え馬鹿! 今どこにある!?」
「家に……」
「ッ早く持ってこおおい!!」
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