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第1話 メドゥーサ
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私の名前は藤ヶ谷虎夏、16歳ピチピチの女子高生。
友達からはガヤちゃんと呼ばれている。でも、結婚して苗字が変わってしまえばこの呼び名も聞き納めになってしまう。でも、同じ苗字の人と結婚したり、あるいは婿養子に来てもらえばこの呼び名を維持できるということか。生涯独身宣言という選択肢も……いや、そこまでしてガヤという愛称を守る必要もないな。無駄なことを考えて時間を潰すよりも有意義に妄想をしなければいけない。
今日は休日だったので、私は友達とファミリーレストランで待ち合わせをしていた。
私の友達は決して時間にルーズではないので、中に入り先に注文して待つことにした。注文した内容はオムライスとクリームソーダー。
注文後、私は店内を見渡しながら時間を潰していた。すると、横の席に座っている一人の男性が時折こちらを見ている気がした。まさか……私のこと好きなんじゃないの。少し胸の鼓動が早くなるのを感じ、私もその男性の方を意識しながらチラチラと見ていると、男性は立ち上がり、私に話しかけてきた。
「君一人? 」
「え? なんですか突然。私は今友達と待ち合わせしてて」
「その待ち合わせキャンセルして僕と今から付き合わない? 」
男性にぐっと顔を近づけられ、私は男性の息づかいを感じ、心臓が今にも飛び出しそうなほどドキドキさせながらも真っ直ぐ目を見つめながら答える。
「でも」
「でもじゃない」
あまりにも突然だった。出会ったばかりにも関わらず、名前も知らない男性に私は唇を奪われてしまった。私、まだ誰ともキスしたこと無かったのに。
「まだ無理? 」
「行く」
私は席を立ち、男性と共に……。
「どこへ? 」
「は? 」
「いや、ガヤ。あんたがどこに行くのかって聞いてるのよ」
「あ~私の友達じゃない、遅かったね」
「私の名前は友達じゃないわよ。村主十佳」
あ~妄想から引き戻されてきた。そうね、私の友達で名前は村主十佳。忘れかけてたわ~待ち合わせしてたこと。
「ガヤ、また妄想してたの? 」
「妄想は生き甲斐、趣味、人生」
自信満々に答えただけなのに、十佳よ何でそんなに冷めた視線で私を見るかな~。貴様はひょっとしてギリシャ神話に登場する怪物メドゥーサか何かか? 私を石化にでもしようとしているのか。
禍々しい空気が十佳の背後から流れてきた。よく見て見ると頭部から無数のヘビがにょきにょきと姿を現し始めている。やはりメドゥーサであったか十佳よ。だが、メドゥーサの目を見なければ石化になる事は無いので大丈夫。
私は鞄から手鏡を取り出し、メドゥーサに向けた。石化返しだ~。
「ガヤ、悪ふざけはやめて。クリームソーダ―とオムライスが来たわよ」
「……」
そうかメドゥーサには石化返しが効かないのか? 無念。
「オムライス冷めるぞ。クリームソーダ―のアイス溶けるから食ってやろか? 」
おお~そうか。私はオムライスとクリームソーダ―を注文していたことを忘れていたわ。人の注文したクリームソーダ―のアイスを食べようとはやっぱり悪魔ね十佳。
私はデミグラスソースがかけられたオムライスを口一杯に頬張る。中には鶏肉が入っている。欲を言えばベーコンが良かった。それにグリーンピースが入ってるじゃないか、こちらに関しては入れて欲しくなかった。グリーンピースって苦手なんだよね。
その後、私は十佳と楽しく会話をして時間を費やしていった。
十佳がトイレに行った際に、私は悪戯で十佳の飲み物グラスに先ほど残しておいたグリーンピースを数個ほど入れてみた。
「いや~お待たせ」
何も知らない十佳は飲み物を飲む。適度な茹で加減だったグリーンピースはストローの中で引っかかることなく飲み物と同時に十佳の口の中へ駆け抜けて行く。
「ん? 」
十佳が気づいた時には既に喉を越えてグリーンピースを飲みこんでしまったようだ。
「アハハ、グリーンピースが入れてあったんだよ。タピオカみたいで最高でしょ」
「……ガヤ」
「アハハ、ハハ? 」
禍々しい空気と冷気が十佳の背後から流れてきた。これは私の妄想じゃないんですけど...。
十佳の頭部には無数のヘビが見える。見たくないものが見えてしまった。
「冗談なんだから……さ? 」
最後に私が見た十佳の血眼の視線はまさに怪物メドゥーサそのものだった。
「私は、私は、死ぬほどグリーンピースが嫌いなんだよー」
ピシッ。メドゥーサを怒らせてしまった結果、私は石化しましたとさ。
友達からはガヤちゃんと呼ばれている。でも、結婚して苗字が変わってしまえばこの呼び名も聞き納めになってしまう。でも、同じ苗字の人と結婚したり、あるいは婿養子に来てもらえばこの呼び名を維持できるということか。生涯独身宣言という選択肢も……いや、そこまでしてガヤという愛称を守る必要もないな。無駄なことを考えて時間を潰すよりも有意義に妄想をしなければいけない。
今日は休日だったので、私は友達とファミリーレストランで待ち合わせをしていた。
私の友達は決して時間にルーズではないので、中に入り先に注文して待つことにした。注文した内容はオムライスとクリームソーダー。
注文後、私は店内を見渡しながら時間を潰していた。すると、横の席に座っている一人の男性が時折こちらを見ている気がした。まさか……私のこと好きなんじゃないの。少し胸の鼓動が早くなるのを感じ、私もその男性の方を意識しながらチラチラと見ていると、男性は立ち上がり、私に話しかけてきた。
「君一人? 」
「え? なんですか突然。私は今友達と待ち合わせしてて」
「その待ち合わせキャンセルして僕と今から付き合わない? 」
男性にぐっと顔を近づけられ、私は男性の息づかいを感じ、心臓が今にも飛び出しそうなほどドキドキさせながらも真っ直ぐ目を見つめながら答える。
「でも」
「でもじゃない」
あまりにも突然だった。出会ったばかりにも関わらず、名前も知らない男性に私は唇を奪われてしまった。私、まだ誰ともキスしたこと無かったのに。
「まだ無理? 」
「行く」
私は席を立ち、男性と共に……。
「どこへ? 」
「は? 」
「いや、ガヤ。あんたがどこに行くのかって聞いてるのよ」
「あ~私の友達じゃない、遅かったね」
「私の名前は友達じゃないわよ。村主十佳」
あ~妄想から引き戻されてきた。そうね、私の友達で名前は村主十佳。忘れかけてたわ~待ち合わせしてたこと。
「ガヤ、また妄想してたの? 」
「妄想は生き甲斐、趣味、人生」
自信満々に答えただけなのに、十佳よ何でそんなに冷めた視線で私を見るかな~。貴様はひょっとしてギリシャ神話に登場する怪物メドゥーサか何かか? 私を石化にでもしようとしているのか。
禍々しい空気が十佳の背後から流れてきた。よく見て見ると頭部から無数のヘビがにょきにょきと姿を現し始めている。やはりメドゥーサであったか十佳よ。だが、メドゥーサの目を見なければ石化になる事は無いので大丈夫。
私は鞄から手鏡を取り出し、メドゥーサに向けた。石化返しだ~。
「ガヤ、悪ふざけはやめて。クリームソーダ―とオムライスが来たわよ」
「……」
そうかメドゥーサには石化返しが効かないのか? 無念。
「オムライス冷めるぞ。クリームソーダ―のアイス溶けるから食ってやろか? 」
おお~そうか。私はオムライスとクリームソーダ―を注文していたことを忘れていたわ。人の注文したクリームソーダ―のアイスを食べようとはやっぱり悪魔ね十佳。
私はデミグラスソースがかけられたオムライスを口一杯に頬張る。中には鶏肉が入っている。欲を言えばベーコンが良かった。それにグリーンピースが入ってるじゃないか、こちらに関しては入れて欲しくなかった。グリーンピースって苦手なんだよね。
その後、私は十佳と楽しく会話をして時間を費やしていった。
十佳がトイレに行った際に、私は悪戯で十佳の飲み物グラスに先ほど残しておいたグリーンピースを数個ほど入れてみた。
「いや~お待たせ」
何も知らない十佳は飲み物を飲む。適度な茹で加減だったグリーンピースはストローの中で引っかかることなく飲み物と同時に十佳の口の中へ駆け抜けて行く。
「ん? 」
十佳が気づいた時には既に喉を越えてグリーンピースを飲みこんでしまったようだ。
「アハハ、グリーンピースが入れてあったんだよ。タピオカみたいで最高でしょ」
「……ガヤ」
「アハハ、ハハ? 」
禍々しい空気と冷気が十佳の背後から流れてきた。これは私の妄想じゃないんですけど...。
十佳の頭部には無数のヘビが見える。見たくないものが見えてしまった。
「冗談なんだから……さ? 」
最後に私が見た十佳の血眼の視線はまさに怪物メドゥーサそのものだった。
「私は、私は、死ぬほどグリーンピースが嫌いなんだよー」
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