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第4話 溢れ出るよ治癒の水!
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前日はトラウマになりかねないような経験をした。おかげで、あいつのいる学校に行くのかと思うだけで憂鬱だ。
朝食後、私はいつも通り家を出る。
学校に着けばソナタさんと顔を合わすだろうから、登下校中が唯一心が落ち着く時間かもしれない。
途中、コンビニでミルク増し増しコーヒー牛乳を買って、喉を潤しながら学校に向かう。歩道橋の階段を数段ほど上がった所で妊婦さんらしき人がいた。両手に荷物を持ちながら階段を上がる姿は危なっかしく見える。
荷物を持ってあげたり、サポートしてあげた方が安全に階段を上り下りできるだろうけど……以前も私はこのような場面に遭遇したことがある。その時に私は勇気をもって「手伝いましょうか」と言ったら、相手の人は私を睨みつけながら「余計なお世話」と、断ってきた。それからは知らない人に対して話しかけたり、助けることに臆病になった。
私は横目で妊婦さんを気にしながらも、階段を上がった。
歩道橋の真ん中辺りまで来ると、宇由高校の制服を着た女子生徒が自動車が行き交う道路を見ている。姿を見た瞬間にソナタさんで間違いないと判断できた……学校ではない所で遭遇しただけで最低な一日となった。
無視しても気付いているだろうから、下手に無視をするよりも先に声を掛ける、これがソナタさんへの対応だ。
「おはよう。ソナタさんもここの歩道橋を渡るんだね」
「おはようございます。私は今、心が溶けています」
「溶ける? 遅刻するから行こ」
「津賀子さんは薄情ですね。私が溶けているというのに……それにしても津賀子さん、純粋な小学一年生の頃とは変わってしまったのですね」
「いや、変わらない人の方が珍しくない」
小学一年生の時のまま純粋に成長できる人間を見つける方が難しいのではないだろうかと私は思う。良いこともあれば嫌なこともいっぱい経験しながら成長するのだから仕方ないのでは。
「もう平気です。津賀子さんは昔から薄情な人間でしたね」
昔から薄情な人間って、文句を言いたいが気分が乗らないのでスルーしてあげるわ。
「津賀子さん。右手薬指のところ切ってますね、血が出てますよ」
「確かに切ってる、制服とかに血が付いてないかな」
「まずは止血です」
「ちょっとだし、ほぼ止まってるから」
「いいえ、津賀子さん。傷口を消毒しなければいけません」
「そんな大袈裟な、お節介過ぎは嫌われるよ」
「ダメです津賀子さん。お節介な行動かもしれませんが、万が一それが原因で重大な事に繋がってしまうようなら、お節介者と言われても助けたいと私は思います」
なんて言葉を返したらいいのか迷う。ソナタさんとは出会ってからう〇ち関連の展開ばかりで、真面目なことを言われると逆になんて言ったらいいのか難しい。
「津賀子さん。一度の後悔は一生の後悔、です」
「……」
傷口の消毒から話の流れが変わっている気がするけど、私は静かに彼女の言葉に耳を傾けていた。
「今ここで私が津賀子さんの怪我を見て見ぬふりをしたことにより、学校で津賀子さんがう〇ちに触れる。そして薬指から細菌が侵入してしまい死亡してしまうなんてことになれば……私は悔やんでも悔やみきれないです。あの時、素早い対処をして消毒して、絆創膏をしてあげていれば助かったんだから、と」
例えにう〇ちを使用してきたところ、嫌だ。
「些細なことでも心に迷いを生むようなら、後悔しない選択をしてくださいね津賀子さん」
ソナタさんの言葉が私の心に響くなんて思いもしなかった。私、なにに怯えていたんだろう。後悔したくない……そう考えたのなら。
「ソナタさん。ごめん、お節介過ぎるなんて言って。私、行ってくる」
「津賀子さんは受け入れるのが早いので助かります。私のことは構いません、それよりも薬指を見せてください消毒なんてすぐ終わります」
私は薬指を見せる。ソナタさんは真剣な表情で、自らのハンカチで私の薬指の汚れを拭いてくれた。
「怪我に効果があるのは唾液です」
「へ?」
そう言ってソナタさんは私の怪我をしたところに自らの唾液を垂らしてきた。
いつ終わりを迎えるか分からない生温かい唾液が私の怪我した部分を覆い続ける……永遠に唾液を垂らされる拷問。ソナタさんの唾液が無限に溢れてくれるおかげで私も段々と慣れ……慣れるかい!
「逆に細菌が入るだろうが」
「津賀子さん、絆創膏が」
「いらない。私は早く妊婦さんの所に行きたいんだ」
「せめてこの消毒液を」
ちゃんとした消毒液を受け取り、私は妊婦さんのもとへ走った。
ゆっくり階段を上がる妊婦さんに駆け寄り、私は勇気をもって声をかけた。
「あの、荷物持ちましょうか?」
「あら、ありがとう。お友達は……いいえ、お願いしてもいいかしら」
「はい」
モヤっとした気持ちが一瞬で晴れる瞬間だった。
歩道橋を渡りきった後で気づいたけど、ソナタさんがいなかった。
別に待っていて欲しいとかではないけど不思議な感じだった。なんか私のためにこの場所にいたってことはないよね……それでも学校に着いたらソナタさんに、ありがとうとって伝えよう。
朝食後、私はいつも通り家を出る。
学校に着けばソナタさんと顔を合わすだろうから、登下校中が唯一心が落ち着く時間かもしれない。
途中、コンビニでミルク増し増しコーヒー牛乳を買って、喉を潤しながら学校に向かう。歩道橋の階段を数段ほど上がった所で妊婦さんらしき人がいた。両手に荷物を持ちながら階段を上がる姿は危なっかしく見える。
荷物を持ってあげたり、サポートしてあげた方が安全に階段を上り下りできるだろうけど……以前も私はこのような場面に遭遇したことがある。その時に私は勇気をもって「手伝いましょうか」と言ったら、相手の人は私を睨みつけながら「余計なお世話」と、断ってきた。それからは知らない人に対して話しかけたり、助けることに臆病になった。
私は横目で妊婦さんを気にしながらも、階段を上がった。
歩道橋の真ん中辺りまで来ると、宇由高校の制服を着た女子生徒が自動車が行き交う道路を見ている。姿を見た瞬間にソナタさんで間違いないと判断できた……学校ではない所で遭遇しただけで最低な一日となった。
無視しても気付いているだろうから、下手に無視をするよりも先に声を掛ける、これがソナタさんへの対応だ。
「おはよう。ソナタさんもここの歩道橋を渡るんだね」
「おはようございます。私は今、心が溶けています」
「溶ける? 遅刻するから行こ」
「津賀子さんは薄情ですね。私が溶けているというのに……それにしても津賀子さん、純粋な小学一年生の頃とは変わってしまったのですね」
「いや、変わらない人の方が珍しくない」
小学一年生の時のまま純粋に成長できる人間を見つける方が難しいのではないだろうかと私は思う。良いこともあれば嫌なこともいっぱい経験しながら成長するのだから仕方ないのでは。
「もう平気です。津賀子さんは昔から薄情な人間でしたね」
昔から薄情な人間って、文句を言いたいが気分が乗らないのでスルーしてあげるわ。
「津賀子さん。右手薬指のところ切ってますね、血が出てますよ」
「確かに切ってる、制服とかに血が付いてないかな」
「まずは止血です」
「ちょっとだし、ほぼ止まってるから」
「いいえ、津賀子さん。傷口を消毒しなければいけません」
「そんな大袈裟な、お節介過ぎは嫌われるよ」
「ダメです津賀子さん。お節介な行動かもしれませんが、万が一それが原因で重大な事に繋がってしまうようなら、お節介者と言われても助けたいと私は思います」
なんて言葉を返したらいいのか迷う。ソナタさんとは出会ってからう〇ち関連の展開ばかりで、真面目なことを言われると逆になんて言ったらいいのか難しい。
「津賀子さん。一度の後悔は一生の後悔、です」
「……」
傷口の消毒から話の流れが変わっている気がするけど、私は静かに彼女の言葉に耳を傾けていた。
「今ここで私が津賀子さんの怪我を見て見ぬふりをしたことにより、学校で津賀子さんがう〇ちに触れる。そして薬指から細菌が侵入してしまい死亡してしまうなんてことになれば……私は悔やんでも悔やみきれないです。あの時、素早い対処をして消毒して、絆創膏をしてあげていれば助かったんだから、と」
例えにう〇ちを使用してきたところ、嫌だ。
「些細なことでも心に迷いを生むようなら、後悔しない選択をしてくださいね津賀子さん」
ソナタさんの言葉が私の心に響くなんて思いもしなかった。私、なにに怯えていたんだろう。後悔したくない……そう考えたのなら。
「ソナタさん。ごめん、お節介過ぎるなんて言って。私、行ってくる」
「津賀子さんは受け入れるのが早いので助かります。私のことは構いません、それよりも薬指を見せてください消毒なんてすぐ終わります」
私は薬指を見せる。ソナタさんは真剣な表情で、自らのハンカチで私の薬指の汚れを拭いてくれた。
「怪我に効果があるのは唾液です」
「へ?」
そう言ってソナタさんは私の怪我をしたところに自らの唾液を垂らしてきた。
いつ終わりを迎えるか分からない生温かい唾液が私の怪我した部分を覆い続ける……永遠に唾液を垂らされる拷問。ソナタさんの唾液が無限に溢れてくれるおかげで私も段々と慣れ……慣れるかい!
「逆に細菌が入るだろうが」
「津賀子さん、絆創膏が」
「いらない。私は早く妊婦さんの所に行きたいんだ」
「せめてこの消毒液を」
ちゃんとした消毒液を受け取り、私は妊婦さんのもとへ走った。
ゆっくり階段を上がる妊婦さんに駆け寄り、私は勇気をもって声をかけた。
「あの、荷物持ちましょうか?」
「あら、ありがとう。お友達は……いいえ、お願いしてもいいかしら」
「はい」
モヤっとした気持ちが一瞬で晴れる瞬間だった。
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